やぶから九尾

東方SS書きのブログでございます

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東方SSこんぺを振り返って

 前回予告した、東方SSこんぺにまつわる私の走馬灯思い出話です。ダイジェストでお届けするので、わりと言葉も乱暴になっているところがあるかと思われます。ご了承くださいまし。
 それでは、続きからどうぞー。



  11/28 第一章追加
  11/29 第二章追加
  12/01 第三章追加
  12/06 第四章追加
  12/11 第五章追加
  12/22 第六章追加
14/01/04 第七章&終章追加

(以下クリックすると飛べます)

 第一章 第六回東方SSこんぺ(水)
 第二章 第七回東方SSこんぺ(色)
 第三章 第八回東方SSこんぺ(雨)
 第四章 第九回東方SSこんぺ(かがみ)
 第五章 第一回新東方SSこんぺ(新しい)
 第六章 第二回新東方SSこんぺ(空白)
 第七章 第十二回新東方SSこんぺ(嘘)
 終章  まとめ&考察






 



 第一章:第六回東方SSこんぺ(お題 水)


 2008年9月、創想話で『千年鍛えし釣りの極意』を投稿した頃のこと、東方SSこんぺなるものが開催されているという事実を知る。調べてみると、参加作品は全て匿名で表示され、一定期間内の評価点で競い合うお祭りだという。なんやそのお祭り。怖すぎやろ。公開処刑になるのが見えとるやないか。

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 とはいえ、当時デビュー前から書きたかった二つのSSのうち、八雲家(バックドロップ)の方は書けたものの、本命のSSについて全く書けるレベルに達していなかったため、とにかくSSを書く力をつけたかった。なので、いい機会だと思って挑戦することにする。いざ、滝登り。

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 お題は『水』。
 H2O。生物の体の構成の七割を占める、非常に身近な物質であるものの、だからといって簡単にストーリーが浮かぶわけでもなく。それ以前にまずお題という制限を課された状態で物語を創ったことも、〆切に追われたこともなかったため大いに悩む。
 
 ↓

 思いついたのは雨の日に街を歩いていた時。
 それまで書いていなかったレミリア視点のあるシーンを思いついて、これを練ろうとする。
 ここら辺の経緯は、ブログの『廻りゆく吸血鬼』のまとめで詳しく書いています。(じゃあ今これを書く意味がどこにあるのだろう、と冷静になる)

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 2008年10月。
 〆切当日の朝に完成。つつがなく推敲。おそらく現在にいたるまで、これほど余裕を持って完成させることはできていない。(むしろ回を追うごとにひどくなった)。

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 当日、(全く根拠がないというのに)自信たっぷりに『廻りゆく吸血鬼』を投稿。そして全体公開。参加数は64。どひゃー、本当に参加しちゃってるよ。大丈夫か。一つ上に『ジャパニーズサムライ・ミーツ・ガール1590』というド派手なタイトルの作品があって気圧される。でも長そうだったので、読むのは後にとっておく。まずは一番上から片づけていこうかな。張り切って読むぞ!

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 ええ、恥を忍んで書きますとも。感想期間中にまず最初に読んだのは、自分の作品でした。同日に何度も読み返したというのに、また読み返す心境を説明するのは難しいですな。でもすぐに誤字の発見に萎えるだけだと気づき、止めますた。くそう、あんだけ推敲したのに。

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 こんぺの読書期間に入る。このお祭りの凄いところは、創想話じゃまずお目にかかれなかったタイプの作品が多様に揃っていることだったんですよね。これは裏を返せば、私は創想話においてはある程度点数の高い作品、つまり大衆受けしていた作品ばかり読んでいたってことに気付かされたのです。それが60作品以上もあるのだから、頭がくらくらする。
 
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 感想期間の中盤まできて、印象に残った作品は、『CROSS RIVER』『かえるのたまごのたまごにかえる』など。感想のつけ方がわからなかったので、それまでのコンペのノリに倣うことにする。結果、自分の作品を棚上げして遠慮なく批評するクソ生意気な新人の感想をばらまくことになった。黒歴史。

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 感想期間中の終盤。『ジャパニーズサムライ・ミーツ・ガール1590』と『華燭の春 燐火にて』の二つに圧倒される。感想期間の開幕以来削られてきた、もしかしたら一位になれるかも、という淡い期待が、根こそぎ潰される。

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 前者はハイパー歴史エンターテイメント。椛カコイイ! 後者は橋姫のダークシリアス過去話。パルスィがとにかく哀しい。すみません、どちらも感想を一行で書けるわけないです。マジで面白いので、読んでない方は是非是非。

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 2008年11月 結果発表日。
 腹を下す。動悸がおかしくなる。座ってられなくなる。
 もうだめぽ。

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 ついに発表! 九位という結果に。本来なら喜ぶべき成績なのだが、上位との差を圧倒的に感じていたため、素直に喜べず。そう優勝したのはあの『ジャパニーズサムライ~』である。自分の作品の一つ上に一位が君臨していたのだ。陸上大会で「一緒に走ろうね」、ダンスのオーディション会場で「緊張するね」。しかし偶然隣に居合わせて話しかけた相手は、ウサイン・ボルトであり、マイケル・ジャクソンであった。ただ、あれだけのものが書けないとコンペは優勝できないんだな、と痛感する。(もっとも、2013年になってもまだ書ける気がしていない)

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 こんぺチャットでわいわい。
 作品のことについてじっくり語るのかなー、と思ってたら、そんなことはなかった。キャラ愛語りや下ネタ、東方以外の話題までなんでもありのカオスな流れに、また圧倒されることに。

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 深夜につくし先生に作品を褒めてもらう。特に書き出しが良かったと。ついでに「エロいねあれは!」とのコメントをいただく。当時は先生がどういった人物なのか全くわからなかった。

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 今もわからない。
 



 



 第二章:第七回東方SSこんぺ(お題 色)

  第六回のこんぺチャットで知り合ったSS書きの一人に、Nさんという人物がいる。
 後に様々なことでお世話になった人であるが、この出会いがSSを書く上での一つの転換期となった気がする。

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 Nさんは今は主に同人界隈で絶賛ご活躍中ですが、過去には創想話に何点か、そしてこんぺにも複数回投稿しておられました。全体の作品数はそこまで多くはないんだけど……。

 N氏の作品まとめ

 創想話の猫談義の点数にも驚くけど、コンペの方も恐ろしい結果が出ております。氏は第四回に登場して以来、五、六、八、と計四作投稿しているということなのだけど、その全てが一位か二位なのです。平均順位であれば過去断トツといえるでしょう。良く言えば変態、悪く言えば東方二次創作界の生きる伝説。ん?
 
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 そんなNさんと数度メッセでチャットをする機会に恵まれるのだけど、直接対話すると尚更凄さが分かった。豊富な知識と創作に対する考え方は非常に参考になった(参考になりすぎて心が折れそうになった)。あと年明けに氏の優勝作品である『おにんぎょうのロンド』を読んで泣いた。自分が過去に書いたどの作品も、まだこの域には達していないと思う。

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 ついに始まるという第七回SSこんぺ。
 この時期、創想話にて『八雲の式の式の式』を書き上げた勢いで、さとりと???のSSを思いつく。かなり自信のある作品だったものの、テーマがこんぺと丸かぶりして凹む。もろに『色』ですた。ここら辺の経緯はブログのまとめにある『Hello, my friend ―6つの色が揃うとき― 』に書いてある。(やはり冷静になって、どうして今この回顧録を書いているのだろうと思う)

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 書いたことのなかった地底組を渾身の思いで書き上げる。
 何となくダークで耽美でシリアスという作品が多かった地霊殿組を、普通のコメディキャラにしてみた。身悶えするさとり様が可愛い。あと、こいしは一番書きやすいキャラだった。勇儀姐さんの次に。この頃はヤマメのキャラも全く固まっていなかった。キスメは変わってない気がする。

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 第七回こんぺは、ずば抜けてレベルの高さを実感した作品はなかったものの、粒ぞろいという印象だった。私が気に入ったのは『ワールド・イズ』『幻想検校色話』『スエツムハナ。』『色盲河童』

 そして忘れてはいけない『東の空の、ゴールデンエイジ』
 コンペで過去に10点をつけた作品は、これを含めて数えるほどしかない。

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 私の作品はこちら。名前はPNSではなく、アルファベットをひらがなにして、ぴぃえぬえす、に。意味は特になし。自分の作品は客観視することはできなかったものの、上位入賞の手応えは正直あった。前回からどれだけ順位が上がったかを知るのが待ち遠しかった。

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 結果発表。順位は……四位
 優勝作品は八重結界さんの『姉さんが暴走しました、春 』。ギャグ短編が頂点を取る流れは予想していなかった。でも結界さんのギャグの安定感は読者としては安心感でもあり、納得の順位でもあった。

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 前回の九位から五つ上昇ということで、成長はできたのかもしれない、と安堵する。
 が、自分に寄せられた作品のコメントを見て、喜びが吹き飛ぶ。


 「新鮮な組み合わせ、中々楽しめました -3」


 これは色んなところでウザいほどネタにしているので、知っている人もいるかと思われる。それくらいショックな出来事だった。「面白くなかった-3」なら許せました。なんじゃい「中々楽しめました-3」って! せめて「新鮮な組み合わせでしたが、私の肌には合いませんでした-3」とかにしてよ! というか-3入れるくらいなら、無評価でいいよチキショー!

 それほど怒ることだろうか、とおっしゃる方はひとまず下のこれを見て頂きたい。

 第七回東方SSこんぺ順位表

 おわかりいただけただろうか。
 この-3コメントがもし4以上だったら二位で、9だったら同率一位、10だったら単独一位だったのである。まぁ中々楽しめましたくらいだったら、10点は難しいだろう。でも5点はもらえたかもしれない。本当にわずかな差だったのだ。

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 とはいえ今思い返してみれば、ここで優勝しても成長はできなかったはず。
 むしろ勘違いして間違った方向に突っ走っていた可能性も大いにあった。
 それにこれは、一位を取るには明確に足りない作品ではないか、と今読み返しても思う。
 だから今はもう根に持ってません。笑い話にできます。


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 それにしてもあの-3は(以下ループ


 



 第三章:第八回東方SSこんぺ(お題:雨)


 第七回と同じ年である2009年。第八回東方SSこんぺの開催が決定される。

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 お題が「雨」と発表される。
 当時のブログにも書いたけど、「水」がお題だった第六回で、すでに雨のネタを使った人はどうすればいいんですか! こんなの絶対おかしいよ!

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 すでに『廻りゆく吸血鬼』を書いていた自分は、それを超えるストーリーが思い浮かばなかった。もし私がSS創作において武器と自覚しているものがあるとすれば、それはSSネタの製造力だと思っていますが、この時は本当に何もなくて困った。

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(ちなみにその頃の自分は、第七回に頂いたコメントをヒントにして『サイダー色した夏の雲』の執筆してもいた。最初は三人組が歩いているシーンと、その後にヤマメに会うという部分だけしか頭になく、創想話の投稿ラッシュ、短編ラッシュ、万点ラッシュを横目に黙々と容量を増やしていた)

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 こんぺのお題発表から二週間が経って、ようやく一本ネタを思いつく。それは永遠亭にやってきたばかりの鈴仙のお話である。そういえば今まで自分は永遠亭組を書いたことはあっても、主題にしたことはなかった。その理由は前にも書いたが、シリアスかつ大がかりな仕掛けを考えるとかなりの確率で公式設定とバッティングを起こすからである。つまり、オリジナルな要素を組み込むことのできるスペースが狭い。

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 今回の話は、デビュー以来ようやく思いついた永遠亭の長編であり、これでコンペに参加したいと思った。しかしながら、その構想が固まった時は、二週間しか期限が無かった。

 ザ・詰み。

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 結局一週間で書けるネタを選んで参加。困った時の大図書館。そしてマリアリ。ちなみに私の作品には図書館がよく出てきていて、描写がネタ切れです。あと何度「書架が聳え立つ」か、予測がつきません。

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 完成させた作品は、『スウィート・レインを唱えて』。容量30kbちょっと。あっさり読める短編である。内容の方は、いかにも自分らしい作品。ただ本命の作品ではなかったために、今までのような全力投球したぞ、という実感が湧かず、奇妙な気分であった。

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 第八回こんぺは、そんな気持ちを裏切るかのような100作品越え。うはぁ読み切るのが大変だわい。早速自分の作品が投稿されているかをチェックしにいく。すると……。


 え……何この改行( ゚Д゚)

 
 なぜか私の作品は一行と一行の隙間に空白が生じており、自らの意思で改行をした部分はさらに大きな空白地帯が広がっていた。読みにくい。実に読みにくいぞぉおおおおお。

 実はMegalith(以前の小説投稿用スクリプト)の仕様上、プレビュー画面を一定時間開いていた後に投稿すると、こうした謎の改行が起きてしまうらしい。

 ……ええやりましたとも。みんなだってプレビュー画面で推敲することあんでしょ!? 
 当時はそんな理屈について全く理解しておらず、ムンクと化す。ちなみに、こんぺのルールでは、感想期間中は一切編集できません(結果が出た後に、すぐ修正しました)

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 過去最大の投稿数であった第八回SSこんぺは、そのレベルの高さも歴代屈指だったのではないだろうか。読者としては『あの夜のシューティング・スター 』『血みどろダディ・ワラキア』の両作品に圧倒された。どちらも長編ですが、超面白いのでぜひ読むべし(ちなみに『あの世のシューティングスター』を書いたのはNさんだと速攻でわかった)
 
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 結果発表。
 優勝は、ねじ巻き式ウーパールーパー氏の『血みどろダディ・ワラキア』であった。第六回に続く二度目の優勝である。複数優勝者は当時初の快挙だった。八重結界さんのギャグ短編が優勝した前回と違い、それまでの系譜に属するシリアス長編の優勝。

 ちなみに私の作品は34位。
 大きく順位を落としてしまった。けれども参加者数103だったことを考えれば、健闘した方だったのだろうか。地味にショックだったのは、うprpさんの作品も私と同じく改行地獄に陥っていたのにも関わらず、一位を取っていたことである。圧倒的な面白さは、些細なことなど気にさせない力があるのだなぁ、と思い知らされました。
 
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 なぜ自分が当時、永遠亭の長編を書けなかったのかを考えてみますた。
 一つは舞台装置が整っていなかった。エンディングの漠然としたイメージはあったものの、それを具体的な形にするのに適した方法が思いつかなかった。この適した方法が一日で思い浮かぶようになれば、SSを完成させる時間は半減するような気がする。それくらい毎回困る。
 
 あともう一つ。PNS名義であるからには、自分にとって理想的なキャラクター像であってほしい。けれども理想のてゐ、鈴仙、永琳、輝夜の姿が、なかなか当時は思い浮かばなかった。もしこれらをしっかりとイメージできてない状態で書き始めても、途中で大事故を起こして結局挫折していたと思う。

 というわけで、結局永遠亭の長編は、プロットと本文の断片だけしか書けず、お蔵入りとなった。

 まさか、これが四年の月日を経て、第十二回東方SSこんぺに投稿されることになるとは、当人も全く予測できなかった……。


 


 創想話ラグナロクについての話は、長くなるので番外編の方で。
 第四章は第九回東方SSこんぺのお話をいたします。



 第四章:第九回東方SSこんぺ(お題 かがみ)

 2010年10月。
 創想話ラグナロク、夏コミというイベントを通過して、ようやくコンペの季節が巡ってくる。
 今回のお題は「かがみ」。鏡でも鑑でも屈みでも許されそうなお題。柊かがみはさすがにダメだろうけど。
 
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 さっそく手元のSSネタストックから、「かがみ」と相性のよさそうなものを探してみることに。
 すると一つこれはいけるんじゃないか、というものが見つかった。
 それは紅魔館にゴリラが出てくるSSである。文章にすると凄いなこれ、どんなSSだ。

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 それまで自分は、世界観が全て共通しているSS(一部例外あり)しか書いたことがなかった。なのであるSSの伏線が別のSSで生きているということもよくあった。しかしそれだと自由で冒険的な発想が生まれにくい。あまり暴走させすぎると、次に書く話に悪影響があるからだ。どんなにふざけているつもりでも、どこかでブレーキがかかっていた。

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 そしてこのゴリラが出てくるSSも、そういった問題を抱えていた。というのも自分はデビュー以来ずっと温め続けて、すでにゆで卵化している大本命中の大本命紅魔館SSがある。その超長編SSとゴリラSSはどう辻褄を合わせようとしても無謀なほど内容が異なっていた。(そしてそのSSは1000kb以上書いた状態で放置されている)。なので超長編SSを書いてから、一旦共通世界観は放棄し、それからゆっくりとゴリラSSを連載か何かの形式で投稿しようと考えていたのだった。

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 しかし、「かがみ」というお題が発表された今、早急にその問題を解決しなくてはいけなくなった。PNS(別世界観)という風に書くのは何だかみっともない。どうせなら他にハンドルネームを使った方がいいような気がした。第一このPNSという名前は今でも全く気に入っていな(ry

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 そして、もう一つ実験してみたいことがあった。それは2010年当時、創想話が新人がデビューするのに厳しくなっているという話を聞いていたのだ。だから、こんぺとは別に(むしろこんぺの感想期間中とかに)創想話の方でも同じ新ネームでデビューしてみたくなった。名前読みというのは、ありがたい反面、書き手を甘えさせて成長を止めかねない危うさがある。力をセーブして書いた作品を投稿して、「さすがPNSさん、いつもながらの安定感ですね」的なコメントをもらうと、「さすがPNSさん、いつもながらの安定感ですね(棒読み)」に空目してしまうのである。「あの作者は名前読みされてるから点数をもらってるんだ」という意見にも、怖いけど挑戦してみたかった。

 あとは単純に悪戯が大好きなので、


 「2010年組だと思ったでしょ? 残念! 2008年デビューでした!」


 がやりたかった。というかこれが一番デカい理由まである。
  
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 新ネームにはいくつかの条件があった。
 1 アルファベット禁止(PNSとかぶるため)
 2 同名のHNが過去に存在しないこと(大前提)
 3 自分が好きな生き物の名前が入ってること
  
 そして色々と探してみたところ、コノハズクが見つかった。
 梟はとても好きな鳥で、木葉梟と変換すると、名前に木が入ってるのも気に入った。
 (ちなみに普通のコノハズクよりもアフリカオオコノハズクの方が好き)
 
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 脇道にそれるが、次の年になって東方神霊廟が発売され、豊郷耳神子なるキャラクターが六ボスとして登場した。この神子様、髪型が面白くて口調が好みで、聖徳太子なるキャラクターも非常にどストライクで、なおかつコノハズクをモデルにしているのではないかという説を見て仰天した。確かに耳っぽい髪形はあの鳥のようだし、「仏・法・僧」と鳴くと言われているからして、モデルになっていても不思議ではない。なんという運命的な出会い。脳内ランキング急上昇。あと、みことじふとみこも王道だと思うけど、私はみこナズを推します、あえて。

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 計画に目処が立ち、あとはSSを完成させるだけとなる。
 だがここからが問題だった。ゴリラSSは本来四話分の連載形式で考えていたため、一話にまとめるためには構成を考え直さなくてはいけなかった。ただ書くこと自体は非常に楽しいSSだった。やはり紅魔館キャラというのは動かしやすくてそれぞれの立場のバランスがよく、話を進ませやすい。特にレミリアとゴリラと咲夜のアットホームな関係が、とても気に入っていた。

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 まずは木葉梟名義で『レミリアとゴリラ』をこんぺに投下。
 さらに、こんぺ感想期間中に『秒速三十センチの死』を創想話に投稿して、エセ新人デビュー。

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 創想話の方は結果的に(正体がPNSであることを明かす前に)目標である万点を獲得することができた。でも新人ではあれど、短編ギャグという読まれやすい作品だったので、長編でデビューしていたらどうなったかはわからない。試してみたいけど、これ以上名前増やしても悪ふざけにしかならない気がしないでもない。

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 こんぺ結果発表。
 第七回の「Hello,my friend」が四位で、その半分くらいの気合で書いた作品だったので、ほとんど期待せず。ねじ巻きさんの作品のレベルが高すぎたために尚更。ロディーさんの作品も同じく。

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 けれども『レミリアとゴリラ』がなぜか1位を獲得。
 なんでやねん。あれゴリラやで。

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 落ち着いてから、念願の一位を獲得できたことに有頂天となる。
 でもまだ『謎の新人木葉梟』でやりたいことがあったので、バレる可能性大なコンペチャットに参加できず。その結果、『謎の無礼な新人木葉梟』になってしまった。悲劇。ラグナロクで組んだメンバーともう一名だけはこの時に偽名のことを知っていたはず。
 
 ちなみにメンバーの如月日向さんはこの時に『鏡よ鏡、幻想郷で一番……』で五位入賞という素晴らしい結果を残していた。もし蛸擬さんが参加して入賞していたら、博麗ドラゴンミストがコンペを席巻していたことになる。(・∀・)ニヨニヨ

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 あと過去の結果発表時は心臓バクバクでPCとにらめっこしていたが、今回は普通に寝ていたため、起きてから結果を知って蒼白になった。本気でやっても優勝できず、優勝してもその理由がわからない。こんぺは魔境。

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 ちなみにこの時の作品『東方吾妻鏡』の作者さん゚ - ゚ノっ無かったこと氏の他の作品を知っている方がいらっしゃれば、どうか教えてください。ファンなんです。

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 他にはやはり、ロディーさんの『女刑事・小兎姫シリーズ 『水月鏡花』』と、うprpさんの『州立ジェフリー・F・ベーカー記念刑務所第48号独居房』は外せない。このどちらかが優勝するのだろうと思っていた。

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 そもそも、こんぺというのは『レミゴリ』のような王道まっしぐらで穏やかな作品が優勝するような場ではないと思っていたのだけれど、考えてみればこの頃から、こんぺの評価者の基準が創想話寄りになっていたようにも思える。すなわち抽象的で文学的でシリアスなものから、わかりやすくてライトな作風を好む流れである。特に断絶期を経て開催された新東方SSこんぺからは、なおさらその傾向が強まったのではないかと思う。

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 どっちかいいとか悪いとかじゃないけど、できれば投稿者や評価者はバラエティに富んでいる方がいいと思います。だって似たり寄ったりの作品ばかりが評価されるなんて嫌でしょ?


 




 第五章:第一回新東方SSこんぺ(お題 新しい)


 2012年1月。
 震災以来、開かれることのなかった東方SSこんぺがついに管理人様を新たにして動き出す。
 この時、木葉梟のやる気はマックスとなっていた。もちろん久々のこんぺということもあったが、それよりも大きな理由があった。それは前回こんぺで一位を勝ち取ることができた作品、あの紅魔館ゴリラSSが原因である。

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 今日に至るまで、自分はブログにて『レミリアとゴリラ』をあまり自信満々に取り上げた事は無かった。実際、一位と認められた瞬間に爆睡していたことや、後日悪戯でネタ画像をあとがきに添付したりしたこと(いまだに残してある)などは、我ながら本当に愛のある作品に対する仕打ちとは思えない。もうむしろあの作品が嫌いなんじゃないかと勘違いされるかもしれないけど、そんなこともない。ただ優勝してからしばらく、喜びとは別にもどかしさのようなものが続いていた。何が問題だったかというと、ずばり、しばらくコンぺが開催されなかったことである。

 すなわち『レミリアとゴリラ』が、SSこんぺの歴史に終止符を打った作品となる可能性があったのだ。


 これは非常にまずい。体裁が悪い。これから永久にゴリラSSを書いたディフェンディングチャンピオンを名乗るというのは恥ずかしい。チャットに登場すれば「ゴリラ! ゴリラ!」、道を歩いても「ゴリラ! ゴリラ!」、目覚まし時計にも「ゴリラ! ゴリラ!」と囃し立てられかねない。だからもう一度こんぺが開かれてほしい。その時は今度こそ、まっとうでカッコよくて心からやりきったと思える王道作品で挑戦してやる! 木葉梟は燃えていた。

 が、お題発表時にいきなり壁にぶつかる。

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 題名の通り、発表されたお題は「新しい」だった。なんと『新しい』お題であろうか。
 一見、新東方SSこんぺにふさわしいお題といえよう。
 が、これは『水』や『色』や『かがみ』などと違い、過去に類を見ない抽象的なテーマである。
 視方によってはどんな物語だって『新しい』話にできるだろうが、根っこのテーマに『新しい』を組み込むとなると、恐ろしく難しい。だが参加表明禁止というコンぺの形態上、あまり声を大にして愚痴るわけにもいかない。むむむ。

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 なにがむむむだ! とにかくストックから探してみるのではなく、一から話を考えてみる方向性で行こうと思った。思いついたプロットは二つ。一つはにとりとヤマメが紅魔館にメイドとして就職する話。要するに『新しい』メイドを雇うという話である。ドタバタコメディに見せかけた、どんでん返しもので、内容にもそれなりの自信があった。
 もう一つは、はたてが殺人事件の現場を念写してしまうというネタ。結果的にこちらのプロットを改造して参加することに。今まで書いたことのなかった姫海棠はたて嬢を、主役に抜擢するという挑戦であった。
 ちなみに、にとりとヤマメの話は永遠に書くことはないと思います。このままだと。
 書くとしたら木葉梟名義で。こんぺには出せませんね。たった今、内容書いちゃったから。

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 はたてというキャラに対する思い入れについては、またいずれ機会を見てということで。今回は舞台設定について。妖怪の山というのは、自分の中ではダンジョンというイメージがある。まずでっかい。そして排他的な一大勢力が住まう場所。これまでも、おそらくこれからも、難攻不落な要塞としての役割を見出していくことになると思う。けれどもこの作品に限っては、妖怪の山を一つの社会として描こうと試みた。きっかけは以前にこっちで書いた通りです。這い寄る妖怪さんは私とはタイプが全然異なる書き手さんなのですが、タイプが違っても面白いものは面白い。そしてそこが凄く刺激になるんだと思います。

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 東方には主従を基本とした上下関係は豊富にあっても、階級の違いをテーマにして書ける題材というのは限られている。妖怪の山はその点、うってつけであった。
 あともう一つ大きな理由がある。それはオヤジキャラである。
 東方というのは右を見ても左を見ても少女だらけの世界だ。可愛らしいキャラクターを元に自分の手で物語を創りたい、あるいはそんな物語を見て萌えまくりたいという欲求が元で、この世界に浸っている人達も多いだろう。

 しかし、しかしだ。私は声を大にして言いたい。魅力的な花の絵を描けと言われて、ひたすら花をたくさん書くのが正道といえるだろうか。現在プロフィール画像にも設定している某青年漫画雑誌にて連載中の某大陸の歴史を舞台にした某戦国漫画において、あの二人のヒロインが輝いて見えるのは、間違いなく周囲にいる線の濃すぎる男臭い武将共が故ではないか?

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 まぁそれ以前に、カッコいいジジイ的キャラが私は大好きなのもあった。そして東方を舞台にジジイを書いてはいけない道理はない。オヤジ共の保守的で古臭い空気を、瑞々しい輝きを放ちながら、新しい風で貫こうとする少女天狗のエンタメ。

これはいい! 書くべきだ俺!

 ↓

 けどいざ実際取り組んでみて思ったこと。このSSやたら難しい!!
 当時ストーリーの風呂敷を大きく広げようとしたのだけど、東方において公式に名前が出てくる天狗キャラはごく少数で、妖怪の山の社会を描いた大掛かりな話を作るには不足している。なのでオリジナルキャラクターについても必要な分考えなくてはいけない。そして妖怪の山での階級名については設定資料の中に存在したものの、具体的にどういう流れで社会が回っているかについては、ぼやけていた。なのでそうした世界も一から作りあげなくてはならなかった。

(これはかなり実感していることなのだけど、長編はバックボーンがしっかりしていればしているほど、読み手としては奥行きを感じられて気持ちが弾む。それはオリキャラについても同様で、ただ登場させるだけではなく、物語のための何らかの役割を持たせることで読み手に生き生きとした印象を与えることができる気がする)
 
 ↓ 

 そして書きあげたSS『空翔ける天狗達のきらめき』。タイトルは某漫画の奥義のパロディである。なぜこのパロディを使ったのかは、読んでくれればわかるはず。そしてこれは『新しい』というお題じゃなきゃ生まれず、『2012年』でなければ書けない話でもあった。つまり、私がこんぺで一ヶ月で書いた初の長編ということになる。
 だがこのSS、〆切当日に書いたシーンもいくつかあって、しかも推敲ができなかった
 その時の慌てっぷりについては、以下のごとし。

 ↓
 
 執筆中、自分は「ここは表現を変えたいな……」「ここはちょっとおかしいぞ」という部分は()をつけることにしている。今までこんぺの〆切当日までにはそれがほとんど消えていることが多かったのだが、今回の新東方SSこんぺでは、〆切日に残された大量の()を何とかする作業に終始した。

 なので当時の推敲は()が残ってないかを検索することであった。

 ↓

 ()は無事に全部消えたが、他にも問題は残されていた。
 実はこのSS、作品名は『空翔ける天狗達のきらめき』なのだけど、これも当日決まったこと。それまでは、とある仮題をファイル名にしていた。問題なのは作中に出てくるタイトルもその仮題にしていたのだけど、それを変更するのを危うく忘れそうになったことである。喩えるなら、映画『ロッキー』の劇中タイトルが『ランボー』に変わっていたようなものだ。間違いなく試写会でポップコーンとコーラが乱れ飛ぶ。

 ↓

 そしてさらにもう一つ。この作品に出てくる重要なキャラの一人、土御門秋葉という天狗がいる。だがこの名前に決まったのも当日で、それまではずっと土御門だった。苗字はともかく、名前に突然現れたこのルーミアは何なのか。なんて呼ぶのかまるでわからん。くろまるさんか? 〆切15分前に一斉置換した。

 ↓

 そしてそしてさらにもう一つ。
 〆切10分前に投稿したのはいいが、まさかのエラー表示。こんな時に限って!?
 慌てて私はもう一度急いで準備を整え、再投稿。またもエラー。
 パニックに陥りつつも、ブラウザを変えて試してみる。今日三度目のエラー。そうこうするうちに、〆切時間が来てしまう。

 ↓
 
 作品公開の時間がやってきた。
 私の『空翔ける天狗達のきらめき』は、無事に投稿されていた。





 三つ。



『空翔ける天狗達のきらめき』
『空翔ける天狗達のきらめき』
『空翔ける天狗達のきらめき』



 やめてくれー! 
 同じ作品を三作投稿したからって別にジェットストリームアタックが使えるわけじゃないし恥ずかしいだけだ!


 ↓

 結局、Megalopolisの仕様上、大容量の作品を投稿して受付時間が一定の長さを超えると、エラー表示が出てしまうというのがわかった。聞いてないよそんな仕様!(ちなみにこの時、佐藤厚志さんの『I’m crossing the river』も二作投稿されていた)
 とはいえ、ひとまず管理人様に修正してもらい、無事に参加資格を得ることができた。が、推敲していない作品を投稿してしまったことには変わりない。ただでさえ多い誤字が、一体いくつ存在したのだろう。木葉梟の大後悔時代が始まり、約一か月に渡って続く。

 ↓

 ちなみに締め切り時間間際までBGMにしていたとあるジャズナンバーを聞くと、その時の恐怖が思い出されるようになってしまったため、今となってはまともに視聴できなくなった。正直、マッコイ・タイナーの笑顔を見るだけでトラウマが甦る(嘘)。

 ↓

 結果発表前の時間帯は、今は亡きパバロッティの「誰も寝てはならぬ」を聞いていた。
 理由はもちろん寝るのを避けるためである(アホか)。
 けどもっといい手が思いついた。それは散歩してくることである。PCにかじりついて今か今かと待ち構えるよりも、だいぶ体に良さそうだ。

 ↓
 
 計画通り散歩中に0:00を回っていて帰ってきたら1位であった。
 わーお、としか言いようがない結果でした。何しろアクシデントだらけだったので……。
 でも、これでこんぺチャットがすっぽかせなくなったぞ。連覇者が顔を見せないほど寒いことはない。なので……

 ↓

 ついに正体をバラすことに。じゃーん、木葉梟の正体はPNSだったのさ! 
 チャット内外の人にドン引き驚かれる。
 秘密を持つというのは楽しい反面苦しい。おかげでだいぶスッキリしました。
 ただバラすタイミングはもっと後と考えていたために、ちょっと今後の活動がやり辛くなってしまった。

 ↓

 作品についてはコメント、チャットの両方で好意的な評価をいただいた。
 そして自分としても、今まで書いた中で一番好きな作品だと思う。
 理由としてはまずオリキャラと天狗社会の描写が凄く気に入っていて、なおかつはたてのキャラがかなり好み(自分で言うか)。木葉梟名義じゃなくてPNS名義にしたいくらい、一発で終わらせるにはもったいない舞台。もっとも全体の完成度には不満があって、本当は直したい気持ちも少々残っています。ただそれでも好きなことには変わりないけど。

 ↓

 あとこのコンペでは二位の生煮えさんの作品に腹筋を鍛えられまくった。
『在るガトーショコラより始まる奇矯な恋の物語の顛末およびそれらが招いた幻想郷社会の意識改革についての概要』
 評価数もこんぺ作品中トップだったし、優勝してもおかしくないスピード感があった。
 氏の作風は融通無碍といってもよく、真面目で挑戦的な姿勢がある。これからどんなタイプの作品を生み出していくかが読者として楽しみな一人。

 ↓

 旧と新の違いはあるけど、結果的にこんぺを連覇することができた。だが目標とするレベルまではまだ遠い。今回の反省を生かして、次はもっともっと完成度の高いSSで挑戦するぞ、アクシデントなんて起こさせないぞ、と木葉梟は誓ったのであった。


 ……そのはずだったのだが。



 




 第六章:第二回新東方SSこんぺ(お題 空白)


  突然ですが、こんぺには大きく分けて四タイプの投稿者がいることをご存知でしょうか。

 壱式:お題が決まってからプロットを考える。
 弐式:あらかじめ考えていた(書いていた)話にお題を組み込む。
 参式:〆切間近になって天啓のごとく閃きが生じ、急いで書きあげる。
 零式:間に合わずに創想話に投稿する。


 こんな感じですな。おかしなところなどまるでない。

 ↓

 2012年9月。
 第二回新東方SSこんぺ(第十一回東方SSこんぺ)開催の告知。
 私はもうお題が決まる前から、何を書くかを決定していた。つまり弐式で参加しようと考えていた。

 ネタがなかなか思いつかなくて困る人と、ネタを思いつき過ぎて困る人。私は完全に後者のタイプです。SSのプロットの種はたくさん。使えそうなネタは山ほど。でもそれが全部、例えば創想話に投稿すれば万点を取れる自信があるか、と聞かれると「そんなahoな話があるかいな!」と答える他ない。ただし「これは絶対に面白くなりそうだ!」と自信の湧いてくる種はある。十本に一つか二つの割合で思いつく。

 ↓

 第二回新こんぺで投稿しようと目論んでいたそのSSは、ものすごく自信のある内容で、まさしく十本に一つのシリアスストーリーであった。そしてさらに都合のいいことに、そのSSは色んなテーマを内包していて、どんなお題にでも柔軟に対応できそうなお話だった。前回は『新しい』というかなりスパルタなお題だったけど、さすがに二回連続でそんなマニアックなお題が発表されるはずが……。






 

 823 名前:166 ◆he7BqzM2gI[age] 投稿日:2012/10/10(水) 21:22:57 ID:qG/X.CzQ0 [2/2]


 お題  「空白」


マイナス票数6票以下の23個のお題からランダムで選出しました。












 ( ^ω^)


 

 我に返ってはじめに思い浮かんだのは、白紙の解答用紙だった。
 続いて今一度、つい五分前までどや顔で眺めていたプロットを再び読み返してみた。

 無い。どこにも空白の要素が無い。力づくで押し込めばなんとかなるかもしれないが、それはお菓子のドーナツ選手権で、ぶら下げたLサイズのピザにグーパンをかまして空白を生じさせ、「これドーナツだし!」と審査員に言い張るような試みだった。犯罪的な無茶だ。
 
 ↓

 それにしても、空白で何かを書けというのは禅問答のようである。普通そんなネタは考えない。管理人様が将軍様なら、我々は量産型一休さんか。
 
 弐式で参加しようとしていた者に対する挑戦状的なお題を前にして、「困ったなんて話じゃねーぞ、なんで二回連続でアブストラクトなお題が選出されるんだよ。おくうが制御棒を構えて聖に迫るギリギリアウトな空白SSを投稿してやろうか、ついでに作者名も空白にして……でも連覇中の作者としてはやるしかないぜ」とあくまでクールに頭を切り替えつつ手持ちのストックを漁ってみた。もしそれで見つかりそうにもなかったら、諦めて前回と同じく最初から考えるつもりだったのだが……一つだけ、空白とそこまで違和感なく融合させることのできそうなプロットが見つかった。

 それは紅魔館における、レミリアとパチュリーのシリアスストーリーだった。これまた、『レミリアとゴリラ』と同じく、PNS名義でメガトン紅魔館SSを片づけてから、ゆっくり書くつもりだった。というのは、内容が今まで自分が書いてきた長編SSと毛色が異なっていて、書き様によってはホラーにもなりそうな話だったからだ。PNS名義で出す紅魔館とはかなり雰囲気が異なる。だがもう木葉梟という名前を持ったため、共通世界観の制約を気にすることなく創れるわけである。書こうと思っていたSSは名残惜しいけど、今回はこっちの紅魔館SSを書こう!

 ↓

 が、長編でこんぺに参加しようとして楽に済むはずもなく。
 本当に書きかけで文量が半分くらい完成しているのであればいいのだけど、実はこのSS、ギミックだけは何となくイメージにあったものの、具体的にどんな話の展開にするかについては、全く決めていなかった。オチすら未来の自分に丸投げであった。ハッピーエンドかバッドエンドか爆発エンドかすら定かではなかった。
 もし紅魔館じゃなければ挫折していただろうけど、ここの勢力はすでに何度か書いているし、やっぱりキャラクターのバランスも取れていて動かしやすい。あと『レミリアとゴリラ』の時に用意しつつも未使用だったフィールドをリサイクルすることができたのも助かった。

 タイトルは散々悩んだ末、『魔女の筆にスカーレットを』に決定。
 前回の『空翔ける天狗達のきらめき』は、ろくに推敲ができない状態で投稿したことで悲惨な気持ちにさせられたものの、今回の魔女筆にはそうした心配はない、と思っていた。無事に最終日の前日に全体を完成させることができていたからだ。

 ところが、やはり〆切の日に問題が突如発生するんだなこれが。

 ↓

 当時、完成させた作品を読み直して、私は愕然とした。
 いや正確には、創作者としての自分が愕然とし、読者としての自分は正直怒髪天を衝く勢いであった。なんのことかというと、後半ノリノリで書いていたバトル部分が、いざ全体を完成させた後に読むとだるい。だる過ぎる。もっと正確にいうと、ストーリーの流れが『作品の世界』から『作者の趣味』の域に大きくはみ出してしまっていた。もし採点側に回ったら3点くらい引いててもおかしくない歪みだ(こんぺは10点が最高評価)。
 
 ↓

 理想の作品像というのはもちろん書き手によって異なっているだろうけど、自分の場合はまず見せたい『絵』がオチを含めていくつか書く前に存在して、可能な限りスムーズに濁りなく話を展開させて『絵』まで連れて行くのが理想であり、その『絵』が生える演出を考えるのが楽しみでもある。なので、一番気をつけていることの一つが、作品において中だるみをさせないことだった。
 が、その時の魔女筆を読み返して思ったのは、気を溜めたりかめは●波のぶつかり合いだけで一週消費してしまう某アニメのそれであった。アニメならまだ情状酌量の余地はあるが、映画や二時間ドラマでそんなことをやられてはたまらん。SSも同じである。
 
 が、今から戦闘に手を加えているのでは、絶対に間に合わないだろう。
 切羽詰まった状態で作品を俯瞰してバランスを再考するというのは田舎の兄ちゃんがシートベルトをせずにF1マシンに乗ってモナコの市街地を駆け巡るくらい危ない。ほとんど四次元殺法だ。

 ではどうするか。答えはすぐに出た(というかすぐ決断しなきゃ間に合わなかった)。


 このシーンを丸々捨てればいいじゃないか!


 ↓

 特に作品を書いたことのある人には共感できる話かもしれないけど、普通書いたものを捨てたり削ったりするというのは痛みの伴う行為だ。できればやりたくないし、思いついたものは全てぶち込んで提供してみたい。が、完成度というものを優先した際、どうしても余分な一文や場面というものは出てくる。それを捨てるか捨てないかは、アマチュア創作者にとっては自由な選択だろうし、どっちがいいとか悪いとかいうはなしではない。ただ、こんぺという競争の舞台においては、完成度優先の方が優れているだろうし、ふさわしいはずだ。なので自分は捨てることを決断した。
 
 とはいえ、その判断が原因でバトルシーンは削れたものの、結局全体を十分推敲することができなかったんだけど。

 ↓ 

 無事に『魔女の筆にスカーレットを』を投稿。
 第二次大後悔時代を経験することになったわけだけど、実は今回、結果発表前から嬉しくなる出来事があった。というのも、参加作品が前回よりも大幅に増えていたのだ。その数42作品。前回のこんぺが17作品であったことを考えると素晴らしい進歩である。

 ↓

 いざ結果発表。今回はきちんとPCの前で待った。
 二回も優勝すれば慣れてくるかと思ったけど、そんなこともなかった。
 結果はまたもや1位、しかも自己最高の得点であった。(Rateは前回の方がよかったけど)。
 
 自分のことだけではなく、こんぺ全体のことについても触れておく。
 『空白』というお題の難しさにも関わらず、第二回新東方SSこんぺの作品投稿数は第一回新東方SSこんぺの約2.5倍42作。そしてもっと凄いのが全体評価数で、約3倍1076平均25.61という天晴れな数字だった。作品も面白いものばかりで、特に好きな作品については、それぞれブログで紹介済。こちら
 このコンぺではチャットでの打ち上げも非常に盛り上がって、Skypeの知り合いも増えた。つまり、結果もその後も個人的には大成功だった。あと、うるめさんから名指しでリベンジ宣言をされたのが印象に残っている(・∀・)
 
 それにしても連覇ですら昔は不可能としか思えなかったのに。……そう、『昔は』。

 ↓

 実は『レミリアとゴリラ』で優勝した時からずっとある疑問を抱いていて、それはこんぺで優勝する度に深まっていた。それは何かというと、こんぺの評価基準が昔と比べて変わったのでは、ってことである。平たく言うと、いつの間にやら創想話の基準に近くなってきたんじゃないかってことだ。このことについては、次章の総括にて、改めて取り上げたいと思う。






第七章 第十二回東方SSこんぺ(お題:嘘)

 

 2013年九月。
 第十二回東方SSこんぺの、お題募集が始まった。
 約9ヶ月ぶりの開催へと動き出したわけである。

 なんと初代管理人だけではなく、二代目管理人まで行方不明となってしまったこんぺ。
 新東方SSこんぺに関しては、第一回から第二回までに大幅に参加者が増え、せっかく盛り上がりの兆候を見せていただけに、とても残念な気持ちだった。
 だがついに、現こんぺ管理人様が立候補してくださり、見事に三代目の誕生とあいなった。
 これにて、第十二回東方SSこんぺが開催されることになった。

 ↓

 ちなみに第一回新東方SSこんぺの時と比べて、木葉梟はそこまでこんぺの開催を前にして気が逸っていなかった。やる気がなかったわけでは非ず。ただ、あの時は『レミリアとゴリラ』のイメージを吹き飛ばすような作品を目指すという、背中から追い立てられるようなモチベーションがあった。それに比べて、今回三連覇中の木葉梟は『魔女の筆にスカーレットを』がそれなりに満足のいく出来栄えだったため、特に上書きしたい過去もなく、割と気持ちは落ち着いていた……


 ……はずなんだけど。やっぱり事件は起こるわけで。

 ↓

 では何が起こったか。
 実はこの時、私はお題が発表される前から、書くSSを決めていた。
 前回、お題と合わなかったために泣く泣く諦めたストーリーである。
 結果は魔女筆が優勝できたために万々歳だったのだけど、それでも未練は消えていなかった。今度こそあのSSを完成させて、気分スッキリこんぺを迎えたい! 
 



149 名前:第十二回東方SSこんぺ ◆c3l/mgxK06[sage] 投稿日:2013/09/26(木) 00:00:26 ID:bn.azjxA0 [1/2]
■第十二回東方SSこんぺ 開催のお知らせ
――――――――――――――――――――――――――――――――
   _、,、,_         お題 「嘘」
   `、r`=Y
   , ' `ー '´ヽ  投稿期間:9月26日~10月27日
   i. ,'ノノ ))) 〉 感想期間:10月28日~(最長で12月8日)
   | ii ゚ - ゚ノ|.!. 結果発表:感想終了日の翌々日
   ||kリ,_\_リiつ________E[]ヨ________________
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

今回のお題は「嘘」になりました。
投稿の受付は本日からです。

それでは皆様、よろしくお願いいたします。




 ( ゚Д゚)





 この時の葛藤は凄まじかった。
 嘘が似合うキャラは東方に複数いる。小狡い性格をしている妖怪だけでなく、正直を旨とする鬼だって嘘というテーマと相性がよろしい。

 しかし私にとっては、まず第一に彼女が現れる。永遠亭に住みついた因幡の白兎。
 そう、四年前に諦めたはずの、あのSSのことを思い出してしまったのだ。すなわち、第三章で書いたあの鈴仙が永遠亭にやってきた頃のお話である。

 ↓

 さて、こんぺは期間を設けて匿名作品で一位を競い合うお祭りである。すなわち、そこには〆切が存在し、競争意識が明確に表れる。この二つの殺伐とした条件は、参加者を退ける悪い点にも繋がりかねないが、利点もある。なかなか作品を完成させられずにいる人間にとって、強烈なドーピングになるのだ。

 ↓

 前回諦めてしまったSSは、いつかは書く。それは絶対だ。けれども四年前に書きかけて諦めたあのSSは、あと十倍の年数が経っても完成しない可能性の方が高い。
 それにしても、消えたはずのSSが、四年後に再び自分の前に現れるとは。
 なんだか幽霊みたいだ。……ん? 幽霊?

 ↓

 その瞬間、『幽霊兎』というキーワードを閃いた。
 永遠亭にやってきた鈴仙が、すんなり兎達の輪の中に溶け込んだとは到底思えない。
 何しろ地上の愛玩動物と違い、彼女は姿を消しつつレーザーを撃つ戦闘タイプの兎だ。
 喩えて言うなら、










プレ様

 プレデターが突如日本の全寮制の高校に転校してきたようなものである。

 生徒諸君は、仲良くなるよりも自分の首をトロフィーにされないかどうかで眠れない日々が続くはずだ。 (((( ;゚Д゚)))

 しかしながら当然プレデターも……いや、鈴仙も彼女達との溝を感じることだろう。
 その象徴として、永遠亭にやって来た鈴仙が、自分にしか見えない幽霊のような兎を見つけたらどうだろう。これはいけそうだ。四年前には思いつかなかったギミックの鍵が、ここにきて手に入った!

 ↓

 実はこんぺの開催が決定する直前に、生煮えさんから東方ミステリの可能性について教えてもらっていた。本来完全犯罪を容易く遂行できる能力を持つキャラばかりのジャンルであるが、例えば氏が書いたこちらのSSは、能力という枷を逆に上手く利用したミステリだし、第九回のロディーさんの作品もやはりミステリであった。つまり決して不可能ではない。
 単に鈴仙が永遠亭に馴染めない話を書いたとしても、だれる可能性が非常に高い。それよりも何か明確な目的……たとえば殺しの犯人を追うという動機を与えることができれば、読み進む原動力につながるのではないか。
 というわけで、久々のPNS名義にて、今回はかつては諦めた永遠亭ミステリで参加することに決めたのだった。

 が……。

 ↓

 はっきり言って、100kb超えの作品のミステリの推敲は半日じゃ無理だった。
 話の流れの微調整や誤字脱字の見直しであれば十分かもしれない。けれどもミステリにおいては、誰が何を知ってて何を知らないか、そのトリックの効果が正しく働いているかどうかについて、ひたすら考えないといけない。おまけに迫る〆切のプレッシャーと相まって、潜水して時限爆弾の解体を行ってるような、半端じゃない息苦しさがあった。結局、書きたかったシーンの二つを泣く泣く伝聞で済ます。(そしてそのうちの一つは伝聞さえ入れられなくなる。ひどすぎ)。

 ↓

 本来は投稿できる完成度ではなかったと思う。
 しかしコンぺは、無理に仕上げて参加するよりも間に合わずに諦める方が後悔する、というのを過去の参加者の方々からよく聞いていたし、前回のこんぺチャットではリベンジ宣言までしてもらえた。だから、自分も必死こいてとりあえずなんとか読めるものを投稿することにした。タイトルは『幽霊兎はどこに消えた?』

 ↓

 さて第十二回は感想期間の始まりと同時に、疲労が吹っ飛ぶほどの驚きが待っていた。

 100kb超えの作品が自分のを含めて全部で9つ……! 

 しかも300kb越えの作品が……2つ!?

 容量上位十作品だけで1500kb超えである。マジか。
 これは過去に類をみない長編こんぺの始まりだ……!

 ↓

 とはいえ全体参加数は38なので、長編の割合は四分の一に満たない(それにしたって過去最多だが)。ともかく、第一回新東方SSこんぺよりも参加者が多かったのは嬉しいな! さて、懲りずに自分の作品を読みに行って大恥をかくことにするか!
 
 
 ↓


(以下、当時の自作のあとがき)

 ~~~~~

 まずは、ギリギリで間に合ったことについて、悪戯の神に感謝を捧げます。
 そして呼んでくださった貴方に、さらに盛大な感謝を。

 ~~~~~
 

 ↓


(  ゚д゚) ・・・


(つд⊂)ゴシゴシ


( ;゚д゚) ・・・


(つд⊂)ゴシゴシゴシ

 _, ._
( ゚ Д゚)

 


 危うく自分のSSに「『呼んで』ってなんですか『呼んで』って。あんたは冥界からの使者か何かですか。『読んで』と間違えたんだったら小学生でも自分から廊下に立ちたくなるようなミスですね」コメントするところだった。無論、部屋の外に立ちながら。
 もう大後悔時代にも慣れたと思ってたけど、これには参った。かつてない致命的なミス。

 ↓

 感想期間が終了し、頭にあったのは自分の順位ではなくて、いかに早く文章を修正するかであった。それはともかくとして……

 結果は2位。やった、初2位だ! 
 あとは3、5、6、7、8、10位でコンプリート! もしこれで4位とか9位だったら凹みまくってたと思う。2位もちょっと作品の出来からすると高すぎる気がするんだけどね……。優勝は前評判通り、白衣氏の作品だった。

 ↓

 須臾を操る勢いで、文章を差し替え。
 おかげで正確な検証ができなくなったと思うけど、わしゃ知らん(ぉ
 ちなみに削ったシーン二つについてはまだ追加できていないけどもう面倒になってきた、なかなか難しくていまだに手がつけられない。どうしよう。

 ↓

 はっきり言って完成度の面からいえば、文字通りお話にならないのだけど、それでもこのSSは今まで敬遠していた永遠亭組を書くということを好きにさせてくれたし、永遠亭組自体の株も上げてくれたので、その点では感謝している。
 鈴仙の脳内順位が急上昇。てゐは元々高かったけど。あと輝夜も好きになった。もちろん師匠の存在も忘れてませんが、今回はちょっと影が薄かったかな。

 ↓

 他の方の作品についても触れませう。

白衣氏   『華と酒好き、大江山』
ハイK氏   『優しい嘘とはそうでなく』
ナルスフ氏 『虚実幻想~Veritas mendacium』
みすゞ氏  『箱時計』
梶五日氏  『賢将の手紙』
K.M氏  『幻想郷嘘々四方山話顛末』

 9点をつけたのはこれらの作品ですた。ちなみに、10点については最初にこんぺに参加した時につけた二つの作品がヤバい域だったので、つける機会がなかなか来ない。そろそろ基準を一段低くしてみるのもいいかもしれないけど……。

 さて特に印象に残った三作品について簡単にご紹介。

 まずはナルスフさんの『虚実幻想~Veritas mendacium』
 大事な仕事道具をなくしてしまった閻魔様が、鴉天狗の家に転がり込んでくるギャグコメディ。ナルスフさんは私にとって、純粋に読者目線で楽しめる数少ない作品をお書きになります。このお話も二人のキャラの掛け合いが面白く、同時にストーリーの先が意外に読みにくくて非常に楽しませていただきました。

 次にハイKさんの『優しい嘘とはそうでなく』
 マミゾウさんが外の世界の思い出を語るしみじみとした話。掌編と呼べる容量まで切り詰めた一切無駄のないストーリー。行間を想像させてホッと息を吐かせてくれるSSです。語り手のマミゾウさんのキャラも素晴らしい。

 そして優勝作品である白衣さんの『華と酒好き、大江山』
 都に嫁入りに行く少女が鬼にさらわれてしまうのだけど、そこである勝負を通じて鬼の群れに逆に溶け込んでいき、その後の戦に巻き込まれてしまうという王道的過去物語。完成度の高い長編SSですね。オリキャラがたくさん出てきますが、それを上手く配置してあって、最後まで読みやすく熱い内容となっています。余談ですが、白衣さんは創作目線で話していても楽しい方ですねー。長編の書き方を体得しているようなところがあって、非常に話がわかりやすい。

 ↓

 というわけで新たに発足した第十二回東方SSこんぺは無事成功ということで。
 ただ心配なのは総コメント数が少なかったことでしょうか。
 次回は短編こんぺが開催される予定だと聞いておりますが、はたしてどうなることか……。

 ↓

 おいィ!? 前回リベンジ宣言してきた、うるめさんの作品が見当たらないんだが!?
 宮本武蔵の乗った船をいつまで待っても来なかった佐々木小次郎がロビンソン・クルーソーにジョブチェンジするのは確定的に明らか。
 


 ↓


 さて、次はこんぺの思い出の総まとめ&考察です。
 ぶっちゃけ、これを書くために始めたようなものなので、中身がかなり濃いです。
 読んでて面白いかどうかも微妙なので、興味ない方は飛ばしちゃって構いません。


 




 終章 まとめ&考察編


・なぜ三連覇できたのか

 理由の一つとして、木葉梟という名前を使えるようになったことが大きかったような。
 共通世界観って言うのは、あるSSで起こった事件やできた関係性が、別のSSに影響していたりすることが、しばしばある。なので、匿名性を義務付けられているSSこんぺと相性がよくない。それに大掛かりな話を考えるにあたって、大胆な新設定を取り入れてしまうと、その後の話を書く上で大きな障害となってしまう。木葉梟という名前を作ったために、斬新で目を引く設定の物語が書きやすくなったのはありがたかった。

 ↓

 ただそれでも、実力以上に環境的要因は無視できないと思う。
 昔の方が今よりもレベルが高かったかどうかについては、客観的な態度を試みて評しようとしても、難しいのでやめておく。しかしながら、こんぺの評価基準が昔と比べて変わってきた印象はかなり強い。平たく言うと、創想話に近くなってきたのだ。

 ↓

 元々、私のモチベーションの一つに、創想話で活躍している人はこんぺでは活躍できないという考えを打ち破りたいというのがあった。創想話に比べて、参加した当初のこんぺの評価基準は難解で一筋縄じゃいかない気がしていたし、匿名故に名前読みも期待できないわけで、やりがいのある厳しさを感じていた。
 けれども今はそんなこともない。単純に「面白いだけの話」では一位を勝ち取ることができなかった過去とは違い、 読みやすくてライトな作風で面白ければ高評価という感じがある。

 ↓

 旧こんぺの作品がエンタメ要素が少なかったと言ってるわけではないし、上位作品は(過去すべての入賞作を読んだわけじゃないけど)ほとんどが面白かった。ただし、「読みにくい作品」も普通に評価する層がいた過去のこんぺと比べて、そうした作品をモットーとする方達にとっては、あまり参加したくなる環境ではなくなってしまっているかもしれない。自分を最も評価してくれる場所に向かうのは自然な欲求であって、修行僧的精神でSSを書く人なんてなかなかいない(いや実はたくさんいるのかもしれませんが)。個人的に、昔の大御所や常連さんが同人の世界に行ったきり戻ってこないのは寂しく思っている。
 

・今後のこんぺについて

 第十二回は長編こんぺと言ってもいいくらい大容量の作品が多かったわけだけど、これは果たして偶然でしょうか。実はこんぺにおいて見逃せない点があって、それは中身の詰まった一定のコメントが約束されていることです。少なくとも第十二回まではそうでした。個人的には、こうした場において優れた創作者の数以上にモチベの高いコメンテーターの数が盛り上がりに関わってくる要素だと思っています。

 ↓

 第十二回の評価数は、平均コメが大体20以上だった以前と比べて、平均14・71と少ないものでした。しかしながら、今の創想話において14個もコメントがつけば立派なものです。だから創想話においてなかなかコメントがもらえないという人が、今後こんぺに参加してくる可能性も十分に考えられますし、その中でも長編で参加する人はおそらくいるでしょう。何しろ長編が優勝する傾向がずっと続いてますからね。

 ↓

 盛り上がるのは嬉しいことですが、そうした中で一つ心配なのは参加者過多による企画のパンクです。正直、今回の全体容量もギリギリだったんじゃないかと思います。仮に200を超える数の作品が参加して、しかもその三割が長編だったとすれば、開催期間は長くならざるを得ないし、全体の評価数もますます減ることでしょう。

 ↓

 問題として提起されるのは本当にパンクした時でしょうが、作品が集まればこんぺは成功したも同然、ではなく、コメントの数もこんぺを支えている大事な要素です。だから企画の成功のために必要なのは、よりコメントしやすい環境づくりかもしれません。もっとも、創想話でこんぺの宣伝をすればますます評価基準の創想話化が進むわけですので、難しいところですね。いずれにせよコメントしてくれる人は大事にすべきですし、作品を投稿して「はい終了ー」じゃなく、なるべく他の方の作品を読んで出来るだけコメントしましょう。(これは創想話も同じですけど)。

 ↓

 そんなこんぺですが上でも書いた通り、次回は短編こんぺを開くという主催様からのお達しがありました(2014年1月現在)。さすが主催。いいタイミングだと思います。


・こんぺに参加してみたくなった人のために

 オンリーワンでナンバーワンを目指す。
 この言葉に惹かれるのであれば、もうこんぺにどんどん参加しちゃってくださいw
 ただガチSSでの殴り合いだけがこんぺの魅力ではありません。実力向上という面でもとても優れています。

 ↓

 まずお題や〆切という制約があるので、柔軟な発想と一定期間に作品を書き上げる力が養われるのも確かなのですが、もっと良いのはやはり(今のところ)確実に一定数以上のコメントがもらえるということですね。その半分以上が「面白かった」「いい話でした」等の一行の感想ではなく、中身が濃い。書き手目線のコメントも少なくありません。なのでほとんどの場合、創作上のヒントが盛り込まれているんですよ。もちろんその中には批判的要素の混じったコメントもいっぱいあります。それが嫌だ、という人もいるかもしれませんが、

 ↓

 ここで考えてみましょう。
 人は自作品の内容を批判するようなコメントをもらった時に、どのように対処するでしょうか。

 ・カッとなってすぐに反論レスを考える
 ・冷静に分析し、今後に役立てる
 ・こいつらは口だけは達者なスライムだと思ってワイングラスを片手に笑みを浮かべる

 のように様々でしょう。
 けど喜びに打ち震えて小躍りするような人はごく僅かなのではないか、と思います。
 なのでSSこんぺでは、

 マイナスな意見をもらってマジで凹む→もう二度と凹みたくない→次回作にて完成度が増す。

 というスパルタ的な実力向上が望めるということでございます。

 ↓

 まぁそれにしても最近のこんぺは、昔よりも勉強会の要素が強くなりました。
 こんぺ後のチャットで行われる、一つ一つの作品に対する意見交換は、かつてからすれば信じられないくらい濃密です。
 でも勉強会ってあまりウケのいい言葉ではありませんよね。よほどの向上心がない限り、SSでそんなに頭使いたくないっていう人がほとんどではないでしょうか。それに陸上競技とかと違って絶対的な数値で計りにくい文芸の分野っていうのは、『実力』という言葉にも相対的な物差しが入り込んでくることが避けられません。それに批評に慣れていないと、どんな言葉であってもキツく感じてしまうので、それが怖くて参加できないという人もいるんじゃないでしょうか。

 ↓

 でも、こんぺの後のチャットにはいい面もあって、見えない読者と見えない作者の欲望のぶつかり合いみたいなのはほとんどありません。作品を投稿した者ばかりで、みんなほぼ名有り。つまりリスペクトが失われにくい。匿名の場だと叩き返される自分がほぼ存在していないも同然なので、時にとんでもなく辛辣な意見が飛び交います。けど、こんぺチャットでは、たとえば、低評価のコメントであっとしても、それにきちんと理由をつけてくれるのです。「いやー、あの時はなんかついカッとなって1点つけて酷評しちゃいました。今読むと面白いですね」なんて無責任なことはなかなか言えません。もちろん、チャットでリアルタイムな批評をされたくないのであれば、そう伝えればいいと思います。 誰も強要しないでしょうし。

 ↓

 あと順位に関係なく、褒めたい人は褒め、批評する人はするというのがはっきりしているので、入賞していなくてもコメントでは拾いきれなかった嬉しい感想や苦い薬を味わうことができます。最後に参加したチャットでも、作品をただけなす人はいませんでしたし、上位の意見が絶対みたいなこともありませんでした(そして今後もあってはいけないでしょう)。

 ↓

 でも正直なところ、意見の交流はCometeo時代の方が活発だったように思うのですよね。
 今のチャットのシステムは発言が音で知らされて便利な反面、相手が発言待ちなのか、どこかに出かけているのかがわかりにくくて、特に目的もない雑談にはいいかもしれませんが、意見の出ない時間がもったいない作品考察には向いていないんじゃないかと思います。これに関しては他の方のご意見も聞いてみたいところ。

 ↓

(そういえば昔どこかで頻繁に目にした、別にプロを目指すわけじゃないから文章作法本やシナリオ本などを読む気はしない、という意見ですが、それはちょっと理由としてどうかと思います。だって個人が所有して貸している公共のグラウンドで行われる草野球のチームに参加するにあたって、「別にプロ野球選手になるわけじゃないからバッティングの本なんて読む必要ない。誰かに教わる気もない」なんて言う人います? せっかく面白いゲームを期待して見に来てくれている人がいるのに)

 ↓

 そんなところで、ひとまずまとめを終えたいと思います。いやー、意外と長くなってしまったw 創想話ラグナロクの話については、そのうち気が向いたらやりますので。次回のコンペも盛り上がることを祈っております。PNS&木葉梟でした。

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Comment

新コンペ以前の出来事はよく知らないんですが、こうして歴史を見てきた方の回顧録を見るのは実に楽しいですね。
そういう雰囲気があったのだなぁ、と。

>第十三回東方SSこんぺに投稿されることになるとは
まさかの次回である。
  • posted by ナルスフ
  • URL
  • 2013.12/03 15:37分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>ナルスフさん

 コメントありがとうございます~!
 かなり主観が入ってる内容なので恐縮です; 
 私もこんぺの第五回まではよく雰囲気を知らないので、そちらもどなたかに書いてもらいたいですねー。

>>まさかの次回である。
 次回こんぺ、幽霊兎の続編に期待!
 …………規約違反ですね。修正しました! 失礼!
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.12/04 22:19分
  • [Edit]

ついに木葉梟の真実が・・・
てか、みこナズ・・・だと・・・。新しい・・・。
『なんでやねん。あれゴリラやで。』とか『謎の無礼な新人木葉梟』のあたりで吹きました。やっぱりセンスぱねえ!
あと、『秒速三十センチの死』を読んできました。とりあえず感想を残してきました。
  • posted by ナルスフ
  • URL
  • 2013.12/07 19:40分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> ついに木葉梟の真実が・・・
> てか、みこナズ・・・だと・・・。新しい・・・。
> 『なんでやねん。あれゴリラやで。』とか『謎の無礼な新人木葉梟』のあたりで吹きました。やっぱりセンスぱねえ!

 みこナズはいいですよ! でもどう書こうとしてもエロくなりそうな悪寒ががが。
 優勝してチャットをすっぽかしたのはもうトラウマですほんまにw


> あと、『秒速三十センチの死』を読んできました。とりあえず感想を残してきました。

 ありがとうございます! あれも続編ネタがちゃんとあるんですけど、いつ書けるやら……。
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.12/08 21:07分
  • [Edit]

なぜPNSさんの投稿には毎度毎度愉快なエピソードが伴うのかw
うらやましいくらいですわ。

生煮えさんのガトーショコラの話を今しがた読んできました。五目チャーハンが増えたあたりで割と限界でしたw
こんぺで評価されたギャグってどんなのなんだろうなあ、と思いながら勉強のつもりで読みに行ったのですが、読んでみるとなるほどなあ、と言う感じですね。
この淡々としていながら割とめちゃくちゃ言ってるっていう強固な枠組みが強かったですね。単なる暴走よりシュールさを。うむむ。
  • posted by ナルスフ
  • URL
  • 2013.12/18 19:52分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> なぜPNSさんの投稿には毎度毎度愉快なエピソードが伴うのかw
> うらやましいくらいですわ。

 いやいやアクシデントは無いに限りますよナルスフさん。マジで(==;

> 生煮えさんのガトーショコラの話を今しがた読んできました。五目チャーハンが増えたあたりで割と限界でしたw

 五目チャーハンいいですよね! 可愛く困り果てるフランとの対比が実に印象に残りますw
 生煮えさんのタイプから考えてみると、強固な安定感が裏にあるからこそ、無茶苦茶やってるようで完全に脱輪せずにエンディングまで読者を連れて行けたのかなぁ。
 しかしあのオチは許さ(ry
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.12/22 22:45分
  • [Edit]

>なかなか作品を完成させられずにいる人間にとって、強烈なドーピングになるのだ。
ありますねー。
自分も『期限内に作品を完成させようと努力することができる』と言う点でこんぺが気に入ってるわけですし。
そして作品を出すことで微妙に満足のいかない結果が出ると、連鎖的に創作意欲が起こったり。

プレデターwwww

>けれどもミステリにおいては、誰が何を知ってて何を知らないか~
ミステリは普通にそういうアリバイやトリック等の管理が本当に大変そうですね。
自分はとても手が出ない。

>あとは3、5、6、7、8、10位でコンプリート!
そんな帰れま10みたいな楽しみ方wwww

拙作にも触れていただきありがとうございます。

>創想話で活躍している人はこんぺでは活躍できないという考えを打ち破りたいというのがあった。
イベント自体のありようが変わってくると、ちょっとやるせない感じですね。

>昔の大御所や常連さんが同人の世界に行ったきり戻ってこないのは寂しく思っている。
同人界っていいところなんですかねぇ。私にはよくわからないけど。

>次回は短編こんぺ
どういう傾向になってくるのか楽しみですね。

>意見の交流はCometeo時代の方が活発だったように思う
これに関しては自分は何とも・・・。
言われてみればそうかも、って感じでしょうか。やっぱり今文章を打ち込んでいるかどうかわかる機能はあった方が便利だとは思いますけどね。

ともあれ、こんぺ振り返り完結お疲れ様でした。
  • posted by ナルスフ
  • URL
  • 2014.01/04 19:18分
  • [Edit]

>ナルスフさん

>>自分も『期限内に作品を完成させようと努力することができる』と言う点でこんぺが気に入ってるわけですし。
そして作品を出すことで微妙に満足のいかない結果が出ると、連鎖的に創作意欲が起こったり。

過去の私はこんぺで満足いかない結果が出て、逆にやる気がなくなりましたw
その次の開催までにはまた溜まるんですけどねぇ。

>>プレデターwwww

 今となっては何となくプ画像を眺めてると鈴仙に見えてくるような……(ありえん)

>>ミステリは普通にそういうアリバイやトリック等の管理が本当に大変そうですね。自分はとても手が出ない。

 私も当分手は出しにくいですね……。特に長編で〆切ありで書くとえらくしんどい。創想話ならありかな。

>>拙作にも触れていただきありがとうございます。

 次回作も楽しみにしております。

>>同人界っていいところなんですかねぇ。私にはよくわからないけど。

 どうなんでしょうねぇ。私の知ってる人の多くが行ったきり戻ってこない感じがあるので、いいところなんじゃないでしょうか。でも私の場合、投稿に面倒がないのと早目に評価が返ってくるのがありがたいんですけどね( ̄~ ̄;)

>>どういう傾向になってくるのか楽しみですね。

 雰囲気系か一発ギャグか……もしかしたら参加者は前回よりも増えるかもしれませんな。
 私も楽しみです!

>>これに関しては自分は何とも・・・。言われてみればそうかも、って感じでしょうか。やっぱり今文章を打ち込んでいるかどうかわかる機能はあった方が便利だとは思いますけどね。

 うーん、やっぱり人によって違うのかなー。このチャットに関しても次回はどうなることか。
 それはともかく、早速のご意見ありがとうございましたー。
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2014.01/05 08:04分
  • [Edit]

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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
ここでは他の方々のSSや、自作SSの裏話などを紹介しております。あとは、軽い後日談とか。よろしくです。

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