やぶから九尾

東方SS書きのブログでございます

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地底四人娘のパジャマパーティー (シリーズ紹介1)

「というわけで始まりました、『第一回地底四人娘パジャマパーティー』! いぇ~い」
「おおー!」
「わーい」

 土蜘蛛の音頭に、鬼と釣瓶落としの声が重なる。
 彼女たちはそれぞれ色違いのパジャマ姿で、敷かれた布団の上に座っていた。
 ……が、

「『いぇ~い』じゃないでしょ、なんなのこの流れ。パジャマパーティーとか一切聞いてないんだけど」
「でもパルスィちゃんもパジャマ着てるじゃない」
「そりゃ着てるわよ。これから寝るつもりだったんだから」

 と、パルスィは冷静に切り返す。
 彼女たちがいるのは、旧都の北東に建つ鬼ヶ城、その膝元に建つ風雷邸に数多くある畳部屋だ。部屋には四人分の布団が敷かれ、中央のスペースには、お盆の上にお菓子と飲み物が用意されていた。
 しかしそれらを前にしても、パルスィはそっけない態度で、

「大した用事じゃないなら部屋に戻るわよ。夜更かしは美容の大敵なんだから」
「一晩くらい平気平気。それにあんた最近、眠れないってぼやいてるじゃん」
「ぐむ……」
「無理して布団にくるまってるよりも、こっちの方が有意義かもよ」
「あー! 寝つきがいいやつが妬ましい! あんたのことよキスメ!」
「ええっ!?」

 いきなり矛先を向けられたキスメは、お菓子に伸ばしていた手を引っ込め、うろたえる。

「わ、私って、寝つきがいいのかな」
「いい方だろうねぇ。私が耳かきしてあげてる時も、大抵途中で寝ちゃうし」
「あっ」
「そのあと膝から下ろすタイミングで、いつも迷うんだけど……」
「ご、ごめんねヤマメちゃん。ついうとうとしちゃって……あ、じゃあパルスィちゃんもヤマメちゃんに耳かきしてもらえば」
「却下! 私は耳をいじられるのが嫌いだっていうのに、こいつは私の耳をいじるのが好きなんだから最悪だわ。眠れるわけないでしょーが」
「いやー、あんたのリアクションが面白くて、つい。そういえば勇儀も寝つきがいいし、一度寝るとなかなか起きないよね」
「まあ私は多少寝なくても平気なたちだけどね。そうだパルスィ。困ってるならいい快眠法があるぞ」
「ふん。どうせお酒でしょ」

 何しろ鬼という妖怪は、酒でなんでも解決できると思っている節がある。

「丁重にお断りするわ。次の朝に頭が痛い状態で起きるのは、寝れないのよりも嫌」
「酒もいいが、もっと効くやり方がある。首の血管を適切なやり方で圧迫する技なんだが」
「もっと嫌よ!?」

 訂正。酒と腕力でなんでも解決できると思ってる。


 ◆◇◆


「というわけで、パルスィが無事に参加してくれることになったので、改めてパジャマパーティーのはじまりはじまりー」
「おー!」
「いぇーい」
「……ポリポリ」

 ヤマメの音頭に、先ほどと全く同じポーズで喜ぶ勇儀とキスメ。
 そして結局座り込み、用意してあったお菓子を無言で口にするパルスィ。

「さてさて、パジャマパーティーとは、どんなものかといいますと」
「皆で誰か友人の家に泊まって、パジャマ姿で楽しく話したり遊んだりする女子ならではのパーティー、だったかな」
「すごい! 勇儀さん! さすが女子力の勇儀!」
「ふふん、まぁそれほどでもないさ」

 拍手するキスメに、勇儀は鼻の下をこすって謙遜する。
 ただしすぐに彼女は顔をしかめ、

「なんだ、またか。お前達は本当に耐性がないんだな」
「ご、ごめん……まだちょっとそのワードは刺激が強すぎるというか……」
「………………」
 
 布団の上で、ヤマメとパルスィがそれぞれのポーズで悶絶していた。
 何とか復活したパルスィが、コホンと気を取り直し、

「話をするって言っても漠然としてるけど、何か具体的なテーマはあるわけ? 恋バナとかぬかしたら抹殺するわよ」
「そうだねぇ。お喋りはいつもやってるわけだし……」

 ジュースを一口飲んでから、ヤマメは天井を見上げ、

「たとえばパルスィがここに来てからの数ヶ月を、みんなで振り返ってみるのはどうかね。色々あったからねー」
「あったあった。おかげで城が退屈しなくて助かってるよ。そもそもの発端は、パルスィの家に移動泉が出たことだったな」

 

 


 『地底四人娘 1 伝説の温泉の巻』

 地底における秘湯中の秘湯で、どこに湧くかもわからない移動泉。数え切れぬほどの効能に加え、一番風呂に入った者の願いを叶えるというその温泉が、なんとパルスィの家の水浴び場に出現。しかし喜んではいられなかった。数多の地底の温泉ハンターが移動泉を狙って、その場所に殺到しようとしていて……。




「すごいよねー。十年に一度しか出ない温泉が、パルスィちゃんの家に湧いたんだから」
「終わってみれば、十年に一度の大不幸かと思えたわよ。最初喜んでた自分が死ぬほど恥ずかしいわ。一歩間違えれば冗談抜きで死んでいたかもしれないし」

 当時の壮絶な体験を思い出し、渋面のパルスィは我が身を抱きしめる。

「結局、温泉には入れたけれど、橋は壊れて、家まで失って」
「でもおかげさまで、この四人で集まる機会はかなり増えたよね」
「その通り! 私にはいいことづくめさ。なんといっても、パルスィはここじゃ人気者だし、鬼以外の、ましてや橋姫が滞在するなんて初だからね」

 勇儀は上機嫌で酒を――早々にジュースからシフトしたらしい――呷る。

「退屈嫌いの私らからすれば、日常にピンと張りが出て有り難い限りだ。もちろん、キスメが住むようになったのも嬉しいぞ」
「えへへ」

 頭に手を置かれた釣瓶落としは、はにかんだ笑みを見せる。

「というわけで、ヤマメも住んだらどうだ。もう最近じゃ、こっちにいる時間の方が長いじゃないか」
「うーん、私もさすがに風穴の家をそんなに空けるわけにはいかないからねぇ」
「私だっていつまでもここにいるつもりはないもの。今回のこれはなんていうかほら、ロンバケよロンバケ」
「ろんばけ?」
「ロング化け物屋敷」


◆◇◆


「事件と言えば、あのコーヒー騒ぎもなかなかだったな」

 移動泉の感想がひとしきり出た後に、勇儀がぽつりと呟いた。

「結果的に被害は最小限に抑えられたけど、今思えばあれもかなりの大ごとになりそうだった」
「あはは、あの事件に関しては正直私も申し訳ない感じというか」

 と、ヤマメが幾分声のトーンを落とし、困ったような笑みでお菓子をつまむ。
 



『地底四人娘 2 ― コーヒーでブレイクの巻 ―』

 温泉事件がきっかけで、鬼ヶ城の膝元にある風雷邸に居候することになったパルスィ。彼女はかねてから挑戦してみたかったコーヒーの研究に取り掛かる。しかし紆余曲折あって、作りだしたコーヒー飲料が、とんでもない騒動の引き金となって……。




「正気に戻って事情を知った後は、顔から火が出そうだったよ」
「私も、あんなに酔っぱらったヤマメちゃん初めて見たからびっくりしちゃった」
「酔っぱらったというより、完全に夢遊病だったわね。珍しい眺めだったわ」
「こら。元はと言えば、あんたが悪意で変なもん淹れるから」
「あーあー、聞こえない」

 ヤマメの文句に、パルスィは両耳に手を当てて返答を拒否する。

「でも、パルスィちゃんの淹れる普通のコーヒーって本当に美味しいよね」

 何気に今でもこの四人娘は、お喋りのお共にしばしばコーヒーを利用していた。
 といっても、キスメはまだブラックが苦手で、カフェオレ専門になっている。
 そして勇儀のブレンドに至ってはコーヒーと呼ぶのもおこがましい代物であった。
 彼女自身はそれを星熊杯に注いで試したほど気に入っている。ただし、再び試そうとはしなかったが。

「将来、パルスィがいなくなると、コーヒーが気軽に飲めなくなるのが、私には残念だね」
「あんたも挑戦してみたら? その気なら教えてやってもいいわよ。女子力というより紳士力が上がりそうだけどね」
「女子力か……あれも新鮮な体験だったな」




 『地底四人娘3 ― 女子力の勇儀の巻 ―』

 女子力。その言葉を体現するのはもちろんのこと、意味を覚える機会すらなかった力の勇儀。しかし彼女に届いた一通の手紙が、その揺るがぬ心を動かした。勇儀はキスメと、その摩訶不思議な力を身に着けるべく特訓する。さらにヤマメとパルスィという講師二人も加わり、彼女の宿命のライバルとの決戦の日が近づいて……。 



 ヤマメはうんうんとうなずき、

「私はさ。もしかすると、あれが一番びっくりな事件だったかもしれないんだ。勇儀とは付き合いが長いけど、これからもずっと男らしくて豪快な妖怪のままだと思ったから。いやもちろんいい意味でね?」
「ああ、わかってる。何しろ私自身があの時の自分に一番驚いたからな。ここまで変われるものなのか、って。あとは修行自体も結構途中から楽しんでやれていたしね」
「確かに、色々と有意義な期間だったと言えなくもないわ」

 ちなみに、これはパルスィにしてみれば最上級の褒め言葉である。

「結果はまぁ色々と言いたいことはあったけれども、生徒としてあれだけ熱心にやってもらえれば、こっちとしてもやりがいがあるから」
「あのね。私思うんだけど、勇儀さん、強いままなのに、前よりすごく話しかけやすくなった気がする」
「そうそう。雰囲気が変わっても、元の良さを失わないのが勇儀のいいところだわね」
「やー、何だかくすぐったいな、そこまで言われると」

 勇儀は指で小さく頬をかく。
 実はこうしたちょっとした仕草も、それ以前の彼女にはみられなかったものだ。
 以前であれば、わざわざ立ち上がって胸を張り、豪快に笑っていたことだろう。
 本来、鬼に「静かであれ」、と言うのは、宮太鼓を「弓で弾け」と言っているのに等しい。

「でも実際身についたのは二割くらいかしら。せっかく教えた化粧のやり方とかも無駄になってるわけだし」
「あはは、どうも鬼の性は捨てきれないらしい。けどね。違う世界を覗くと、学ぶことが多いっていうのが、あのことで身に沁みてわかった。また機会があれば、色々と挑戦してみることにするよ」

 他の三名は、拍手でエールを送った。

「違う世界を覗くといえば、キスメの体験したっていうアレも事件か」
「アレって、苗字を欲しがったやつ?」
「え、私のそれも事件に入っちゃうのかな」
「そうだねぇ。詳細を聞いただけだけど、興味深い話だったね」




『地底四人娘4 ~キスメの苗字の巻~』 

 
 キスメは旧都の裏街道で、不思議な店の主と出会う。それは自分よりも遥かに年配の釣瓶落としだった。彼からキスメは、釣瓶落としが桶に刻む名の意味について教わる。さらにそれは、妖怪としての未来に関わる重大な賭けへと発展するのだが……。




「私らは先輩ではあるけど、鬼に橋姫に土蜘蛛……釣瓶落としじゃないからねぇ。同じ種族じゃないと、きちんと教えられないこともあるだろうから」
「うん。私、あの釣瓶落としさんに出会えて、本当に良かった。未来の自分は、まだ想像できないけど」
「キスメ、お前はどんな妖怪になりたいんだ?」
「えっとね」

 問われたキスメは、楽しそうに語る。

「勇儀さんみたいに強くてみんなに慕われててー、ヤマメちゃんみたいに頭がよくてかわいくてー」
「………………」
「パ、パルスィちゃんみたいな、綺麗で、えっと我慢強い妖怪さんに……」
「なんで噛みながら言うのよ。もっと堂々と言いなさい。パルスィさんみたいに陰気でドジで不幸が次々に襲ってくるような地底妖怪になりたいって」
「そ、そんなこと全然思ってないもん!」
「なんていうか、あんたの自虐節も相当なもんだよね……そこはさすがにキスメに学んでもらいたくないわ」
「でも、髪の色が違ってたらよかったのに、って思うことはあるかなぁ」

 自分のおさげを手で触りながら、キスメは残念そうに言う。

「色合いはちょっと違うけど、ここにいるみんなは金髪だから。だから私だけが弱いんじゃないかって」
「いいじゃん、緑色の髪。キスメらしくてかわいいと思うよ。それに、地上には緑色の髪の恐ろしく強い妖怪がいるって噂を聞いたことがあるし」
「そ、そんな妖怪さんがいるの?」
「鬼も金髪が多いわけじゃないし、山の四天王だって、みんな髪の色が違うんだぞ」
「誰がどうとか、どうでもいいわよ。もし前例がなかったのなら、あんたが最初の緑髪の大妖怪になったっていいんだから」

 空になったキスメのコップにジュースを注いでやりながら、パルスィは言う。

「まずはこの都の連中に舐められないくらい強くなることを目標にしなさい」
「はーい」
「次の事件は、なんといっても最近あったアレか」




『地底四人娘5 ~ 怪盗古明地さとりの巻 ~』

 かつて鬼ヶ城に二度も盗みに入った怪盗ON.13。その謎の妖怪から、久々に犯行予告状が届いた。パルスィとヤマメ、そして地霊殿へのお出かけから帰ってきたキスメは、予告された時間まで風雷邸の中に避難していたのだが……。




「この騒ぎについては、私らは部屋に閉じこもってただけだから、勇儀の感想を聞きたいところだね」
「何言ってんのよ。私達も巻き込まれたんでしょうが。危うく被害に遭うところだったんだから、とんだ迷惑だわ。元々は鬼ヶ城との遺恨なんでしょ。まさか他にもあんな宿敵がいたりしないわよね」
「あっはっは。いやー、実は結構いるんだなこれが。ただ、大抵挑戦は一回で終わるからね。何度も鬼ヶ城に挑戦できるっていうのは、大した妖怪ってことだ」
「勇儀さんでも捕まえられなかったなんて、本当にすごい泥棒さんなのね」
「ああ、そうだ。これは他言無用なんだが」

 勇儀があぐらに手を載せて屈みこみ、声を低くして伝える。

「どうも証言を集めてみると、あの時盗人は二人いたとしか考えられない」
「二人?」
「ああ。前回と前々回は間違いなく単独だったと思ってたんだが、実は仲間がいるのかもしれん。まぁ二人いようが四人いようが、一人を捕えれば芋掘りの要領で全部明るみに出るだろう。現在も調査中だ」
「そういえば……」

 とキスメも思い出す。

「地霊殿に一昨日行った時、さとりさんに泥棒さんのこと聞かれた」
「おや、本当に?」
「鬼ヶ城の外であの事件を知ってるやつは少ないんだが、さすがは古明地。耳聡いな」
「あそこも都の要所なんでしょうし、泥棒に入られるのを警戒したのかしらね」
「といっても、心が読める相手じゃ、いくら凄腕の泥棒でも歯が立たないでしょうに」
「確かに。でも、さとりが最初にあの怪盗を捕まえるのは気に食わないな。ひとまず、次の挑戦を待つことにしよう」

 この頃、地霊殿にて古明地さとりがくしゃみをしていたかどうかは、定かではない。

 ◆◇◆

「とまぁ、これくらいかなー。所々で大きな事件のあった数ヶ月だわねー」
「できれば私が出ていくまで、もう何も起こらないことを願うわ」
「いやもしかすると、近いうちにあるかもしれん。実は閻魔が旧都に来ることになってるんだ」

 和気藹々としていた部屋の空気が、瞬時に固まった。

「閻魔が? この都に?」
「そうか……視察の時期なんだ。それはそれは」

 パルスィは緑眼を見開き、ヤマメも神妙な面持ちで呟く。
 ただ一人よくわかっていないキスメが、首を傾げ、

「閻魔様が来るのって、そんなに大変なことなの?」
「旧都の管理と運営は、地底の住人に任されている。しかしそれを決定したのはあの大妖怪だ。つまり権力の上で、この都の連中とは別格ということになる。実力の方も底が見えん」

 四天王の言葉には確かな重みがあった。
 そもそも、閻魔といえば簡単に話題に出せる妖怪ですらない。
 彼女が地獄以外に姿を現すとすれば、それは何らかの異変が起きている時である場合が多いため、なおさら敬遠される存在である。

「まさかこの城に来たりしないでしょうね」
「それはない。けど、当日の晩餐の担当が、うちの料理長ってことになってる」
「そっか。閻魔の食通って言ったら有名だもんね」
「どうだパルスィ、手伝ってみないか?」
「は? 嫌に決まってるでしょ。足引っ張るオチにしかならないっつーの」
「いやいや、板巳は前に褒めちぎってたぞ。色んな弟子に逃げられたが、あんなに熱心で繊細な舌を持ってる妖怪はいなかったって」
「おー、すごいねぇそれは。いいんじゃないパルスィ? ここらでいっちょ料理人に転職するっていうのは」
「勝手なこと言わないでもらいたいわ。。そもそも、私があの厨房に行くのは、勉強のためっていうより、嫉妬がいい具合に湧き起るからよ。私とあの料理の鬼じゃ、手際のよさが違いすぎる。こっちが一品作るスピードで三つ同時に作って四つ目と五つ目の仕込みも終えてんのよ。ヤマメみたいに手足が八つあるようなやつは気楽に言えるかもしれないけ……ふぃやあ!?」

 早口でまくし立てていた途中で、パルスィは悲鳴を上げて身を縮め、腰を浮かせる。

「ちょっと! 不意に脇腹つつかないでよ!」
「あーら知りませんわ。ご覧のとおり、私は手がこの二つしかございませんし」
「その指先から見えてる糸は何なのよこら! 食らいなさい!」
「ぶも!?」

 至近距離で投げたパルスィの枕が、ヤマメの顔面に直撃する。
 もちろん、やられっぱなしの地底妖怪などいない。
 すかさず起き上がり、「やったなこの!」と投げ返すヤマメ。
 
「お!? 枕投げか! よーし私の本気の一投を見せてやる!」

 立ち上がった勇儀が枕を手にし、再び枕を投げようとしていたヤマメに向かって振りかぶり、

「ふんっ!!!」

 突風が起こった。
 
「うわっっとぉ!?」
 
 ヤマメは寸前で身をかわす。
 その横を時速200マイルのジャイロ回転で飛んでいった枕は、お菓子や飲み物を吹き飛ばし、壁に向かって一直線。

 ドン、と物が爆ぜる音が響いた。
 舞い上がった埃が落ち着いた後、部屋の壁に大穴が出現していた。

「あ……」

 その穴の向こうには、パルスィの住んでいる部屋が――その中が悲惨な状態になっているのが見えていた。




 ◆◇◆




「この! この! この! こんのー!!」
「ま、待てパルスィ! 落ち着け! わざとじゃない!」
「今まで! あんたの! 馬鹿力で! どんだけ! うちの物が! 壊れたと! 思ってんのよ!」

 パルスィは憤怒の形相で、勇儀に枕を何度も叩きつける。
 パジャマ姿の橋姫がパジャマ姿の四天王に折檻するというこの構図も、風雷邸ならではである。
 一方、散らかった部屋を片付けていたキスメとヤマメは、

「ヤマメちゃん。パジャマパーティーってこういうものなの?」
「私に聞かないでおくれ、キスメ」

 おそらく、これからもこの面子は騒動と無縁じゃいられないのだろう。
 そんな風に思わずにはいられない、パーティーの幕切れであった。


(おしまい)
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Comment

地底の連中はイベント多くて退屈しないなあ
地上は大体八雲家関連の突発イベントなのに対して地底は事件が連鎖的に起きてる気がします(さとりパラレルワールド事件はサイダーのように昔の話かもしれませんが)
閻魔が食通ってのは今後の前フリなんですかね(考えすぎ)
いや、まだ特に際立った事件に巻き込まれていないお燐やお空に何かが起きる可能性も
いやいや、ここまで来たら地上編と地底編が合流して藍様や橙が地底の連中と絡んで大活躍するような大事件が
いやいやいや、ぬえちょん絡みで狸や寺が出張るか
読者って立場は最高ですね(鬼畜
  • posted by
  • URL
  • 2016.05/14 15:17分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>名無し様
 コメントありがとうございます! 
 地底は原作的にも謎が多く、創作的にも未開拓な部分が多いので、割と色々妄想を膨らませやすいんですよね。 
 コメディからシリアスまで、いくらでも事件が思いつく感じなので楽しんでます。
>>閻魔が食通ってのは今後の前フリなんですかね(考えすぎ)
 考え過ぎどころか、超前フリでございまするw ただ無茶苦茶長くなりそうなので心配です。
>>いや、まだ特に際立った事件に巻き込まれていないお燐やお空に何かが起きる可能性も
 現時点ではまだ考えていませんが、今後思いついて着手する可能性は十分にありますね。
>>ここまで来たら地上編と地底編が合流して藍様や橙が地底の連中と絡んで大活躍するような大事件が
 なるほど、そういうのもありかもしれません。本当にとんでもない大事件になって、書く方が解決できないかもしれませんが;
>>いやいやいや、ぬえちょん絡みで狸や寺が出張るか
 私よりアイディア出しとるじゃないか!(;゚Д゚)
 大変参考になりましたw 今後とも応援よろしくお願いいたします!
  • posted by このはずく/木葉梟
  • URL
  • 2016.05/15 14:04分
  • [Edit]

ほほえまー
いつも楽しませてもらってます!
  • posted by
  • URL
  • 2016.06/21 12:12分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます!
これからも、ほほえま四人娘をよろしくお願いします!
(けど次回のお話は、ほほえまよりも熱血展開を企画中……)
  • posted by このはずく/木葉梟
  • URL
  • 2016.06/23 21:33分
  • [Edit]

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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
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