やぶから九尾

東方SS書きのブログでございます

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創想話未発表SS 1

そう、それは昨年の第六回東方SSこんぺ。
結果発表後、深夜のこんぺチャットでの出来事である。

反魂氏の出した東方SSのお題。それはなんと、『ゴルフボール』『ゴーヤーチャンプルー』『ネチョれ』だった。
常軌を逸したこのキーワードに、参加者はいずれも笑いの草を生やし、それからは何事もなかったかのような流れで、チャットは続いた。

しかし、そんな中、一人沈黙していた者がいた。
それは、あろうことかそのお題でプロットを思いついてしまい、その晩に書き上げてしまった阿呆だったのである。
完成した時、チャットに残っていたのは、わずか二人。
Coolierのうpろだに上げられたそれを、実際に読んだのは、その二名だけだった。

貴方は幸運である。もしくは不幸かもしれない。
今夜ついに、封印されしネチョSSを、その目で確かめることができるのだから。




(『ゴルフボール』『ゴーヤーチャンプルー』『ネチョれ』 これらの単語に嫌悪感を覚える方は、読むのをお控えください)







「ゴルフボール」
「ゴーヤーチャンプルー」




答えは同時だった。
丸いテーブルの上で、二人の視線が火花を散らす。
同じく卓についている三人目はため息をついた。

ここは幻想郷の地下深くに存在する屋敷、地霊殿。
そこに住む一家の、朝食の風景である。
卓には、地霊殿の家主である古明地さとりと、そのペットである燐と空がついていた。


「ゴルフボール」
「ゴーヤーチャンプルー」


再び繰り返される謎の単語。
沖縄にあるゴルフ場近くの居酒屋、あるいはどこぞの電子空間座談会でしか許されない単語の衝突だ。

しかしながら、二人の顔は真剣そのもの。
無理もない。彼女らは今、最愛の主人を奪い合っているのだから。

「何さゴーヤーチャンプルーって」
「何よゴルフボールって」

言葉をぶつけ合う二人を前にして、さとりはその名に違わぬ悟りきった表情で、みそ汁をすすった。

「いいじゃんゴルフボールで! あのつぶつぶした表面が生み出す魅惑の球体! 絶対さとり様も喜んでくれるよ!」

嫌です。

「ゴーヤーチャンプルーを馬鹿にしないで! ゴーヤーの苦みと豚肉の甘み、相反する要素が一つの皿でフュージョンし尽くす! そこに豆腐と卵が加われば……その魅力はまさにさとり様そのもの!」

泣きますよ?

「こっちはその気になれば、200ヤード飛んでいくんだからね!」

それでどうしろと。

「こっちは玄米と食べれば完全食よ!」

私とどんな関係があるんですか。

「大体なんでゴーヤーにチャンプルーをつけるのか分かんないね! ゴーヤーで事足りるじゃないのさ! わざわざ炒め物にして意味なんかないでしょ!」
「そっちだってゴルフボールでどうしろってのよ! ゴルフでいいじゃない! 道具一式そろってるんだから! ボールだけなんて意味ないわよ!」
「なにおう!」
「このお!」
「二人とも、もうそれくらいでやめなさい」

心の中だけで返答していたさとりが、ついに固い声で割って入った。
額をつきあわせていた二人は、タイミングをぴったり合わせて、主人の方を向いた。

「「さとり様!」」
「何です?」
「お選び下さい!」
「この火焔猫燐か!」
「霊烏路空か!」
「ゴルフボールか!」
「ゴーヤーチャンプルーか!」
「「どっちですか!?」」








「どちらでも構いませんよ」







さとりは微笑した。






「だって、どちらも同じ『る』で終わるじゃない」






「「……あ」」






ここで二人と読者はようやく気がついたのだった(たぶん)。

主人を取り合う朝の恒例事業。
本日のお題は『しりとり』であった。
いきなり話を振られたさとりは、戸惑いつつも、『動物愛護』とお題を出した。
それにすかさず二人が反応して、冒頭のシーンに至ったわけである。
果たして、どちらが主人の気に入る答えなのか。
しかし、結局は行き着くところは同じだったのだ。


「私の番ということね。……『るすばん』です。二人とも」


燐は五番アイアンで殴られたような衝撃を、空はゴーヤージュースを飲んだような苦痛を感じた。
さとりは怖い微笑を浮かべたまま宣告した。

「休日のピクニックは無し。私一人で行ってきます。貴方達は家で反省して、仲良くしていること。いいわね」
「ま、待って下さい!」
「ごめんなさい! もう喧嘩しません!」
「本当はあたい達、とっても仲が良いんです!」
「ほら! 見て下さい!」

燐と空は引きつった顔で肩を組み、『島唄』を合唱しだした。
肝心の主人がいなくなってしまっては、争いの意味がまるで無い。
必死に歌う二人は、二度の池ポチャに心を乱し、グリーン上でドライバーショット放つプレイヤー並にヤケクソだった。
さとりはしばらくその光景を見ていたが、やがてやれやれと肩をすくめ、

「仕方ありませんね。とりあえず、許してあげます。ただし、ご飯くらいは静かに食べさせてくださいね」

ばつが悪そうに黙り込む二人。
結局、ご主人様には敵わないのであった。
さとりは平穏な空気が戻ったことに満足して……、






好物の納豆を、ねちょねちょとかき回す作業に入った。




(おしまい)


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あとがき

というわけで、ひどい一発ネタでしたw
これを書く前は地霊のキャラが固まっていなかったので、色々と悩みました。名前も酷い間違いがありましたし。
でもこのSSが、今回のSSコンペのキャラ像を決定したんだと思います。
そういった意味で、思い出深い作品ですね。うんうん。
  • posted by PNS
  • URL
  • 2009.06/20 22:43分
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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
ここでは他の方々のSSや、自作SSの裏話などを紹介しております。あとは、軽い後日談とか。よろしくです。

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