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東方SS書きのブログでございます

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★自作SS紹介★ 作品集128 『サイダー色した夏の雲』 2

 
 前回に引き続き、拙作『サイダー色した夏の雲』の裏話を語っていきたいと思います。今回はヒロインでもあり名助演でもあり主人公でもある黒谷ヤマメというキャラクターについてです。このSSを創作したことにより、個人的な株も爆上げで大変なことになってしまいましたが、同時に非常に悩まされたキャラでもあります。創作論、主にキャラクターの動かし方にまつわる胡散臭い自分理論を延々と語る回になっているのでご容赦くださいまし。

 あと例によってネタバレがあると思われるので、未読の方はご注意願います。


 


 『サイダー色した夏の雲』。
 満足のいくタイトルを思いつき、大まかなストーリーも決まった。あとはプロットを組んで書くのみ!……はずだったのですが、



 
 あかん! 書けん!

 全然書けへ――ん!! ( ノД`)






 といった感じで、当時の私は『サイダー色~』をちょっと書き始めて、すぐに挫折しました。なぜかと言えばSSを書く上で……特に長編を書く上では非常に大事な二つのものが不足していたからです。それは、

 材料とモチベーション。

 当時の私は『サイダー色~』を書く上で、これらがはっきりと不足していました。材料の方はまぁある程度不足を覚悟していたのですが、モチベ不足になるとは思っていなかったので、自分でも困惑してしまいました。その根本的な原因なんですが……

 はっきり言って、黒谷ヤマメというキャラクターに対する思いが、あまりにも浅かったからではないかと


 「なんだそれは! けしからん!」とヤマメファンの人から叱られそうですが、これはもうしょうがない。だって当時、ヤマメちゃんに対する造詣が「深い」人なんて誰もいなかったんじゃないかと思います。今でこそ彼女はキャラクターが定着してきて、様々な創作の場で活躍していますが、当時はネタにもならないほどの影の薄さ。年始の人気投票の記事でも書きましたが、まさしく黒谷ヤマメの東方砂漠状態だったのです。

 「何言ってんだ、原作があるじゃんか」、とか思った貴方。当時は口授も出てないんで、しっかりしたソースは、東方地霊殿オンリーなんですよ。そして彼女はストーリーにほぼ全く絡むことのない1ボスです。
 





 
yamame-face1.jpg

「おお? 人間とは珍しいねぇ」

 (゜o゜ )←私

yamame-face2.jpg


「地底に遊びに来たのかい? あそこは今お祭り騒ぎよ」

(゜ー゜ )←私
 
yamame-face3.jpg

「誰も拒みゃしないから楽しんでおいき」

(´ー` )←私


 うーん、カワイイ……じゃなくて! 少ない! 少ないぞ色々! 
 ならばテキストの方はどうだ!?


旧都や洞窟の奥底で活動している妖怪。
人間と戦う事に一切の抵抗感は無い。好戦的で性格は明るい。

ただその能力から会う者全てに嫌がられる。
しかし、本人は無闇に相手を病に冒したりはしない。
よく話をしてみると明るく楽しい妖怪で、地下の妖怪達の人気者である。

「東方地霊殿」より




 ……う、うむ。とりあえずマイナスの要素として、

 人間と戦う事に一切の抵抗感は無く、好戦的で、能力が嫌がられてる。

 プラスの要素としては

 無闇に相手を病に冒したりはしない。よく話をしてみると明るく楽しい妖怪で、地下の妖怪達の人気者。


 うーん、わかるようなわからんよーな……。ともかくこれだけじゃあ長編が書けるくらいの想像力が湧いてこない。どうしてなんだ。今まで書いてきたSSのキャラとは何がどう違うんだろう。

 当時の私は、きっとヤマメに対する「二次的な」情報が不足してるのだ、と考えました。東方の界隈では原作という舞台だけではなく、様々な二次創作で描かれる中で、キャラクターの地位が確立していった歴史があります。なので原作だけではなく、二次の情報も大きな創作のヒントになるんです。というわけで、当時の私が何をしたかといいますと。




618 :名前が無い程度の能力:2009/09/18(金) 21:55:00 ID:om0cBnoQ0
【読みたいSSの傾向(A)】ヤマメちゃん、ヤマメさん、ヤマメ様、ヤーマーメー。
【Aの既読作品……好き】黒狗氏、冬扇氏、あと最近投稿された喉飴氏の作品は読みました。
【Aの既読作品……苦手】ストーリー性が薄いもの、ひたすら主人公の心理描写な作品はちょっと苦手です……。
【長さ】長編でも短編でも構いません。
【場所】できればネット上で読めるものがいいですけど、同人誌等でも構いません。
【その他・リクエスト詳細】
実は今まさにヤマメSSを書いている最中です。
一般的に彼女はどんなキャラクターとして受け止められてるのかなー、と気になったのですが、
ヤマメちゃんのSSがなかなか見つからないので、今回初めて利用させていただきます。
ギャグ、シリアス、性格、カップリング等は気にしませんし、脇役での登場でも構いません。
ただ、これはいいヤマメ、という作品を探しています。
妙な依頼ではありますが、よろしくお願いします。



 
 白状します。2009年の9月当時、これを「貴方に合うSSを探すスレ」に書き込んだのは私です!! これだけではなく、pixivや同人誌でもヤマメの絵などを漁りまくりました。それでも絶対数が少なく、理想とするヤマメ像を形成するには到底届きませんでした。ここまでくると、不足している分は自分で補う他ありません。

 そんな時、あの映画を思い出したのです!




 images.jpg



 言わずと知れた名作ですね。破損した恐竜のDNAをカエルのDNAで補完し、現代に甦らすという奇抜な発想。なんで鳥とかトカゲを使わなかったのかという公開当時ガキだった自分の疑問がいまだに解決されていない件についてはさておき。すでにヤマメの材料は揃いつつありましたが、まだ動かしていくほどの自信は持てませんでした。けれどもジュラシックパーク方式で、足りない部分は自分が知っている別のキャラクターから補完できるかもしれない!

 その時すぐに思いついたのは、昔の某少年誌の漫画に出てくるあるキャラクターでした(敢えて名前は書きませんが)。そのキャラは明るく元気で、手先が器用。男の子に混じって遊んでいても全然違和感がないのに、時々ドキッとさせられるくらい女の子な部分を見せるという、まさにサイダーに登場するヤマメちゃんになってもらいたい要素を多く持ってました。なのでイメージの形成にすごく役立ってくれたのです。

 ただしヤマメは人間ではなく、妖怪です。だから普通の女の子が持っていない、ある種の恐ろしさというか、底知れなさも物語上必要でした。届きそうで届かない、人間とよく似ていて近くにいるはずなのに遠い存在。そんな微妙な距離感を感じさせる少女に描くことも心掛けました。あとはもうとにかく使えるものはなんでも使う気でいました。異性がドキッとする女性の仕草特集と聞けば「おお! ヤマメに使えるかも!」と飛びつき、同性に嫌われる女性の言動特集と聞けば「ヤバい! 無意識にヤマメにそんなことさせてしまうかも!」などとチェックしてるのだから、どう見てもキ●●イです。本当にありがとうございました。

 ところが、これだけ材料がそろっても、まだ書けなかったんです。情報は集まり、頭の中にイメージもできたのに、なぜか物語の中のキャラクターが見えてこない。苦悩した挙句、オリジナル小説の書き方にあった、キャラクターのプロフィール作成を試してみました。こんなことをしたのは後にも先にもこの時だけです(同時に、主人公についてもやりました、はい)。その時に

「あれ……?」

 と思う感覚があったんです。それは「この場面で貴方はどういうことを考えていましたか」と、ヤマメと主人公の草太、それぞれに質問した時でした。その時の二人の返答が、なんというか、とてもリアリティがあったんですね。他の創作物から仕入れてきた情報とは、根本的に質の異なる、まさしくその作品に必要な情報を伝えてくれたんです。

 そこで当時の私はようやく、自分が大変な勘違いをしていたことに気づきました。SSというのは、「書けないから書かない」のではなく、「書かないから書けない」のだということを。持っている情報がたとえ整理されていないものでも、文章にしていくと不思議と見えてくるものがある。屏風に描いた虎の絵が動き出し、その鳴き声や、仕草や、他者との関わりなど、色々なものが見えてくる。静止画でしかない情報を、活動する何かに変える。それがまさに「書く」ということなんですね。よって書くというのは、結論するということではなく、まさに創作することなんです。だからもちろん書いた後に消してもよろしい。生み出したものが使い物にならなくても、必ずヒントになるから。

 ことキャラクターに関していうと、原作の設定や台詞、「瀟洒」とか「我が儘」とか「半人前」「胡散臭い」「バカ」といった要素等も含めて、それらはあくまで創作の場では記号的なものにしかならず、そのままじゃ使えません。それよりも具体的なシチュエーションの中で、どんな反応や行動を選択するのかをシミュレートしてみる方が、よほど役に立つ場合が多い。そちらの方が自分の書く作品にとって必要な、微細な個性を発揮してくれると思うんです。

 まー、そんな感じで生まれたサイダーのヤマメちゃんなわけですが、いざ出来上がるとモチベーションが湧くどころか、今度は逆に好きになり過ぎて大変でした! 主人公である草太少年は私とは全然似てないし、むしろ羨ましいんで地獄に叩き落としてやろうかと冗談です、はいw でもいざ投稿した後の、ヤマメに対するコメントの反応は予想を遥かに超えていましたね。もう作者としては完全に有頂天でした。

 
>>ヤマメに関して特別な印象を持っていなかった自分ですが、この一本で大好きになりました

 \(゚∀゚)/

>>もともとヤマメちゃん大好きなのですが、もっともっと好きになりました。

 (ノ゚∀゚)ノ 

>>自分の中のキスメのイメージは完璧に塗りかえられましたね。作者のキスメへの愛情に拍手。

  ゚ ゚∑( Д ノ)ノ !?

>>ふと自分のコメントを見てみたら、ヤマメちゃんが何故かキスメちゃんになっていました。おそらく今まで気づいていませんでしたが、実は私はキスメちゃんを愛していたのではないかと思います。これからは今回気づくことのできたこの気持ちを忘れることなくヤマメ様とキスメちゃんを愛していかなくてはと思います。
 
 (;゚∀゚)b



 とにかくヤマメを好きになってくれた人を少しでも増やせただけでも、このSSを書いてよかったという気になったのでした。しかし彼女のキャラクターをつかみ、作品が半分ほど書けた辺りで、さらなる困難が待ち受けていたのです! それも長編特有の問題が!

 (続く)
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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
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