やぶから九尾

東方SS書きのブログでございます

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★自作SS紹介★ 作品集128 『サイダー色した夏の雲』 3


 毎度このはずくです。第三回です。
 引き続き、拙作『サイダー色した夏の雲』の裏話を語っていきたいと思います。今回のテーマは、執筆当時の苦労話と長編を書く上でぶち当たる壁についてです。割とつまらない裏事情をグダグダと語ってる可能性があるので、読んでて嫌になったら遠慮なくブラバしてくださいm(_ _)m

 それと例によってネタバレがあると思われるので、未読の方はご注意願います。

 

 



(前回までのあらすじ)

Q.
 ずいぶんヤマメ推してますけど、東方求聞口授で「この妖怪に出会うと高確率で原因不明の高熱にうなされ、放って置けば衰弱死する」と表記されてるじゃないですか。その点についてはどう思いますか?

A.

 それはヤマメちゃんに出会ったら、みんな恋に落ちるってことさ!


    ∩
    ( ⌒)     ∩_ _
   /,. ノ      i .,,E)
  ./ /"      / /"
  ./ / _、_   / ノ'
 / / ,_ノ` )/ /
(       /  
 ヽ     |
  \    \



(あらすじ おわり)


・ロケ地幻想郷

 どこかで書いたかもしれませんが、私の作品の創作過程は、映画作成に似ているかもしれません。まず物語を頭から書くということがほとんどない。ほとんどの場合、あらかじめある程度プロットを定め、その中の好きな場面から書いていきます。で、その時の会話やアクションも大体役者(キャラ)のアドリブ優先です。「こいつはこの時にこれしか喋っちゃいけねーんだよ!」みたいに書く側がごり押しすると、その部分が後で浮いてしまって失敗しちゃったことがかなりあるんですよね。もちろんアドリブを全採用したら話が脱線して大変なことになるので、毎回自分のワガママと作品の都合、二つの意見のぶつかり合いが発生します。そこがまぁ面白くもあるんですけど……(汗)

 前回は地底の人気者なのに情報がほとんどない黒谷ヤマメについて自分なりのキャラクター像を掴む過程を述懐しましたが、ヤマメというキャラクター、そして主人公の草太君を書くことで、彼らの周囲の風景もどんどん鮮明になっていったんです。もちろんあらかじめ材料を集めていたおかげもあったのでしょうが、その材料をどう配置し、どう加工するかという方向性が見えたというか。この時味わった、キャラクターに動いてもらうことで世界が構築されていく感覚は、地図の空白地帯を共に探検してるみたいで、実に楽しかったですね。特に「作者の意志ではどうにもならない力の働き」を感じるのが痛快でした。静止した情報として頭に入っているものが、動くことでより具体的なイメージになってくれる。これはキャラクターだけじゃなく、世界観そのものも含めてだったんです。長編を一つ書き終わるまでに別のSSのネタをいくつも思いついてることが多いのは、そういう要因もあるんだと思います。もう一つ、後の回でも詳しく語るつもりですが、作品に寄せられたコメントでも、自分の世界にぐわっと血が巡る感覚があります。なので、

 アイディアを思いつく→実際に書いてみる→感想をもらう

 私の場合は、上記の三段階の中で世界観が形成されていくイメージです。
 これがいい形で繰り返されると病みつきになって大変なことになります(=∀=;



・夏休みと妖怪

 
 書く前は考えておらず、書いてる途中で見つけたテーマもあります。それが夏休みノスタルジーです(謎)。
 ちょっと東方を知るよりも前の話で、確か埼玉あたりで電車に乗ってる時に遭遇したと思うんですけど、忘れられない光景があります。それは晴れた日の休日の午後に子供達がアパートの影でしゃがみこんでDSか何かで遊んでる光景でした。今じゃ珍しくないかもしれませんが、電車の窓からそれを見た時、思わず「はっ!?」と二度見してしまいました。こんな天気がいい日に日陰でゲームだと? もちろんその日にしか集まってゲームする機会がなかったのかもしれませんし、たまたま私が目撃した時間帯が悪かったのかもしれませんが、衝撃的でした。あの年頃の子供たちは感受性アンテナ全開なので、どこに出かけても冒険になるはずなんです。それがよりにもよってあんないい天気に日陰でゲームとは……。

 しかしながら、私だって私よりも前の世代の人達からすれば「ゲームばっかじゃねーか」と煽られても仕方ない子供時代だったんじゃないかと思います。やろうと思えば、もっと夏休みに夏休みらしい大冒険が出来たような気がしますし、それは子供の特権でもあります。じゃあ小学生時代の夏休みに体験したこと、あるいは体験してみたいことってなんだろう? と考えたんです。それがサイダーを始めとした様々なアイテムに繋がっていくわけですが……。


 どんな夏休みの思い出だって、
 
 妖怪と友達になるほど素敵な思い出はないはずだ!

 (゚∀゚)



 そういう童話や作品はたくさん読んでましたし、めっきらもっきらどおんどんの歌はいまだに覚えてます。子供の頃、どこかの田舎で『トトロの森』と名前だけパクられた公園で遊んだときは「よっしゃあ! サツキとメイの時代は終わりだ! これからはオレ達がトトロとタッグを組む!」などと弟と共に繰り出したものです(蚊に刺されただけでした)。

 というわけで、それらの思い出を元に、夏休みが幻想入り、したわけではありませんがw 夏休みにあったらいいな的なイメージをSSの中に盛り込んだのです。ただし人間の里に住む草太少年にとって、妖怪は憧れの対象などではなく、もっと現実的な脅威です。むしろ言葉の通じるオオカミに出くわしたみたいな感じでしょう。それがヤマメと出会うことで、妖怪に対する様々な誤解が解け、里のどんな子供達も体験したことのない特別な思い出につながるわけです。何だかんだで書いてて一番楽しかったのは、クスノキの周りで二人が遊んでるシーンだったかもしれませんね。



・人間の里について

 さてさて、このSSの着想はそもそも、夏休みに雲だったりクモだったりを見る子供達(オリキャラ)でした。
 それを物語として書こうと思った大きな動機の一つに、人間の里というのが、幻想郷においてあまりにも特殊な環境だと感じていたからです。もっと正確に表現するなら、『異物感』があったんです。

 それまで私は、幻想郷を舞台にした物語を考える度に、いつも里の存在が引っかかっていました。あちらの世界では妖怪は多数派で力を持っていて、人間は半ば儀礼的な理由で人里――実質的な鳥かごに封じられている。空を飛んで容易にエスケープすることのできる妖怪と違い、飛べないどころか里に拘束されて生きることを強いられる人間、もっといえば子供達。紅魔館や八雲家のキャラで楽しい光景を描いていると、一方その頃里の人間はどんなことを考え、どんなことを楽しみに生きているのか、と思うわけです。できれば不幸ではなく、人間として逞しく生きていてほしいという願望もありました。

 というわけで、私は人間の里を書こうと思い立ったわけですが……問題は設定上、必然的にオリキャラだらけになることでした。妖怪を憎む者、妖怪に興味を抱く者、妖怪と対峙する者、そして妖怪を知ろうと努力する者等々。そこには妖怪に対して色んな思いを抱いている存在がいるのが自然だし、そうでなければ自分的に納得できません。その結果、

 「これ一体いくつオリキャラを作ればいいんだ!?」

 と喚く羽目になりました。
 つい最近紹介した、オリキャラがたくさん出ている素晴らしい同人誌を書かれた白衣さんですが、氏はチャットで語ってくれました。「オリキャラというのはできれば出したくない。東方キャラを幸せにするために、自分の中で公式設定だけでは処理しきれない問題を解決する『装置』なんです」と。私も似た感覚を抱いています。こと二次創作においては、東方の世界観をより輝かせるアイディアを実現させるため、都合上仕方なく出演させるのがオリキャラ、という感じ。でも実際、オリキャラを使わないと味わえない東方二次創作の魅力というのは存在している気がしますし、オリキャラがダメだとも思っていません。ダメなのは、オリキャラを出すということが「目的化」しちゃってる場合ではないかと。あくまでストーリーが主導でないと難しいんじゃないかな。

 まーでもオリキャラ二十名以上というのは流石にやりすぎだったよね(;´∀`)

 完成した時にはどんな有り様になってるのか怖すぎましたが、とりあえず書ききった後に考えようと思いました。しかしながら、この時点で罠にはまりかけてることに自分で気づいてないわけで……。




・長編を書く上での楽しみ

 長い、めんどい、終わらない。そんな長編ですが、一応書いてて色んな楽しみがあります。
 特に小細工。大容量の中で工夫する余地がたくさん出てくるので、とにかく世界を作りこみたい人には向いている。
 当時の私も、ヤマメちゃんやオリキャラだけでなく、物語上どうでもいいようなことまでこだわってました。

 たとえば土蜘蛛の歌。あれは実はかなり作成に時間がかかりました(汗) 「春夏秋冬に四大元素のイメージを絡ませてー、んでメロディーはこれでコード進行はこんな感じでー」とか。そんなことにまで時間かけてるから夏が過ぎるんです。他にも、せっかくなら『蜘蛛の糸』だけじゃなく、別の芥川作品のパロディも入れたいなってことで、色々仕込みました。草太が地底から逃げるシーンは『トロッコ』のイメージで、とか。そんなことにまで時間かけてるから秋も過ぎるんです。

 でもそうした細部まで手を加えていくっていうのが好きで長編を書いてるっていうのもあるんですね。一番楽しい時間が適当なプロットを元にアドリブで書くことで、二番目に好きなのがこういう細かい設定を思いついて組み込んでいくことです。(どうでもいいけど三番目に好きなのは推敲です。誤字脱字の修正ではなく、表現や言い回し、助詞の変更などの推敲)

 それと、細部にここまでこだわったもう一つの理由は、『八雲の式の式の式』を書いた時もそうでしたが、「ちょっと思いついてちょっと頑張ってみたよ」くらいの出来じゃあ読者に蹴散らされるんじゃないかとビクついてたからです。何しろ当時は扱われなさっぷりが悲しくなるレベルのヤマメちゃんと、オリキャラ長編なんていう地雷に地雷を載せてみました的なジャンルのミックスなので、普通なら爆死確実。だったら、どれだけ批判されても後悔しないくらい自分が全力を出し切ったものを残そうと思って書いてました。

 しかし、そうやって苦労すればするほど、落とし穴にはまってしまうんだなこれが……。




・長編を書く上での最大の問題


 実は当時、サイダーの執筆が順調に進んでいたのは150kbほど書けたあたりまでで、そこから先は苦行でした。なぜかと申しますと、ある時期から突然、作品を読み返すたびに疑問に思うようになってしまったのです。

 
「これ……本当に面白いんだろうか?」


 って。
 他の書き手さんの事情はわかりませんが、私は制作過程で草稿を結構読み返します。逆に、投稿した後はほとんど長編を読み返しません。ぶっちゃけ飽きる熱が冷めてしまうんです。たとえ最高級の玉露でも、何十回もお茶を淹れれば当然美味からは程遠くなるわけで。今まで公開したお気に入りの長編を三つ挙げるとすれば『サイダー色した夏の雲』『空翔ける天狗達のきらめき』『ほうき星のパラドクス』となるのですが、これら全て投稿後に頭から読み返したことがありません。大体お気に入りのシーンだけです。全部合わせても五分くらいしかかかりません、はい。
 ところが製作中となると違和感がなくなるまで読み返すしかないので、もう最後の方は感動が薄れてくるどころか、ものすごく平静な感じで読めちゃうんですよね。だから本当に面白かったかどうか、自信がなくなってくる。執筆する上での非常に重要な嗅覚が鈍ってくるんです。鼻がバカになる。

 しかも当時の東方創想話は作品集が一週間と経たずに切り替わり、万点作品が毎度のごとく出現するという今では考えられないほどのバブル期でした。当然、サクッと読める短編がもてはやされるわけで、長編を投稿すると読まれないうちに作品集が切り替わって忘れ去られてしまう恐れがある。一方で私としては、かけたエネルギーが膨大な分だけ、絶対に失敗したくない。爆死する可能性大の長編作品を投稿して、ひどい結果を受け止められる気がしない。こんな風に悩むと、どうなるのかといいますと。

 作品を読み返して煮詰める→面白い自信がなくなる→投稿の予定が伸びる→
 作品を読み返して煮詰める→面白い自信がなくなる→投稿の予定が伸びる(以下ループ)

 これじゃあ、いつまで経っても完成するわけがありませんよね。そうこうしている間にが来る始末。さすがに夏がテーマのあのSSを雪景色の中投稿する気は起きません。というわけで、私が選んだ道はといいますと、




ポイッ ( ´∀`)つ ミ |400kb|

 ポイした先は創想話ではありません。お蔵入りフォルダの中です。
 そう。後にありがたくも、非常に多くの称賛コメをいただいた『サイダー色~』ですが、そもそも世に出ない運命も十分にあり得たんです。当時の自分がブログに載せた記事ですが、


>>さて、夏過ぎから書いていた例のSSですが、色々考えた末、今はまずいという判断に落ち着きました。
季節外れなのもそうなんですが、ジャンル的に創想話を荒らしてしまう可能性が高い。
来年はどうなっているのかはわかりませんが、夏の終わり頃に出したいと思います。
それまでにSSも練り上げることができますし、何より色々な企画とか……(ごにょごにょ)。

ただ、今年の夏に黒谷ヤマメさんのSSを投稿できなかったのは残念です。
書いてるうちにますます好きになってしまい、400kbにまで膨らんでしまいましたけどw
別の短編でもちょくちょく顔を見せてほしいですね。いいキャラなだけに。



 こんなこと書いてますが、これ実は自分を思いっきり励ましてますww 裏でガン凹みしてます。長編に注いでいたエネルギーが実にならなかった時の喪失感たるや、尋常ではありませんでした。もうしばらくSS書くの止めて、元の読み専に戻ろうかとも考えたほどです。ただ創想話における最終目標に妹様長編を書くというのがありましたので、創作をやめるつもりまではありませんでしたが……。でもせっかく書いたこのお気に入りの長編は、たぶんずっと投稿できないままフォルダの奥で眠り続けることになるだろう、そんな予感がありました。
 
 
 だがしかし。


 私にとって幸運だったのは、その後割と早い段階で創作モチベーションがV字回復するきっかけがあったことです。それは当時そそわ最高得点の作品である『小野塚小町の越冬戦記』を書いた実績のある東雲さんから、合同誌のお誘いを受けたことでした。もうヤバかった。




(´Д⊂ヽ
「は~、長編一つ書けないワイなんて完全に毛玉以下やな……寝よ」



(゚∀゚)

「うっひょー!

 あの東雲さんに勧誘されるワイって実はスゴイ!?

  5ボス以上!?」

 
 まー単純な性格してること。
 しかし今となっては確信しております。このお誘いこそが、翌年の『サイダー色~』の完成に繋がったのだと! では、2010年に果たして何があったのか!?

 次回、創想話の歴史を塗り替えまくった、あの伝説のSS書きが話に登場します。



(続く)
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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
ここでは他の方々のSSや、自作SSの裏話などを紹介しております。あとは、軽い後日談とか。よろしくです。

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