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例大祭に向けての同人レビュー


 どうも! このはずくです! 
 本日は、先月のはじめに頂いた同人誌のレビューをしたいと思います。



 ……冬コミの。

 

 「遅すぎだろ!」と言われそうですが、ちゃんとした理由を考えてきました。これまでは浅はかにも、記事を読む人の手に入らない本の感想を載せても、売り手買い手問わず大した貢献にならないのでは、と思ってたんです。しかしその本を出したサークルの次回以降の宣伝には間違いなくなるわけで。ならば例大祭が間近に迫ったこの時期に書こうと思った次第であります。(だから今週末のイベントが終わるまでは、この記事をトップに据え置こうと思いまする)
 
 さてさて、今回ご紹介します同人誌はこちら!


 『かきかぞふ ふたりうしろかげ』 
  合同誌(サークル:カリニヒタ)

 『あるガトーショコラより始まる奇矯な恋の物語の顛末およびそれらが招いた幻想郷社会の意識改革についての概要』 
  著:めるめるめるめ(サークル:天麩羅ショコラ)

 『『廻る歯車は世界を紡ぐ 上・下』
   著:白衣(サークル:天麩羅ショコラ)

 
 とはいえ、拙僧はレビューど素人で、こんぺの感想を書くのにも毎度ヒーコラいう始末。きちんとその同人誌の真価を伝えられるかと問われれば、全く自信がないと言わざるを得ません。しかも、変に真面目ぶって書けば例大祭が終わってるという本末転倒の可能性まで(冗談抜きに)あります; なので今回はアルコールとカフェインの力を借りた状態の、くだけた文章でお届けしようかと。「俺はこんな作品書いた覚えはないぞ!」とか「なんっつー見当違いな解釈だ!」等の苦情は受け付けますので、拍手orコメントでどうぞw

 それでは、はじまりはじまり~。

 




 以下、クリックでレビューに飛べます。

 合同誌『かきかぞふ ふたりうしろかげ』カリニヒタ 

 『あるガトーショコラより始まる奇矯な恋の物語の顛末およびそれらが招いた幻想郷社会の意識改革についての概要』
 
 『廻る歯車は世界を紡ぐ 上・下』 

 



まずは、おなじみのサークルから。
 



合同誌『かきかぞふ ふたりうしろかげ』:カリニヒタ

(参加作家 掲載順:
 Pumpkin S.D. めるめるめるめ 白衣 こうず 百円玉)  


 カリニヒタの合同誌はこのブログでも二回ほど宣伝させていただいたことがありますが、特徴的なのは毎回何らかのテーマを定め、それに沿って各自のメンバーがストーリーを書くというスタイルです。なのでサークルを追う側としては、「次の合同のテーマはなんだろう!?」というワクワクもあります。この『かきかぞふ~』が書かれる前も、S.D.氏に質問しまくったわけですが、結局当てることができませんでした。

 この本のテーマは<タッグ>。そりゃ当たらんわ!( ゚Д゚)

 しかしこれまでの合同誌で扱われた<おやすみなさい>や<童謡>や<匂い>といった主題と異なり、この<タッグ>というのは東方の二次創作において数えきれぬほど書かれてきた題材といえるのではないでしょうか。素材として王道な分だけ、各人の創意工夫が求められるような気がします。一般的に認知された、いわゆる王道的なタッグも考えられるし、あるいはマイナーな組み合わせでもできる。それを限られたページの中でどうやって書くか。
 私だったらきっとプロレスを書いてたと思います。そして予想通りというべきか、プロレスを書いてくれた作者さんはいませんでし……

 ……と思ったら、あとがきでタイガー・ジェット・シン(往年の代表的なヒールレスラー)について力説してる人がいるし。

 ↓↓↓↓↓

 『If I Only Had A Heart If I Only Had A Brain』:Pumpkin氏

 というわけで、かぼちゃさんことPumpkinさんの作品から。のっけから「面白い!」とうなずかせてくれました。こころちゃんの一人称で物語りが進むわけですが、時代はだいぶ後のものになっております。


 縁日にて、雷鼓と共に出番を待つこころは、楽屋の窓から舞台の人形劇を眺める。
 思い出されるのは、虹の向こうを目指す夢を笑いやがった、腹立たしいあいつのこと。
 けれども、六十年という周期を迎え、当時の記憶はこころの中で霞みつつあった。
 あれからずっと姿を見せない彼女に対する複雑な思いに、こころは苛まれ……。


 なんといってもこの作品の魅力はオチでしょう。最後にこころが舞う舞台で、ぶわっ、と頭上が広がる感覚といいますか。その光景というか情景がすごくイメージしやすいんですよ。もちろんそこに引っ張っていくまでの前段階をしっかり書いた手腕も見逃せません。とにかく読了感が爽やかで元気が出るので、合同誌のトップバッターとしてこれ以上ないくらい相応しい作品だと思います。振り返ってみれば、タッグだから二人が出ると思いきや、重要キャラのこいしちゃんの姿はどこにもなく……けれどもこれはまぎれもなくタッグの作品で、そしてタッグというのは味方同士とは限らない。テーマに独特の角度から切り込み、それにふさわしい舞台を用意し、キャラクターの存在感を際立たせる。実によくできた短編でオススメです。
 

 『故にふたりの鳥獣伎楽』:S.D.氏

 続いてはS.D.さんの作品ですね。長編の下読みをしてくださったり、今回も同人誌を手渡してくださったりと、個人的にもすごくお世話になってる方でございます。さてそんな氏の作品ですが、

 パンクロックバンド「鳥獣伎楽」。
 ヴォーカルのキョウとギターのローラは、絶妙な歌のコンビネーションの人気者。
 ライブの打ち上げ会場となる夜の屋台にて、集まった客は取材に来た記者に、彼女達のバンドの魅力を語る。
 そんな二人、響子とミスティアの、それぞれの歌に対する想いはというと……。
  


 最初に合同誌を開いた時に、
 
 「なんじゃこりゃっ!?」(; ゚Д゚)

 と思ったわけです。(しかもその時に書いた張本人が目の前にいたというw)。別に私はINR●CKやBU●RN!を開いたわけじゃありません。受け取ったのは音楽雑誌じゃなくて合同誌。けれどもそこではまぎれもなく、ローラとキョウなるアーティストのインタビューが展開されているわけです。Why!?
 タネを明かせば、バンド鳥獣伎楽のインタビューだったわけですね。ミスティアと響子のタッグを描いた作品ですが、このS.D.氏という書き手は素直なほっこりする話の中にも、ドキリとする仄暗い何かを潜ませてくるので油断なりません。というわけで、今回の話もオチは予想外だったわけですが、同時に納得でもあるのです。表のギャラリーに見せている姿と、裏側の関係が大なり小なり異なる現実世界でもよくあること。バンドの取材を受ける場面、屋台でファンと戯れる場面、お寺に帰って二人だけになる場面。短い容量の中に計算された三段構成の技を見せつつ、テーマを真相にしっかりとつなげた作品です。


『その鈴に捧ぐミステリオ』:めるめるめるめ氏

 続いてめるめるめるめさん。拙者の勝手なイメージで、めるさんといえばミステリかギャグなわけですが、この作品はミステリの方ですね。とはいえ、誰も死にませんし血生臭くもありません。どちらかというと登場キャラ、そして読者に対する謎かけですね。

 貸本屋の鈴奈庵に、地底から珍しいお客様が来た。
 彼女、古明地さとりから店内にあった一つの本を譲ってほしいと言われるものの、店主の小鈴はその不思議な本に心当たりがない。
 訳を聞くと、それはさとりが書いた本で、妹が勝手に持ち出してここに持ってきたものだという。
 そんな世にも珍しい妖魔本を簡単に手放したくない小鈴に、さとりが出した譲渡の条件、それは謎解きだった。
 あまりに難しいその謎に、小鈴は友人である稗田阿求の知恵を借りるのだが……。

 創作者目線でいうと、東方にはミステリの場にいてほしくないキャラクターがたくさんいます。何しろ時間止めたり霧になったり空間移動したりとやりたい放題ですからw そして心の読める古明地さとりも扱いが難しい能力と言えますが、この作品はその能力をむしろ積極的に利用して、ミステリに仕立てているところが挑戦的です(しかも短編)。真相はもちろん読んで箱の蓋を開けてみなければわからないわけですが、しかしその箱はなんと二重底。一度読んで騙されて、もう一度読んで思索し直し、他の人と議論したりと再読がすすむのがミステリのよいところ。こういう作品がもっと増えたら、二次の交流ももっと増えるかも、と考えさせてくれた作品です。


『キューミュロニムバスヘルレイザーズ--The Earth Lander.』:白衣氏

 続いては白衣さんですね。この作品は、此度の合同誌の中で最もテンションの高い作品といえるでしょう。タッグは一輪さん+雲山とムラサ船長。さらに巻き込まれてる妖怪約一名(笑)。時系列的には『星』の直前でしょうか。

 突如! 旧地獄が炎に包まれた!
 旧都の三割が炎上。火災をおさめるべく、烈河増小地獄水門が一斉に開放される。
 しかし犯人のねらいはまさにその大量の水であったのだ。
 魔界に封じられし姐さんを迎えに行くため、聖輦船はついに地上に向けて出発した!

 さて東方の原作には、ゲーム中になくても確実に発生している事件というか場面が存在します。聖輦船の地上進出もその一つですね。長らく地底に封印されていた宝船が地上に進出するわけだから、すんなりいったとは思えません。しかしここまで派手だったとは!?  白衣さんの持ち味である熱量マックスのバトルと台詞回しが存分に発揮された短編となっております。それにしても巻き込まれてる約一名は可愛いなぁw


『緋翼連理』:こうず氏

 続いてはこうずさん。妹紅と慧音という伝統的なコンビですね。
 今では二次で息の合ったタッグで書かれても全く違和感のない二人ですが、そうなる過程は当然あったわけで。

 三月の初め。地主の屋敷に招かれた藤原妹紅は、ある依頼を受ける。
 なんでも、里に広まる悪疫の源と思われる妖怪の山に入り、問題を解決してほしいと。
 普段であれば人界に関わることを拒む妹紅であったが、報酬は魅力的で竹林暮らしも飽きていたところだったので、引き受けることにした。
 しかしいざ出発する日になって、依頼主から望んだ覚えのない「連れ」を押し付けられ……


 むっはー、いいもこけーねやー!( ゚∀゚)
 里ではしっかりしているはずの慧音が、冒険となると相方の足を引っ張ってしまって、それを呆れた目で見つつ手を貸す妹紅……大好物です。まぁそもそも読者このはずくはもこけーねだけじゃなく、こうずさんの作品のファンなのです。(ただし現時点ではにわかファン;)。独特の雰囲気のある文章と台詞回しで、エンタメとして面白い作品を書く。短編でもずっしりとした読了感を与えてくれる。私じゃできない、けどできるものならやってみたいということをやっておられるところので尊敬といいますか。今回の作品も楽しんで読めて、オチにも思わず笑ってしまいましたw
 

 『ガラス鉢中の幻想郷』:百円玉氏

  最後は主宰である百円玉さんの作品ですね。この合同誌ではどうも主宰はトリだと決まっているようですw
 
 硝子の金魚が何処かへ逃げてしまったから集めるのを手伝ってほしい。
 稗田の屋敷にて、茨木華扇から受けた奇妙奇天烈な依頼に、阿求は困惑する。
 しかも術で作ったというその金魚の数を聞き、いよいよ尻込みしてしまう。
 けれども、報酬にくれるというその硝子金魚の造りの見事さに、阿求は心を動かされてしまい……。


 さてさて、百円玉さんの文章をどう表現すればよいのか。薄い絹でもない粉砂糖でもない白磁の茶碗でもない……そうか! 硝子の金魚だ!(おい) ともかくその作品に共通するのは幻想的な香りのする文章やテーマで、この作品も硝子の金魚というアイテムも含めて、上品ながら嫌味のない、読み手が浸れる雰囲気が展開されております。そんな穏やかな流れに油断していると、華扇の爆弾発言が飛んできて、阿求と一緒にギョッとなると(笑) 私みたいな大皿料理しか創れない人間からすれば、こうした微細な文章には感心せざるを得ません。裏に仕込まれたテーマも興味深く、なんとも味わい深い作品となっております。



 さて総評ですが、このサークルの合同誌を追っていてすごいなと思わされるのは、個々の短編のレベルだけでなく、合同誌としてのレベルも上がっていることですね。それぞれが独自の色を出していて、かぶることがなく、ジャンルもバラバラ。けれどもどれも作品としてしっかりしている。テーマを選んで書くというところも含めて、短編コンペの上位作品を集めたみたいなんですよ。査読に加わっているあおこめさんの力もあるのかな? 書き手だけではなく、読み手目線で作品に意見を出してくれる人は貴重だと思いますし。そして、てらじんさんの絵も忘れてはならぬ魅力です。私は、あとがきのデフォルメ絵もすごく可愛くて好きででで。

 そんな「カリニヒタ」の例大祭における次回作は、『鉱石』がお題だとか。これまた絶対当たらんテーマでござるw 期待の新人あめのさんも加わって、さらに豪華なものとなりそうです。

 鉱石合同誌 「言の葉いはずに さしあたり」 カリニヒタ

 価格も500円とお求めやすい価格となっております。期待!

 追記:特設サイトはこちらです!
 ↓
 カリニヒタ『鉱石』合同誌 言の葉いはずに さしあたり




 ◆◇◆


 



『あるガトーショコラより始まる奇矯な恋の物語の顛末およびそれらが招いた幻想郷社会の意識改革についての概要』めるめるめるめ(サークル:天麩羅ショコラ)


 続けて、めるめるめるめさんの個人誌の紹介を。
 この本の内容は第一回新東方SSこんぺで見事二位を勝ち取った作品、そして昨年創想話に投稿された作品+書き下ろしの作品で成り立っています。上の合同誌のレビューで、めるさんの作風について書きましたが、この本はギャグです。ギャグといっても形態は様々ですが、私は氏のギャグ作品に多大なる敬意を払っております。ひたすらテンションの高さで押し切ろうとする騒がしい作品もよく見かけますが、この二つの作品は大まじめに展開で笑わせてきおるのです。

 一つ目は逃げ出したアリスの良心と五目チャーハンの逃避行。
 二つ目は紅魔館に設置されたチョコバナナ砲とその資金繰り。

 ええ、不条理ですとも。けれども文章を崩して書いてるわけではなく、キャラクターがふざけているわけでもない。大真面目にアホな展開で進んでいく様は、なんというかギャグの美術館を歩かされているようです。額縁に飾られたシューレアリズムの絵を鑑賞する感じ。しかしこの作品にはガイド役もといツッコミ役は存在しません。よって読者が叫ぶ。「そんなわけねーだろ!?」という展開を真顔で提供されてしまう。
 その二つの作品+書き下ろしが、個人誌となって何が起こったのか。





 全部だよ全部! 何から何までツッコミどころなんだよ!w 本文も! 挿絵も! あとがきも! カバー裏までも!w





 えー、つまり合同誌に寄せてる作品とは似ても似つかないわけで(笑)。個人的にも不思議なんですよ、めるさんって。なかなかこういうタイプの作風だと捉えられないから困る。でもあえてミステリとギャグというこの二つに共通する要素があるとすれば、先を読ませないということになるんでしょうかね。となれば、この本はギャグとして大成功といえるでしょう。先読みできたとすれば、あなたはシュレディンガー式に言って、死んでる方のめるさんです。いやそれはまずいかw
 さて、める先生の例大祭の作品は、これまたこんぺに投稿した作品の改稿バージョンのようです。

 て18a-天麩羅ショコラ ミステリ短編集『littleprayer』 208頁 800円

 こちらはミステリですね。こんぺチャットにて相当意見が交わされた力作だったので、きっと完成度が高まってグレードアップした内容になるのではないでしょうか? 楽しみです。また、今回紹介させていただいた同人誌も再販されているそうなので、ぜひぜひ!

 追記:サイトはこちらです! →天麩羅ショコラ



 ◆◇◆



 




『廻る歯車は世界を紡ぐ 上・下』 白衣(サークル:天麩羅ショコラ)

 最後は白衣さんの個人誌を紹介いたします。上下二冊に加えて、外伝もあるのですが、申し訳ないことに外伝はまだ読み終えてないので、ここでは上下巻だけでご勘弁。まー、受け取った時は思いましたよ。「これいつ読み終わるかな……?」ってw 
 何しろ普通の文庫よりもさらにぶ厚いのが上下二巻。しかも開いてみると文章が上段と下段に分かれてる。その合計が約600ページ。どんだけ長いんやとw

 ところがですね……読み始めたらあっという間に引きずり込まれました。

 
 魔力はあるものの一切魔法の知識がない魔法使い、朝倉。幻想郷.唯一の存在として選ばれたはいいがたいした才能を持たない巫女、博麗。瞬間記憶の能力は持つものの、所詮は他者と同様に 全てを忘れる存在にすぎない、阿求になれなかった稗田。ただ他人を恨み羨んで生きることしかできない三人は、再びこの世に舞い戻った幻想郷最大の憎悪、博麗神社を恨むことしか知らない悪霊を前にしていかなる道をえらぶのか――。時は昭和二十五年。六十年の節目の年。これは動乱に満ちた幻想郷を全力で引っ掻き回しながら駆け抜けていった、三人の少女たちの記録。(前編 裏表紙より)



 スケールがでかい! でかすぎる! オリキャラが主人公でオリキャラと組んで幻想郷全体に関わる異変に挑戦するわけですから、スケールがでかくならないわけがない。けれども、SSにおける話の風呂敷というのは広げるのにも腕力がいれば、畳むのにはさらなる腕力が必要とされます。ましてやその上で面白く仕上げるというのは、ほぼ理想に近いです。
 そして、この作品はその理想に到達したのではないかと。それも私が今まで読んだ長編……というかSSの中でも格段にレベルが高く、間違いなく読んでよかったと断言できるシリアスです。ストーリー、展開、キャラ付け、台詞、世界観の描写。どれ一つとっても一級品で、読み手書き手問わず充実した時間を与えてくれる個人誌だと思います。

 「でもオリキャラなんでしょう……? 長いし……」と不安に思う貴方様へ。 
 二次創作のアイディアというのは、原作からすれば歪みです。歪みは放置すれば歪みのままですが、それが読み手の世界観の中で正当化された時に強いエネルギーを発します。オリキャラの主人公というのは歪みの最たるものの一つですが、それが貴方の心に弾かれることなく、真っ直ぐ届けば? もうとんでもなく莫大なエネルギーとなるわけです。
 もちろん、ただ書けばいいわけじゃありません。作り手はそのために、多くの工夫と根気が必要なわけですが、長編ばっかり書いてる私にもこの作品は改めて勉強になることだらけでした。主人公を暇にしない。問題を与え続け、他のキャラとの関係性を納得いく形で築かせる。会話の端々に意味を設ける。漫然と話を進めず、アクションを盛り込む。個々の行動原理を多様化させる。伏線を張って回収する。一つの話の裏側に別の話の進行を匂わせる……もうメモが追い付かないw 何よりこれだけスケールの大きい作品は、絶対に本という形態と相性がよいわけですよ。目も疲れませんし!

 後に話を聞くと、氏は全力を注いだと語ってくれましたが、並の「全力」じゃこんなもん書けまへんw でも、もしかするとこの作品、全力を出し切った白衣さんにとっての、一つの「幹」になりうるんじゃないかと。「根」が作品以前のその人の下地とすれば、「幹」は個々人の世界観の背骨といいますか。というのも私自身、大容量の長編を書いた後は、三つか四つくらい別の作品のネタを思いつく経験がいっぱいあるんです。が、こんなすごい大作となれば、どれほどの創作エネルギーにつながるのか想像もつきません。そんなわけで、白衣さんの今後の活躍に大注目ですよ皆さん! 
 あと蛇足ですが、巻末のあとがきに私の名前が挙げられてますが、下読みしたのは冒頭くらいで、ほとんど貢献できてませんw 当時はどんな話になるかまるで展開が読めなかったので、完成品を読み終えた時の衝撃はヤバかったなぁ……。

 そんな白衣さんですが、この本の外伝的な作品を例大祭に出すご予定だそうです。
 
 
 て18a-天麩羅ショコラ 短編集『幼年期より』 276頁 1000円


 先ほどの紹介にもあっためるさんの個人誌と同じ場所でですね。
 最初勘違いしてしまったのですが、こちらの天麩羅ショコラ、めるさんと白衣さんの合同サークルなのだとか。(ちなみにショコラがめるさんで天麩羅が白衣さんらしい……謎や……)
 本の内容は、アリスと、霖之助と、阿求の短編を一つずつ、だそうです。
 それに加えて『廻る歯車は~』も再販するそうなので、買うっきゃないぞ諸君!!

 追記:サイトはこちらです! →天麩羅ショコラ




 ◆◇◆



 それでは最後に、今回紹介させていただいたサークルさんの次回例大祭における頒布のまとめを。

 第十三回 博麗神社例大祭 – 平成二十八年(2016年) 五月八日

 鉱石合同誌 「言の葉いはずに さしあたり」 カリニヒタ
 めるめるめるめ氏 短編集「littleprayer」 て18a 天麩羅ショコラ
 白衣氏 短編集「幼年期より」 て18a 天麩羅ショコラ

 カリニヒタだけ、ちょっとトラブルがあったようで場所がわからないため、後ほど判り次第修正しようかな、と。

 さて、残念ながら漫画と違い、会場で手に取っても、その場で真価を読み取ることができないのが同人小説です。これはもう形態上しょうがないことです。じゃあ遊園地が クルーズ客船の旅に優るのかと言われれば、何言ってんだこいつ、となりますよね(;´∀`) 文章は情報として「重い」。「重い」からこそ、正しく伝われば、大きなパワーを生みだせます。せっかくそんなパワーを持った作品があるというのに、小説だからという理由で敬遠されるのは、非常にもったいない。なので、優れた同人小説をレビューして世に広めるというのは、とても大事な仕事なのではないかと思います。私も書き手として作品を紹介してもらったり絵を描いて宣伝してもらった過去がありますが、その逆の行いは今まで十分にやってきたとは言えないので、今後も機会があれば積極的にやっていきまする。

 というわけで、冒頭に載せた通り、今回のレビューは例大祭が終わるまでトップ記事に残しておきます!
 拙いレビューでしたが、読んでいただき、ありがとうございました!
 ではでは~ ( ・∀・)ノシ

 
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by
  • 2016.05/04 20:51分
  • [Edit]

Re: No title

 こちらこそありがとうございましたー。
 そして、大変失礼いたしました! というわけで修正……白衣さんもごめんなさいorz
 筆が速いのはまぎれもない強みですし、天麩羅ショコラの今後にはやはり注目ですねぇ。
 当ブログでも今後とも積極的に応援させていただきまする(`・ω・´)
  • posted by このはずく/木葉梟
  • URL
  • 2016.05/05 21:59分
  • [Edit]

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