やぶから九尾

東方SS書きのブログでございます

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地底妖怪の夏休み

 大変遅くなってしまい、申し訳ございません。

 以下は東方創想話作品集128『サイダー色した夏の雲』の後日談です。
 未読の方にはよくわからない内容になっていますので、ご注意願います。

 興味がおありでしたら、こちらからどうぞ。

 『サイダー色した夏の雲』


 ↓ 後日談は続きより ↓







~~~












 山の麓で妖怪の子を救った時。

 森で妖獣に襲われ死にものぐるいで撃退した時。

 調査中に仲間を失って悲しんだ時。

 神社で博麗の巫女様に諭されて悩んだ時。

 私はいつもひとりの妖怪のことを思いだしていた。




 私にとって特別といえる妖怪は、ただひとりだけだったのだ。

 故に悔やみ続けたのだろう。六十年前のあの夜、彼女を救えなかったことを。











 ~地底妖怪の夏休み~












 幻想郷年史 第125季 葉月 第二週 地上 





 南風に乗った雲の群れが、深く広い青の中をたゆたっている。
 恋人のように寄り添い、小犬のようにじゃれ合い、それらが持つ緩やかな時間の中で、姿形を変えながら。
 燦然と輝く太陽は、一際大きな白い舟に乗って、地上にまばゆい恵みを注いでいた。
 のどかで爽やかな、幻想郷の夏の空である。

 妖怪の山の麓にある森も、夏色に染まっていた。
 日の光に育まれたブナ林が緑の葉で互いを覆い合い、止むことのない蝉時雨の拠り所となっている。
 蒸した空気の中を、蝶や黄金虫が餌を求めて舞い、巣立ちしたばかりの若い鳥もそれらを求めて飛翔する。
 生い茂った草むらを仔連れのイタチが駆け、地面を流れる沢で鮎の影が跳ねる。
 あらゆる命が、それぞれの営みの中で輝きを放つ季節だった。

 そして森の中央には、他の生き物と比べても一段と太い命の塊があった。
 悠然とそびえ立つ、クスノキの老木である。
 幾千の年輪を刻んだであろう堂々とした幹は、天津神が木の束をねじり固めて作ったような迫力がある。
 緑に彩られた逞しい枝は八方に伸び、周囲の原っぱに巨大な日陰を作っていた。
 高さもこの種としては相当なものである。北側にある妖怪の山とは比べられぬものの、この森林においては最も空に近い存在といえる。他の樹木達を睥睨するその様は、まさに森の王と呼ばれるに値する姿であった。

 そのクスノキの頂に近い場所、樹冠に隠された部分で、横になっている存在がいた。
 並の木の幹ほどもある枝の間に、銀の網を張り、それをハンモックがわりにして寝そべっているのである。
 肩まで伸びた長いすすき色の髪、日に焼けてない顔。夏の盛りだというのに長袖の茶色い洋服。
 どれ一つ取っても、地上に住む人間とは異質な、珍しい容姿の少女だ。
 しかし彼女は、木陰に溶けこんでしまいそうなほど、その場に馴染んでいた。
 まるで樹に守られているかのように、あるいは樹を守っているかのように。
 安らかに瞳を閉じ、口元にはかすかな笑みを浮かべている。
 腰から下を隠した白い薄地の毛布は、呼吸に合わせて、なだらかなテンポで動いていた。

 そこに、一陣の風が吹いた。
 屋根がわりになっていた枝葉がざわめき、木漏れ日が陰の中を踊る。
 眠っていた黄色い髪の少女も、ほんのわずかに身を動かしたが、また規則正しい寝息を立て始めた。

「………………」

 そんな彼女を見下ろす新たな存在が、忽然と枝の上に立っていた。
 こちらも女性の姿をしていたが、背格好も色合いもだいぶ異なっている。
 白いワイシャツに黒のミニスカート。赤い靴、そしてたたまれた大きな墨色の翼。
 肩から提げた旧式のカメラを除けば、妖怪の山を根城にする鴉天狗特有の風采である。

 天狗の新聞記者、射命丸文はしばし片眉を上げ、横になっている存在を興味深く観察していた。
 続いて羽ペンと手帖を取りだし、呟きながらメモを始める。

「山の近くに現れた謎の妖怪、特派員が現れても反応せず、暑さにやられて気絶しているのか、あるいは天に召されたのか」
「起きてるし生きてるよ……」

 体を横たえたまま、黄色い髪の方は小さく呻き声を漏らした。
 まだ瞳は閉じていたが、それまでの至福そうな顔から、一転してムシの居所の悪そうな面になっている。
 逆に文の方は、にんまりと相好を崩し、

「あやややや。狸寝入りでしたか。もしや貴方が、最近幻想郷に現れたという狸の妖怪でしょうか?」
「知らない……狸じゃないし……」
「分かってますよ。前に地底で取材させていただいた、土蜘蛛さんですよね。このしっかりした糸は、幻想郷ではなかなかお目にかかれません」
「あそ……」
「地上に病気を運びに来たのですか? あるいは河童に戦争を仕掛けるため、単独で潜入工作を?」
「ったく……鴉天狗のお喋りは、相変わらずみたいね……ぴーちくぱーちくさえずること」

 土蜘蛛は煩わしげに言って、目元をこすり、半身を起こす。
 対する文は気にせず、彼女の元まで近づいて、腰を屈めながら尋ねた。

「なんだか幸せそうでしたけど、どんな夢を見てたんですか」
「ただの夢。わざわざ話すつもりもない」
「ふむふむ。わかりましたよ。美味しいご馳走を目の前にして、いざ食べようとしたときに起こされたんですね」
「…… ん?」
「だからご機嫌が斜めになったんでしょう。蜘蛛といえば食欲旺盛ですから」

 自信満々の推理に対し、土蜘蛛の方は虚を突かれた顔になる。
 おもむろに首をひねってから、長い金髪をいじりつつ、天海を泳いでいる雲の一群を見上げ、

「……まぁ、間違ってないかもね」

 と独り言のように呟き、また起こした半身を戻した。
 かけ布団をかぶろうとする彼女に、文はすかさず手をかけて制止し、

「寝直さないでください。もう一度尋ねますが、どうしてここにいるんですか」
「お昼寝にちょうどいい場所だったから」
「真面目にお答え願います」
「地上に観光に来てるだけよ。三日前から滞在中」
「ほほう。ではこの後どんな所を回る予定で? やはり河童の住む河を汚しに、妖怪の山まで?」
「河童にも山にも興味なし。私なんて取材したって、記事の一つにもなりゃしないから、とっととお行き」
「そうはいかないわ。なぜなら私は新聞記者であると同時に、山の妖怪なのよ」

 一段低い声で、文は彼女に宣告する。
 メモ帳をしまい、かわりに取りだしたのは葉団扇、すなわち天狗が風を操るのに用いる武具であった。

「妖怪の山は定員オーバー。ましてや忌むべき能力を持つ地底の妖怪は、土の下に居続けてもらうのが我々天狗の総意。私に見つかったことを後悔するといいわ」

 台詞の途中から、華奢な体躯を中心にして豪快な風が吹き、周囲の葉っぱを散らしていく。
 妖気をはらんだ不可視の刃が入り乱れる様は、カマイタチの群れが激しく威嚇しているようだった。
 幻想郷において天狗の実力は上から数えた方が早く、さらに土蜘蛛よりも妖怪としての格で優っている。
 すなわち、あらゆる意味で、この流れ者にとっては危機的状況のはずであった。

 ……が、当の土蜘蛛は横になったまま、のんびりと手を振って、

「あー涼しくていい風だねー。できればもうちょっと弱めでお願いー。樹が痛むからー」
「全然物怖じしないわね……土蜘蛛のくせに、まるで鬼みたいな態度……」

 怒るよりも白けてしまった風使いは、構えていた団扇で顔をぱたぱたと扇ぐ。
 周囲で吹いていた旋風も、注文通りのそよ風におさまっていった。

「じゃあこうしましょう、土蜘蛛さん。私、射命丸文は貴方をこらしめました。よって貴方は私が怖くてたまらないので、妖怪の山まで踏み込むことは決してありません。そう報告します」
「いいよそれで。好きにしてちょうだい。私も山なんか上る気ないし。ここでのんびりしてるだけだから」
「本当ですね? 嘘はつきませんね?」
「ふふ、天狗殿を欺けるとは思っちゃいないよ」

 目を閉じたまま、頬を愉しげに緩ませて、地底妖怪は軽口を叩く。
 なんだか余裕がありすぎて癇に障る態度だったが、この妖怪一匹いじめたところで、文にとってはたいした記事にならない。下手に病気をうつされても興ざめなので、とりあえず別のネタを漁りに行くことにした。

「……一つお尋ねしますけど、私達、地上で会ったことあります?」

 枝から飛び立つ前に、文はふと、彼女の方を振り向いて言う。

「こんな風に会話したこととか」
「ないね。天狗に知り合いは少ないし」
「うーん、何か思い出すのよねぇ。六十年かそこら前に、こんな風に図々しい誰かをここで取材したような……」

 独り言を呟きながら、文はつむじ風を残してその場を飛び去った。





○○○




 鴉天狗が消えた後、樹上のハンモックに残った土蜘蛛、黒谷ヤマメは、閉じていた瞼を薄く開いた。
 しばらく虚空を眺め続ける。じっと動かず、羽化の機会を待つ蝉になったように。
 曖昧な焦点が導く光景は、澄んだ青と生きた緑が上下を分け合っていて、地底にはない眩しさを持っていた。
 慣れ親しんだ深い闇や死んだ風、冷たい石の感触、そして怨霊の気配は感じられない。
 そのかわり、クスノキ特有の香りを含んだ、懐かしい夏の香りが漂っている。
 だから、あんな夢を見たのだろうか。

 ヤマメは枕の近くに置いてあった物を手に取った。

「……いい夢だったね」

 中身の入っていない、古いガラス瓶だ。
 間近でそれを見つめ、かすれた声で囁く。

「本当に……いい夢……楽しくて……懐かしくて……」
 
 それからまた、両の瞼が徐々に塞がっていく。
 首筋に夏の風を感じつつ、鳥のさえずりを子守歌に、深い夢の中へと誘われ……。


「ヤマメさーん!!」


 その呼び声は、樹の上からではなく、下から聞こえてきた。
 再び眠りから引き戻されたヤマメは、両眉の間に小さな谷を作る。

 「ああもう……!」

 乱暴に体を起こして、地上に顔を向けると、森の境界にて手を振っている人間が見えた。
 袖無しのシャツに短パン、そして麦わら帽子という、夏らしい軽装の少年である。知っている顔だ。
 片方の手には麻袋を持っており、その中身が時々光を反射して、こちらまで届けてきた。

 掛け布団を払ったヤマメは、寝癖のついた長い髪を、手早くリボンで一つに縛る。
 それから「よっ」と躊躇なく下界に向かって飛び降りた。
 枝から幹へ、幹から枝へ。
 滝に沿って落ちていく木の葉のように、軽やかに舞い下りていき、最後にクスノキの根元の部分に着地する。
 ちょうど森の近くにいた少年も、原っぱを走ってこちらに到着するところだった。
 ヤマメは腰に手を当て、ため息をついて、

「大樹」
「こんにちは、ヤマメさん」
「こんにちは、じゃない」

 ぴっ、と人差し指を、その日焼けした顔の眉間に当てて説教。

「今日はお休みの日だって言ったでしょうが」
「うん、知ってる」
「うん知ってる、でもない。少しは申し訳なさそうな顔しなさい。いつまでもさん付けで呼んでる奴の態度にゃ見えないよ」
「だって、おじいちゃんの友達を呼び捨てなんてできないよ」

 額を突っつかれても、少年は笑顔のままだった。気安い感じはあったが、先程の記者と違い、裏がない。
 それ故になおさら、ヤマメにとっては、ある意味天狗よりも厄介な存在だった。
 地底の釣瓶落としもそうなのだが、邪気のない子の押しには意外と弱いのである。

 「はいこれ」と大樹は持っていた袋に手を突っ込み、水滴がついた半透明の瓶を取り出す。

「お休みなのはわかってたけど、どうしても会わせたい人がいたから」
「また昨日のお友達?」

 ヤマメはその差し入れ――よく冷えたサイダーを受け取り、腰にしまいながら聞いた。

「今度は十人? 二十人? あんまり多すぎても、面倒見切れないよ」
「ううん。今日は一人だけ。お友達ともちょっと違うけど」
「どっちにしろ、今日は短めにね。寝不足なんだから……ふぁ……」

 大あくびを手で隠して、ヤマメは大樹がここまで連れてきたらしき人物の方を見てみた。

 確かに、林の出口に立っているその者は、昨日ここで遊んでやった人間達とは趣が異なっていた。
 遊び盛りの子供ではなく、小さな風呂敷を持った着物姿の老婦人である。齢は六十を超えているだろう。
 真っ白の髪をかんざしでまとめており、ふっくらした頬の穏和そうな顔立ちで、何となく品の良い雰囲気がある。
 今はどうやらクスノキの大きさに圧倒されているようで、呆けたように口を半開きにして瞠目していた。
 
 やがて老婦人は待っているこちらに気付いたらしく、恐る恐るといった感じで近づいてきて、腰を曲げる。

「お初にお目にかかります、黒谷ヤマメ様」
「はじめまして。どなた?」
「私、鶴、と申します」
「鶴……鶴……」

 ヤマメはその名を繰り返し、首を傾げた。
 地上にいる鳥とは別に、どこかで聞いたような単語である。だが思い出せない。
 老婦人はこちらの反応に、どこか落ち着かない様子だった。
 が、急に何かに気付いたように、いそいそと風呂敷の中から布のかたまりを取り出す。
 包みを解くと、日の光を浴びて緑色に輝く石が現れた。
 それを見た瞬間、色あせていた六十年前の記憶が、時間を巻き戻したかのように鮮やかに蘇る。

「その石……鶴って、もしかして」
「これは六十年前に兄を通して、ヤマメさんからいただいたものです。神田草太は、私の兄でした」
「お、お鶴ちゃんー!?」

 ヤマメは叫び声を上げて、びっくり仰天した。
 こちらの反応に対し、老婦人の方も相当驚いた様子で、

「まぁ! 覚えていてくださったなんて……」
「それはもちろん覚えてるってば! うわー久しぶり! じゃなくて、はじめまして!」

 寝起きの面倒くさげな態度を放り出して、ヤマメは彼女に小走りに近寄り、手を取って喜んだ。
 まさか目の前に立っている人物が、六十年前に草太からよく話に聞いていた少女だとは。
 当時の生き証人に、しかも身内と会うことができるなんて、願ってもない対面である。

「いやー! 本当にびっくり! ごめんね、すぐ思い出せなくて! 知ってれば会いに行ったのに!」
「と、とんでもございませんわ……何しろ昔のことですし……はい……」

 白髪の老婦人――お鶴は若干戸惑っていたが、次第に肩の力を抜き、嬉しそうに微笑んだ。
 そんな自分達を、にこにこと見つめていた少年に、ヤマメは告げる。

「大樹」
「何?」
「上出来だったけど、私達は今から、長い長~い大人の話がある。だからあんたは……」
「うん、わかった。じゃあ僕帰る。あ、この袋にまだサイダー入ってるから」
「よし、聞き分けがよくて結構。明日また遊びにおいで。寄り道すんじゃないよ。うがい手洗いも忘れずにね」
「はーい!」

 弾いたビー玉のように、大樹は元気よく林の中へと駆けていく。
 木々の中に消える前に、彼は一度こちらを向き、

「ヤマメさん、明日はみんなでお祭りにも行こうねー!」

 そう言って手を振った。
 お約束の光景に、ヤマメも苦笑して手を振り返してやる。
 そして、少年の後ろ姿が見えなくなってから、もらった袋を担ぎ、残ったもう一人の人間に改めて向き直った。

「さてと。お鶴ちゃん」
「はい」
「高い所は苦手?」
「大丈夫です。昔はよく木登りもしましたし、里の物見櫓に上るのも好きでしたわ」
「なら話が早い。実はこの広場にはいい椅子が少なくてさ。どれも地上から遠いの」

 ヤマメはそう言って、親指でクスノキの上方を示す。

「だから特等席まで連れてってあげる。お兄ちゃんのお気に入りだった場所にね」




◆◇◆




 古株の妖怪ならば、たとえそれが雲の上であろうと、人間一人運んで上るのは難しくない。
 ましてや、いくら高くてもクスノキ程度であれば、最も見晴らしの良い場所に連れて行くことなど、ヤマメにとってお茶の子さいさいであった。
 地上でお鶴の体を抱きかかえ、なるべく負担をかけないよう、ゆっくり浮上していく。
 しかし昇るにつれて、腕の中で彼女の手足が強張っていくのに気づき、半分ほどを過ぎた辺りで声をかけた。

「怖かったら、無理しないで言ってね」
「…… いえ、平気です」

 風呂敷を抱えて固まったまま、お鶴は青い顔で答える。
 普通の人間には縁のない高さだから、というより、自分を支えているものが信用できるかどうか不安に感じている様子である。里の子供達もそうだが、最初にここに連れてきた者は、みんなこんな顔をするのだ。しかし無事に頂上付近に着けば、すぐに目の色が変わることを、ヤマメは知っていた。

 今回も問題なく枝の上に到着し、彼女を銀のハンモックに下ろしてやる。

「はい、よく頑張りました。楽にしてね」
「ありがとうございます。お手をかけさせてしまって……」
「いいのいいの。子供達にもやってあげてるし。まぁ草太は一度もこうやって上らせてはやらなかったけどね」

 ヤマメが適当な場所に座りながら、そう悪戯っぽく話すと、お鶴も皺のある顔をほころばせた。
 続いて彼女は、左右に広がる幻想郷に息を呑み、

「まぁ……なんて素敵な景色……!」
「そうでしょ。ここらは丘陵になってるけど、下だと周りが樹ばっかりでよくわかんないからね。この高さまで来れば、地上がどんな世界かよく眺め渡せるんよ」
「ええ。里をあんな風に見下ろせるなんて……なんだか博麗の巫女様になったような気分ですわ」

 お鶴は人里の子供と変わらぬ、生き生きとした声で感想を伝える。

「雲も近くなって……きっと、明日の晩に里で打ち上がる花火も、ここからだと綺麗に映えるでしょうね」
「残念だけど、日が落ちたら連れてこられないんよ。ここら辺は野良妖怪もうろついてるから、ちょっと危ないし」
「ああ、それは本当に残念ですわ」
「つまり、夜は私だけの場所ってこと。ちょっと羨ましい?」
「まぁ」

 冗談めかしたヤマメの台詞に、彼女はますます可笑しがった。
 緊張が十分に解けた頃合で、二人は一緒に足を揃えて伸ばし、遠くの山並みや霧の深い湖、向日葵畑などを樹の上から鑑賞する。
 それからヤマメは、彼女に頼んで、持ってきたあの石をもう一度見せてもらった。
 木の葉の色をしたカンラン石。木陰でも明るい輝きを放つそれは、あの時とほとんど変わっていない。
 およそ六十年ぶりの再会に、妖怪であるヤマメも感慨深くなった。

「懐かしいね……お鶴ちゃんの風邪が治った時にあげたんだ」
「ええ。本当に気に入ってしまって、祝言を挙げる日まで、いつもお守りがわりに身につけてました」

 お鶴も掌に載せた石に、追憶の眼差しを注いで語る。

「でも私はその時まで、これは兄が見つけてきてくれたものだと信じてたんですよ」
「あれ? そうだったんだ。じゃあその祝言の日に、私のことを知ったの?」
「はい。宴の席で、兄がこっそり本当のことを話してくれたんです。これが実は妖怪が私宛にくれた石だって。びっくりして、足が震えて立てなくなって、夫に心配される始末でした」
「あーもう、草太の奴。タイミングっていうのを考えなさいっつーの。ねぇ?」
「そうですとも。腹が立ったものだから、しばらく口をきいてやりませんでしたわ。あとで、このことをみんなに言いつけてやる、と脅すと、兄は大慌てで謝ってくれましたけど」
「あははは、その時の顔、見たかったなぁ」

 ヤマメは当時の光景を想像し、愉快になって言った。
 それから自分の方も、この贈り物にまつわるエピソードを語り始める。

「その石、ここで私が草太に渡したんよ。この近くに流れている小川で見つけてね。お鶴ちゃんの快気祝いにいいと思って。気に入ってくれてよかった」
「………………」
「そうそう。その前は、草太の麦わら帽子をかぶって樹の上で待ってたんだけど、一人で頑張って昇るもんだから、つい栗を投げたりして邪魔しちゃって。怒ってたなぁあの時……」
「………………」
「あれ……どうしたの、お鶴ちゃん?」

 隣の人間が浮かない表情になっていることに気付き、ヤマメは心配して尋ねた。 
 故人への悪戯について遠慮なしに語ったから、という様子ではない。
 彼女はこちらを見ずに、沈黙を破る。

「お気を悪くしないでくださいね。あの頃の私は、妖怪が好きじゃなかったから、兄から話を聞いた時にあんなに怒ったんだと思うんです」

 妖怪が好きではない。
 それを聞いたヤマメは気分を害しはしなかったものの、意外に思った。
 ここで告白されたという事実も含めて、である。
 しかし初めて自分を見たときのお鶴の態度を思えば、確かに考えられる話だ。
 興味を惹かれて続きを促すと、彼女は服の帯の前で掌を重ね、遠慮がちに語り始めた。

「まだ本当に小さかった頃ですけど、お祭りで遊んでいた時に、里全体が妖怪に襲われた事件があったんです」
「ああ……私も草太から聞いたことがある。お鶴ちゃんもそのお祭りに参加してたんだね」
「はい」
「じゃあその時のが心の傷になって……」
「そうかもしれません。途切れ途切れにしか覚えてませんが、本当に怖い夜でした。また同じことがいつか起こるんじゃないかと考えると、大人になっても恐ろしくて……。それに加えて兄は、自警団の一員として妖怪から里を守ってくれる存在だったはずなのに、妖怪の味方をしているのでは、と思いたくなるような所もありましたし。もしかしたら恐ろしいだけじゃなく、兄をそんな風にしてしまった妖怪のことを、心のどこかで恨んでいたのかもしれません」

 手元に視線を落としたまま、お鶴は少しずつ打ち明けてくれる。
 まさしく、草太をそんな風にさせてしまった原因であろう、土蜘蛛に対して。
 ヤマメは彼女を刺激せぬよう、やんわりと尋ねた。

「お鶴ちゃん……今もその妖怪のこと、恨んでたりする?」
「いえ、そうじゃないんです。私が話したかったのは、そういうことじゃなくて……」

 お鶴は一度口ごもり、それから眩しそうに空を見上げて、語り出した。

「……あれは四十年ほど前でしょうか。兄とこんなことがあったんです」




○○○




  幻想郷年史 第95季 水無月 第二週 地上 




 北里の家に嫁いで以来、鶴が南里に来る用事は、主に実家に顔を出すことであった。
 父も母も元気ではあるが、もういい加減年なので、時々様子を見に行きたくなる。それに加えて、世話を任せている義姉とは性格が合って話が弾むし、日増しに成長する姪の姿を見るのも何よりの楽しみだったので、北里から南里まで続く長い道のりを歩く間は、いつも浮き立つような気分になるものだった。

 けれども鶴は、兄の草太とは、実家で顔を合わせることはほとんどない。といっても別に兄妹仲が悪いわけではなく、単に向こうが留守がちなのである。里を妖怪から守るために創設された自警団、その団長補佐を務めている神田草太は、南里にある自警団の詰め所近くに、小さな仕事場を持っており、里にいる間はそこで働いていることが多いのであった。
 自警団の団長といえば、里に住む人間の中では、里長に次いで敬われる立場であり、側近である補佐役もそれに近い敬意を受ける存在である。実際、兄は肩書きだけではなく、就任以来自警団の中で立派な業績を残しているそうで、里に住む人間の多くが認めてくれる存在であった。が、しかしその半数は――妹である自分も含めて――彼を変わり者だと思っている節がある。それだけならまだいい方で、実は今の団長補佐は妖怪ではないかと真面目に疑っている者すらいるようだった。

 原因は兄の草太が、一年の半分近くを里の『外』で過ごしていることにある。人里で妖怪に襲われる事件がほとんど無くなったのは最近の話であり、境界の外ではいまだ血に飢えた妖怪が我が物顔でのし歩いているらしい。なのに、そんな世界に一人、あるいは同じ団長補佐である親友と二人で出かけていって、命を落とさぬどころか、けろりとした顔で戻ってくるのだから、確かに鶴の兄とその仲間達は、普通の人間とは違っていた。ある自警団の知り合いから聞いた話では、団長補佐が木々の間をムササビのように飛んで移動するのを見た者がいるという。いくらなんでも大げさだと思うが、他にも似たような逸話はたくさんあるらしくて、仲間が逃げるために囮となった際に水の上を走って移動していただとか、連れの友人の方が大木を引っこ抜いて妖獣の群れをなぎ倒しただとか、河童の宴に入り込んで酒を酌み交わしていただとか、聞きたくなくても里のあちらこちらで耳に入ってくるのであった。

 しかし、神田草太は、まぎれもなく人間であり、鶴の兄である。身内が妖怪呼ばわりされるのは嘆かわしい。
 百歩譲って疑うのを許してやったとしても、妹の自分まで妖怪と見られるのはたまったものではない。
 よって鶴は、干物や漬け物などを土産に、月に二度は兄の仕事場を訪れ、妖怪の研究は程々にして家を大切にするようにと窘めているのであった。その度にのらりくらりと、それこそ一反木綿の如くかわされるのだが。

 けれども、この日はいつもと様子が異なっていた。
 鶴が南里の仕事場に着き、戸を叩いて呼びかけると、兄の草太が玄関先に姿を見せるなり、

「いいところに来た。ちょっと上がってくれ」

 と言って、中に招いてくれたのである。
 「なんだお鶴か」ではなく、「上がってくれ」と対応されるのは珍しいことであった。

「兄さん。どうしたの?」
「ん、いや。お前の顔が久しぶりに見たいと思った時に、ちょうど来てくれたんだ」

 鶴は玄関に上がるのを止めて、帰ろうかとも一瞬思った。
 兄は薄情ではないが、自分に対してこんな言葉をかけてくれるような性格でもない。何かとても怪しい。
 長年の経験から、罠が用意されているのでは、と警戒しつつ、鶴は古紙で散らかった埃っぽい六畳間に足を踏み入れた。相変わらず掃除をしてやるか、「掃除をしろ」と命令してやりたいような部屋である。

「どうぞ。これは差し入れ。実家の方には、もうお裾分けしておいたから」
「うん、そうか。ありがとう。みんなは元気にしていたか?」
「元気にしてたかって、普通私の方が尋ねるもんでしょう」
「それもそうだな。はは」
「笑い事じゃありません。ちゃんと顔を見せてあげなさい」
「見せてるさ。五日ほど前に一度帰ったから大丈夫だ」
「いい年して、あまり義姉さんと夏ちゃんを心配させないでよ」
「わかってるわかってる」

 ここまではいつものやり取りであった。
 続いて、座布団と温かいお茶を用意しながら、兄の草太は藪から棒に尋ねてきた。

「ところでお前、最近心臓が悪かったりしないか?」
「はい?」

 鶴は湯飲みを受け取りながら、面食らって聞き返す。

「まさか……何かこのお茶に入れたんじゃないでしょうね」
「馬鹿な。毒でも仕込んだと言いたいのか。妹に一服盛る兄がどこにいる」
「ここにいるかもよ。何しろ私の兄は、妖怪じゃないかっていう噂があるみたいですから」
「妖怪と犯罪人を一緒にするんじゃない。そんなに疑うなら、こっちと取り替えよう」
「別にそこまでしなくてもいいわ」
「たまに頭がふらふらしたりとか、目眩がするとかはないか?」
「おあいにく様。兄さん程じゃないけど、体は丈夫に出来てるもの。でも何で?」
「いや、元気ならいいんだ。うん」

 草太は何やらしたり顔でうなずき、お茶をすすった。

 それからはしばらく、世間話が続いた。
 話題は主に実家のことや、嫁いだ先の家の話である。
 鶴はあまり、妖怪に関する兄の仕事の話が好きではない。
 それは向こうも心得ているようで、どちらかといえば聞き役に回ってくれていた。
 特に今日は話が弾んでいる気がする。いつもは単に頷いているだけのようにしか見えないのに。

 ともあれ、予定よりも話と説教が長くなってしまった。
 日が暮れそうになった頃合で、さてそろそろ、と鶴は立ち上がりかける。
 その時だった。草太が窓の方に目をやって、

「これは降るな」
「え? 雨が? 龍神様のところに行ってきたの?」
「まぁそんなところだ。それに、あれに頼らなくても、空気の匂いを嗅げばわかる。蛙の鳴き具合も違うだろう」
「そう言われれば、来たときよりもうるさいかもしれないけど……」
「悪いことは言わない。傘を持っていけ」

 別に断る理由もなかったので、鶴はその厚意に甘えることにした。
 しかし、兄が奥から持ってきてくれたのは、えらく古くてぼろい一品だった。
 大きさは申し分ないが、全体的に薄汚れているうえに、端っこは破けている。
 たとえ綺麗だったとしても、ぬか漬けにした茄子の皮を広げたような配色であり、かなり地味だと言わざるを得ない。

「兄さん、貸してくれるのはありがたいけど、もっといい傘なかったの?」
「贅沢言うな。この仕事場では、これが一番いい傘なんだ」

 そう窘める兄は、まるで古伊万里の壺を扱うかのように、大事そうに傘を手渡してくる。
 鶴は素直に受け取ったものの、北里の家に帰るまで、これを使う機会がないことを祈った。

「じゃあお前の家の者にもよろしく伝えてくれ。明日からまた里を出るから、その前にこっちの家にも顔を見せることにしよう」
「わかったわ。それじゃあ、また今度ね」
「うむ。濡れないように気をつけてな」

 玄関に立つ兄は、そう言って見送ってくれた。
 だが、緩んだ口の辺りは、何だか笑いをこらえているようにも見えなくもなかった。




 ○○○




 ぽつ、と首筋に水気を感じた鶴は、通りを歩きながら視線を上げる。
 兄の忠告は当たっていたようだ。
 ここに来る時には快晴だったというのに、今は灰色の曇天が里の上空に広がっている。
 洗濯物を午前中に終わらせておいてよかった、と思いつつ、鶴は借り物の傘を開いた。
 こんな見た目でも傘は傘だ。雨くらいは凌いでくれるだろう。

 やがて、中央街道を超えた辺りで、本降りになった。
 見慣れた里の光景がぼやけ、地面がけたたましい水煙に覆われる。
 柄が手の内で重たくなり、傘の端からも、じょうろの先のように水が垂れていた。
 風が弱い分歩くのは問題なかったが、雨具がなければ家に着く間に濡れ鼠になっていただろう。

 ――兄さんにしては気が利いていたわね。

 と、微妙に失礼なことを考えつつ、鶴は雨を防いでくれている傘に感謝した。
 
 しばらく雨音の中を道に沿って歩き、北里の家の近くまでたどり着いた頃、


  ……しや~。


 呼ばれた気がして、鶴は振り向いた。
 しかし、夕立が降り続ける街道に、人影は見あたらない。

「誰?」

 と適当な方向に向かって、声をかけてみる。
 降りしきる雨の中、目につくのは戸の閉まった民家、草が生い茂った空き地、黒ずんだ石塀、等々。
 しかし、誰もいる気配がしない。
 蛙が一匹、水たまりの脇を跳ねていたが、まさかあれは喋らないだろう。

 幻聴だったのかもしれない。
 と鶴が思った矢先、また声が聞こえた。


 ……めしや~。

 
 今度はさっきよりも、はっきり聞こえた。
 子供が囁くような声である。もしかしたら近くに誰か隠れているのかもしれない。
 この雨の中で、家に帰れなくなっているのだとしたら可哀想だ。

 鶴は通りを外れて、裾が濡れることも気にせず、子供の姿を探し歩いた。

「どこー!? もう少し大きな声で呼んで! 見つからないわ!」

 その直後である。


『うらめしやー!!』


 突然大きな声が響き渡り、持っていた傘が手を離れて飛び上がった。

「あれぇー!?」

 鶴は悲鳴をあげ、その場で腰を抜かす。

 得体の知れない力で、空中に浮かび上がった茄子色の傘は、水しぶきを立てて地面に垂直に降り立った。
 それからまるで片足で盆踊りでも披露するかのように、ぴょん、ぴょんと柄だけで小さく跳ねて回り始める。
 鶴は雨に濡れながら、あまりの出来事に声一つ出せず、その様子を凝視した。  

 さらに、傘は半回転して大きく飛び、こちらを向いた。
 と分かったのは、大きな目玉、そして赤く長い舌が傘布の表面にあったからだ。
 
 そして鶴が再び悲鳴をあげるよりも先に、それはなんと『喋った』のである。
 
『助かった! 久しぶりの悲鳴! かたじけない!!』

 傘は高い声を残して、地面を離れ、雨雲に向かって飛んでいく。

 一瞬鶴は、その化け茄子の柄にぶら下がった、水色の髪の童女が見えた気がした。



 ○○○




 幻想郷年史 第125季 葉月 第二週 地上 




「後で聞いた話によれば、からかさ、という妖怪だったそうです。人間の驚きを食べて生きているらしくて、ちょうどお腹を空かせて弱っていたとか。それほど危険な妖怪じゃないらしいですけど」
「そうだねぇ。体が弱いお年寄りでもなけりゃ、害らしい害もない妖怪だよ」

 お鶴の話を聞き終えたヤマメは、そう相槌を打つ。
 実際、人間に対してすら無害なのだから、土蜘蛛にとっては本当に取るに足らない種族である。
 よほど強力な付喪神なら話は別だが、さすがに草太もそんなものを妹に預けようとは思わないだろう。
 しかし、当人であるお鶴にとっては、憤慨すべき事件だったらしい。

「危険じゃないと言っても、妹をエサ代わりにするなんて本当にひどいと思いました。雨が降ることをあらかじめ知ってて、私が帰る時間を引き延ばしたんですよ。それに心臓が悪くないかだとか、目眩がすることがないかだとか。私の健康を心配してくれているかと思ったのに、単に悪戯で死なれたら困ると思ったんでしょう……ああ、ヤマメさん。我慢しなくてもいいです」
「ご、ごめんね。笑っちゃいけないってわかるんだけど、つい……」
「兄もそうでした。後で散々文句を言ったのですが、兄は謝るよりも先に大笑いしてました。『適度に無防備で、心臓が丈夫な人間が必要だったんだ。私は今さら驚かないからな。お前のおかげで元気になったんだから、後で礼に来るかもしれないぞ』って。冗談じゃないと言い返して、しばらく家の周りに御札を貼り付けてました」
「あらら。じゃあ恩返しの機会はなかったのね」
「ええ。その時の私は、妖怪が苦手でしたし……何より兄の意図に気づけなかったんです」

 熱くなっていたお鶴は、再び俯き加減になる。
 小さくすぼめた肩には、どこか枯れた雰囲気が漂っていた。

「きっと……兄があんなことをした理由は、ただ単に悪戯だったのでも、その妖怪を助けたかったからという理由だけでもなかったんだと思います。妖怪を嫌悪していた私に、もっと妖怪のことを知ってもらいたかったんでしょう。兄が亡くなってから、ようやくわかりました。葬式の時、里の人達だけでなく、妖怪の方々もたくさん来ていましたし、大樹からヤマメさんの話も聞いて……」

 ちょうど二人の頭の上を、そよ風が吹き、頭上の小枝が揺れて、木の葉達が軽くこすれ合った。
 まるで樹が慰めているかのようだったが、遠くを見つめるお鶴の顔には悔恨の念が浮かんだままだ。
 隣にいたヤマメは、ふと思い立ち、自分のスカートについたポケットに、そっと手を入れる。

「けどそれを知ったとしても、私は兄のようには、なれなかったでしょうね。兄は本心から妖怪が好きで、親しめる人間でしたから。でも妹の私も、もう少し理解してあげたらよかった」
「…………」
「ごめんなさいね。ヤマメさんにこんなことを話しても仕方ないのに。なぜか聞いてもらいたくなって……」
「はい、これ」

 とヤマメは、取りだした紙をお鶴に渡す。
 彼女はそれを受け取り、不思議そうな顔で尋ねてきた。

「これは……?」
「草太が十歳の時に書いた作文だって。私宛の手紙に混じって入ってたの」
「作文……もしかして、寺子屋の授業ですか? 私も子供の頃、お友達に宛てて書いた覚えがあります」
「そうそう。読んでみて」

 ヤマメが促すと、お鶴はたたまれた紙を静かに開く。





~~~

◎ 大切な者に宛てて手紙を書いてみよう。普段言えないような感謝の気持ちを、素直に伝えてみること。

 「 神田草太」から「 ヤマメ」へ


 ヤマメのバカ。ひきょう者。大うそつき。クモ女。
 冷血動物。スパルタババァ。野良犬に噛まれて木から落っこちろ。
 どうだ怒ったか。怒って出てくるんなら、何百回でも言ってやるぞ。
 でも、どうせもう戻ってなんて来ないんだろ。会う気なんてないんだろ。
 あの穴はなくなってたし、僕を地底から追い返したし、こっちから行く他の方法だってわかんないし。
 だから、こんな手紙書いてもしょうがないけど。
 でも普段言えないような気持ちを書くんだから、地上にいないお前宛に書くことに決めた。

 里のみんなは、地底に湧いていたあの水で元気になった。
 僕が里まで運んできたことはみんな知らないし、ヤマメが案内してくれたこともそうだけど。
 でも一人も死なずにすんだ。すごく不味かったらしくて、二度と飲みたくないってみんな言ってた。
 その後、夏祭りがあった。元気になったみんなと一緒に御神輿を担いだ。
 今年は妖怪に襲われなくて、お祭りは大成功だったけど、なんか気持ちが乗らなかった。
 北側の畔で打ち上げた花火も綺麗だったけど、やっぱり変な気分だった。
 先週、その北川で水遊びをしたんだ。文太が泳げるようになったんだよ。
 どこでどういう特訓をしたのかは、僕とお美世しか知らないけど。
 そうそう。お美世といえば、この前博麗の巫女様のところに遊びに行って。
 妖怪には会えなかったけど、妖怪退治の道具を見せてもらった。
 でも巫女様って、家のことをするのは苦手みたい。僕もお美世も言わないであげたけどね。
 鉄平は相変わらずみんなのリーダーだけど、お店の跡継ぎになるために勉強することがたくさんあるみたい。
 前より遊ぶ時間は減っちゃったけど、たまに魔法の道具とか見せてくれて、僕に使い方を教えてくれるんだ。
 三吉とはまだよく遊ぶけど、相変わらずふざけてばかりで、今も前の席で慧音先生から頭突きをもらってる。
 最近は妖精を捕まえるのをやめて毛玉で空飛ぶ絨毯を作ろうとしてるみたい。できるかどうかわからないけど。
 北里の百鬼団の中にも仲の良いやつが増えたよ。なんで今までいがみ合ってたのか、忘れちゃいそうだった。
 カカシは僕を避けてるようだけど、悪さをすることは少なくなったし、いつか誤解が解ける日が来るかもしれない。

 あれから二ヶ月しか経ってないのに、本当に色んなことがあって、話すこともたくさんあるのに。

 なんで帰っちゃったんだよ。
 会えばお礼が言えるし、誤解したこと、ちゃんと謝ることだってできるのに。
 顔を見て話したいけど、地上に出てこなかったら、僕の方から許すことだってできないよ。

 そんなに人間のことが信じられなかったの? 
 確かに里にはまだ妖怪が嫌いな人がいっぱいいるけど、受け入れてくれる人だっていたよきっと。
 それとも、慧音先生が言ってたけど、ヤマメが妖怪だから、人間と仲良くできないってことなの?
 でも、ヤマメは僕のこともみんなのことも助けてくれたし、僕だって逆の立場なら助けてあげるつもりだよ。 
 妖怪だから仲良くなれないとか、やっぱりおかしい気がする。
 それにヤマメが妖怪じゃなくて僕が人間じゃなかったら、きっとあんな風に遊べなかっただろうし。

 そういえば前に、あの樹の上で、妖怪が雲みたいな存在だって教えてくれたよね。
 自然の道理にしたがってとか、二度と会うことはないとか。
 でも、今も教室の外に雲が浮かんでるけど、あれは僕が去年見た雲と実は同じかもしれない。
 だから、ヤマメだって地上に帰ってきてもいいと思うよ。変な理屈かもしれないけど、僕はそう思う。

 だって、あんなにサイダーが好きで、雲を眺めるのが好きだったじゃないか。
 糸が切れたとき、すごく悲しそうな顔してたし。本当は戻ってきたいくせに。戻ってきたいんだろ本当は。

 どうしても戻ってこないんなら、僕にだって考えがあるぞ。
 ヤマメじゃない妖怪とも会って、仲良くなって、あの樹の上に招待するんだ。
 人間が色々いるみたいに、妖怪だって色々いるんだから、きっと仲良くなれる奴もいると思うし。
 そうすれば、ヤマメのことだってそのうち忘れちゃうだろうしね。

 やっぱりやめた。
 あの樹は僕が独り占めにして、好きなだけあそこでサイダーを飲むことにした。
 そして、ヤマメが地上が恋しくなって帰ってきても、絶対登らせてやらない。
 サイダーもあげない。もう全部なくなっちゃったよ、残念でした、って言ってやる。
 ざまぁみろ。登ってきたら、イガ栗投げてやるからな。
 



 評価 乙 
 よく書けている。だが悪口も大概にすること。
 加えて言うなら、この文面は寺子屋の皆には見せられんな。
 
                                     上白沢慧音


~~~




 読んでいる途中で、お鶴は吹き出し、終わってからもしばらく肩を震わせていた。
 ヤマメも同じく笑いつつ、手紙を指さしながら、

「ね? 今読んでもホント腹立つのよそれ。ひとのこと言いたい放題だし、最後なんて『ざまぁみろ』だよ?」
「ふふふ、他の人にもこの場所を教えるって書いて、その後止めているのが子供らしいですね。兄はヤマメさんに直接こう言いたくて、悔しかったんだと思います」
「直接こんな風に言われたら、張り倒してやるけどね。でも、書いてることは半分くらい当たってる。あの時の私はバカなことして、少し卑怯者で、ちょっと嘘つきで、結構クモ女で……」

 しゅるるる……と音がして、手紙が元の持ち主の手に戻った。
 物珍しそうな顔になるお鶴に、ヤマメは指に巻き付いた白い糸を見せてやる。

「まぎれもなく妖怪だった。草太には悪いことしたよ。忘れてくれてもよかったのに、ずっとここで待っててくれたんだから」

 笑おうとしたが、うまくいかなかった。
 目の前で困惑している人間に、知っている顔が重なったような気がして。
 ヤマメは彼女から視線をそらし、手紙をたたみながら、敢えて軽い語調で続ける。

「でもさ、お鶴ちゃん。私は草太の気持ちも分からなくもないけど、お鶴ちゃんの気持ちも分かるんだ。今でもやっぱり、人間が妖怪を怖がらず嫌わず、みんな好きになるっていうのは、変な感じだって思ってるから。ましてや私は地底の妖怪だし、土蜘蛛だし。普通は地上のもんらに忌み嫌われて当たり前の存在なのよ」
「でも、さっき大樹から聞いた話では、ヤマメさんは子供達に人気で、昨日も一昨日もここで遊んでくれたとか」
「あーまぁ確かに大樹は私を怖がらないけど、お友達の中には怖がってるのを隠してたり、逃げちゃった子もいたよ。でもそれはきっと自然なことで、その子達が悪いわけじゃないからね」

 ヤマメは正直に自分の考えを伝えた。

 一年ぶりに地上に来て、この樹と再会して。
 本当はもっとのんびり過ごすはずだったのだが、草太の孫の大樹に見つかってからは、そうもいかなくなった。
 昨日などは、ここはもう妖怪の領域のはずなのに、クスノキの周りで人間の子供達が遊び回っていて、ヤマメは一人でその子達の木登りに付き合ってやっていたのである。
 「仮面サイダーはやっぱり女の人だった!」「いや、あっちは絶対男だ!」とか、よくわからないことで喧嘩していたが、女の子も男の子も関係なく、大樹の他にも自分を慕ってくれる人間がいた。

 楽しくて、嬉しかった。それは認める。
 だが六十年前と同じく、心の全てまでは、素直にさらけ出すことができないままでいる。
 よりにもよって、地底の妖怪である自分が、疫病をまき散らして忌み嫌われるはずの土蜘蛛が、こんなことをしてるなんて、やはりどこかおかしいのではないだろうか、と考えてしまうのだ。
 そう思っているのが自分だけじゃなく、子供達の中にいるのもわかっていた。
 だからといって、そういう人間を憎んだり、逃げる背中を無理に追いかけたりするつもりはない。
 ヤマメはあくまで、見たいと思う者だけに、木登りを教えたりする中で違う世界を見せてやる。それだけだ。

「今さら嫌われて傷つくような柔な心なんて持ってないし。本当の気持ちを偽っても後悔するだけだ……って偉そうに言えないのは、私も十分痛い思いをしたからだけど」
「はぁ……」
「だから、お鶴ちゃんも、お兄ちゃんに気を遣って無理することないよ。怒ったりしないから、気持ちを偽らないで、私を恨みたいならそうしてちょうだいな」
「……いいえ」

 お鶴はかぶりを振り、落ち着いた声で否定した。

「確かに、妖怪は好きじゃありませんでした。今日もお会いするまで、どうなることかと不安でした。でも不思議ですけど、この樹とヤマメさんの傍にいるうちに、そんな気持ちは消えてしまいました。兄にまた会えた気がして」
「え……?」
「兄にまた会えた気がするんです」

 そう繰り返した時、彼女の枯れた気配は失せていた。
 柔和な微笑みの上で、瞳が輝いている。水気を取りもどしたように、お鶴は弾んだ声で、

「ヤマメさんとこうして樹の上で過ごしていると思い出します。子供の頃の兄だけじゃなくて、その後の兄のことも。お話を伺っているからだけじゃなくて、そんな空気が感じられるんです」
「草太の……?」
「はい。だからつい、兄のかわりに話を聞いてもらいたくなったのかもしれません。きっと兄は……ヤマメさんが地底に帰ってしまわれた後も、ずっとヤマメさんに守られていたんでしょうね」

 その言葉に、ヤマメの心臓が、大きく鳴った。
 しばらく茫然となり、我に返ると、自分の手がお鶴の掌に包まれていた。
 失って久しい、人間の手の温もり。彼女の兄も、亡くなる前はこんな手をしていたのだろうか。
 六十を超える齢、すなわち一人の人間が生きた歴史がそこに刻まれていた。
 
「だから今はむしろ、兄が羨ましいです。私も子供の頃に、こうしてヤマメさんとお話したかったですわ」
「お鶴ちゃん……」
「けど今日お会いできましたし、こんなに素晴らしい景色が見られましたし、贅沢は申しません。こんな年になってしまいましたが、今はもっと妖怪について学べそうです」
「……あは」

 ヤマメは目元を擦った。
 やはり土の上のこの場所は、自分には少々温かすぎるのかもしれない。そんなことを思いながら。

「ありがとう。なんか、じ~んときちゃった。お鶴ちゃんにも、草太の面影が少し見えたかも」
「あら。それは褒め言葉じゃありませんよ。私は兄に言い足りなかった文句がたくさん残ってますからね」
「ははは、しょうがない兄ちゃんだねぇ。この際だから、言っちゃえ言っちゃえ」

 ヤマメは樹の枝をぽんぽん叩きながら、無責任に囃したてる。

「ああ、そうでした。ついうっかり忘れるところでしたが、ヤマメさんにお土産があるんです」
「え、私に?」

 お鶴はうなずき、ここまで持ってきた風呂敷を解く。
 懐かしい匂いを嗅ぎ、ヤマメは身を乗り出して確かめ、歓声を上げた。

「ああっ! おにぎり! さすが! お鶴ちゃんわかってる!」
「ええ。大好物だと大樹から聞いて、ここに来る前に作ってきました。お口に合うといいのですが。あ、こちらが梅干しで、こちらは鰹節です」
「ほうほう、鰹節。海の魚ね。それは珍しくて結構な」
「最近は外の世界から入ってくる量が増えたので、昔ほど貴重な品じゃなくなりましたけど。どうぞ召し上がれ」
「ありがたやありがたや。じゃあ早速。いただきまー……」
「ところで兄が残した手紙って、他にもあったんですよね?」

 唐突に投げかけられた質問に、ヤマメは手を合わせた状態で固まった。
 隣のお鶴は、尚も興味津々に尋ねてくる。

「そちらは見せていただけないんですか?」
「えっと……そっちはちょっと……恥ずかしいし……」
「あらまぁ。恥ずかしがるようなことが書かれていたんですね。兄さんったら」
「ないない、なんもない! さっき見せたのと大して変わらないから!」

 ヤマメは後ろ髪がなびくほど首を振って、おにぎりをつかみ、背を向けて頬張った。
 顔がじわじわと熱くなる。せっかくのご馳走なのに、なんだか味がよくわからない。
 まさかの不意打ちを仕掛けてきたお鶴は、幸いなことに、それ以上詮索しないでくれた。
 再び幻想郷の風景に目をやり、彼女は心を奪われたかのように呟く。

「本当に素敵な景色…… これが……兄が見ていた世界なんですね……」
「そうだね。でも景色も大事だけど、やっぱりこれがなきゃ」

 ヤマメは思いだして、大樹から預かっていた袋に手を突っ込む。
 取りだしたのは、気泡が浮かんだ夏の雲をイメージさせる爽やかな色の飲み物。
 故人の思い出には欠かせない、山女印のサイダーである。

「さ、飲もう! お鶴ちゃんとの出会いを祝して!」
「ええ!」
 
 妖怪と人間が、樹の上で乾杯する。
 日の光にきらめいた二つの瓶が、澄んだ音を鳴らした。





































  幻想郷年史 第125季 水無月 第二週 地上 夜








~~~




 よく受け取ってくれた。まずはそのことについて感謝したい。
 再びお前が地上に出てきてくれたということだから嬉しく思う。長年の夢が叶った気分だ。
 しかし残念でもある。この手紙を読んでいるということは、私は間に合わなかったのだろうから。
 できればもう一度、この身があるうちに再会したかった。

 百年後か、もしかしたら二百年後かもしれないが、今の地上はお前の目に、どんな風に映っているだろうか。
 この手紙を書いている時は、まだあのクスノキは折れずに残っている。姿もほとんど変わらない。
 お前が地上に出るまで、枯れずに残っていてもらいたいものだ。
 あれから六十年が過ぎたが、あの樹の上は今も私にとって、特別な場所だから。

 私が自警団に入って、どんな仕事をしてきたかについては、他の手紙を読んでくれればわかるだろう。
 お前にとっては退屈な話かもしれないし、実のところ楽しいことばかりではなかった。
 秘密の道を通って夏の森を駆けていき、仲良しの妖怪と木登りを楽しみ、雲を眺めながら共にサイダーを飲む。
 そんな素晴らしい記憶と似た思いを味わえる機会には、なかなか巡りあえなかった。
 思い出を美化しているだけだと、私の知っているヤマメなら、からかうかもしれない。
 確かに、かつて教わったとおり、良いも悪いも人間である私の立ち位置から見た感想なのだろう。

 しかし、色んな妖怪と知り合い、仲良くもなった。時には助けられ、時には助けてやった。
 もちろん襲われもした。おかげでずいぶんと命を危険にさらす羽目にもなったが、それもまたいい思い出だ。
 妖怪のことをもっとよく知り、憎み合う相手としてではなく、新しい関係を生み出せないだろうか。
 そうした目標を抱いてから、我ながら呆れるほどの時間を妖怪達を学ぶことに費やしてきたものだと思う。

 だがそれでも、山の麓で妖怪の子を救った時、森で妖獣に襲われて死にものぐるいで撃退した時。
 調査中に仲間を失って悲しんだ時。神社で博麗の巫女様に諭されて悩んだとき。
 私はいつもひとりの妖怪のことを思いだしていた。

 私にとって特別といえる妖怪は、ただひとりだけだったのだ。
 故に悔やみ続けたのだろう。六十年前のあの夜、彼女を救えなかったことを。

 今でも時々夢に見る。
 蜘蛛の群れに追われて、深い闇の底から必死に糸をよじ登り、地上を目指す自分。
 しかし落ち着いて下を見れば、苦しんでいるのは、むしろ私を追っている妖怪の方に見えるのだ。

 もしもあの時、疫病の騒ぎがなければ。そうじゃなくても、私を騙した妖怪の意図に気付いていれば。
 あるいは私が糸から手を離し、彼女に手を差し伸べていたら。どんな歴史が、どんな未来があったのか。
 もっと力があって、もっと頭が回れば、彼女を帰さずにすんだ道もあったかもしれないのに。

 何より、どうすれば彼女を、妖怪故の苦しみから解き放つことができたのか。
 それが私の根本的な問いであった。自警団に入って、妖怪と里の新しい関係を作ろうとしたのも、その答えを得たいがためだったのかもしれない。
 もう二度と、あんな悔しい思いをしたくなかったから。
 そして次に見つけたときは、今度こそ落ちていく彼女の手を逃さず掴みたかったから。

 しかし六十年走り続けても、結局その妖怪が現れることはなかった。
 私の心にはしこりが残ったままで、この手紙を書き始めた時には、すでに再会を諦めかけてもいた。
 だが、先程孫がくれた助け船で、もしやと思いだしたことがあった。
 妖怪は人を襲うものであり、そして同時に、人に退治されることも望む存在だという。
 思えば、今まで多くの妖怪が退治されるのを見てきたが、確かに妖怪達は退治されるその瞬間まで、恐ろしいまでに活き活きと輝いていた。
 もしかしたら、古い神々と同じで、彼らは物語によって生まれただけでなく、それを人間に見つけてもらいたがっているのかもしれない。
 自分達の存在を、自分達とよく似ていながら全く違う者達に確かめてもらうために。
 ならば、ヤマメもそんな理由で、私を選んでくれたのだろうか。だとすれば光栄だ。 
 もし私に退治されることで、ほんの一片でもお前の心が救われたのであれば、悔いはない。
 私の方はすでに、恨みなどこれっぽっちも残っていやしないし、楽しかった時間も恐ろしかった時間も、そして辛かった時間も、私にとって大切な記憶であり、財産だ。改めて感謝する。ありがとう。

 本当は手紙ではなく直接会って伝えたいが、間に合わずに終わってしまうらしい。
 私の夢は断たれてしまった。だが実はもう一つ、秘かに抱いていた夢がある。
 そちらの方は、どうやら実現できるかもしれない。
 彼岸へ向かう前に、人間嫌いのお前にふさわしい贈り物を、地上に用意したのだ。

 ヒントは孫の大樹に託してある。
 あやつが亡くなった後も、その子供が受け継いでくれるであろう。
 もし聞いても分からなかったのであれば、人間の里に行ってみてくれ。
 私の孫でも、あるいは別の誰かでもいい。そこには私の代わりに案内してくれる者が大勢いることだろう。
 里はあの頃よりも、遙かに強くなった。ひょっこり地底から戻った妖怪一匹、もてなすのに不都合はない。
 それが、明るくてべっぴんで悪のヒーロー気取りの、私の親友である土蜘蛛ならば尚更だ。

 嘘だと思うのであれば、見てみるといい。
 最近の夏祭りは、妖怪も受け入れるようになった。ぜひ人間に混じって、気軽に遊んでもらいたい。
 お前がモデルになった紙芝居があるので探して観てみてくれ。原作者の名前に覚えがあるかもしれない。
 サイダーが飲みたくなったら、ミチ婆の駄菓子屋にいけばいい。驚いたことに、まだ潰れずに残っている。
 もちろんミチ婆が噂通り妖怪だったわけではなく、初代は既にこの世から引退しているが、雰囲気は私の子供の頃と変わっていない。サイダーの値段も元のままだ。名前だけは同じではないが。
 打ち上げ花火については、里の中ではなく、夜にあの樹から見ることを勧める。一年に一度だけだから、機会を逃さないように。
 それから、

 ~

 ~

 長々と書いたが、私の贈り物を理解してくれることを祈る。
 そろそろ筆を置いて、お別れの時間としておこう。

 だがどんな形であっても、また出会えることを願っている。
 その時はサイダーを二人分、そちらで用意してくれ。 


                             あれから六十年生きた、神田草太より




~~~







 ひゅるるるるる……


 と、甲高い音が、夜空を昇っていく。
 クスノキの枝に座っていたヤマメは、足を揺らすのを止め、読んでいた手紙から顔を上げた。

 雲が薄くたなびく暗褐色の世界、その真ん中に光が咲く。
 遅れて、どん、と全身に響く力強い音が聞こえてきた。

 里の北を流れる川辺で、花火の打ち上げが始まったのだ。
 赤、緑、青、黄、白。華やかな色の火が次々と、夏の夜空を明るく浮かび上がらせる。
 空いっぱいに広がる星々よりもはかなくて、足元で明滅する蛍たちよりも猥雑で。
 力強く、一瞬の美を代償にして散っていく、実に人間くさい業だった。
 
 けれどもヤマメは、その光に吸い込まれていた。
 瞬きもせず、視界に広がる花束に、鼓動を高鳴らせていた。
 あれから六十年の間、彼もここであの輝きを見て、手紙に残したのだろうか。
 時間を乗り越えて、同じ景色を共有しているような気がしてきて、胸の奥が温かく、少しくすぐったい。

 ヤマメはサイダーの蓋をひねった。
 里にある屋台――ミチ婆の店が出していた所で買ってきたものである。
 今夜は夏祭りが行われていて、ヤマメは大樹とその友人達、それからお鶴とともに堪能してきたのであった。
 彼女から浴衣まで借りて、人に混じって遊んで歩いて。
 そして、花火の時間が来るとわかると、着替えもせずに急いでこの場所に戻ってきた。
 この光景だけは、どうしても二人で見たかったから。彼からの大事な贈り物だと分かっていたから。 

 つまみに用意した木苺を口に含み、サイダーで流しこむ。
 爽やかな香りが鼻を通り抜け、つんとして、花火が滲んで見えなくなった。
 喉の奥に広がる六十年ぶりの甘酸っぱい刺激を、全身を震わせて味わう。

 それから樹に体を預け、浴衣姿の土蜘蛛は空に向かって瓶を掲げた。
 

「ちゃんと受け取ったよ、草太」

 
 花火がまた一つ、夏の夜空に咲いた。



(おしまい)

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Comment

いけないですね、また涙がこみ上げてきました。
一夏の想い出が、その後の人生六十年の幹と成る。かけがえなくて、でもちょっぴり切なくて。
素晴らしいですね。
草太の人生を支える幹は、作中のクスノキのように立派なものだったのでしょう。
誰にも話せないけれど、誇りになるような、そんな想い出。
  • posted by 葉月ヴァンホーテン
  • URL
  • 2011.09/18 11:29分
  • [Edit]

>葉月さん

 コメントありがとうございます!
 久しぶりに書くキャラ達だったので少々不安でしたが、書いてるうちにだんだん思いだしてきましたw
 当時の思い出がその後の草太が扱った事件に、どういう影響を与えていたのか。
 という構想もないわけではないのですが、一応二次創作ですし、ここらで締めておくことにいたします。
 よければ、次回作の方もご期待よろしくお願いいたしまする( ・∀・)ノシ
  • posted by PNS
  • URL
  • 2011.09/18 20:46分
  • [Edit]

グレイトだぜ……!

お鶴ちゃん(じゃなかった、もう「さん」ですね)がまだ生きててくれて、草太のことをよりきちんとヤマメに伝えてあげられて、なんか自分の中で救われました。
手紙も大事ですけれども、やっぱり生きた人間から伝わるものもあるでしょうから。
本編は今でも何度も読み返してます。なので、この続編はうれしい限りでした。
このようなSSを読ませていただき、ありがとうございます。
次回作の大長編も、楽しみに待ってますね!
  • posted by リペヤー
  • URL
  • 2011.09/19 00:08分
  • [Edit]

>リペヤーさん

 ありがとうございます!
 サイダーはサイダーで完結させたつもりだったんですが、私も色々と残しているものがあるな、と感じたので、蛇足にならない程度に書こうと考えてました。
 なぜか50kb近くになってしまいましたけど、はいw でも楽しんで書けましたし、喜んでいただけたようで何よりです。
 次回の大長編も期待を裏切らぬよう頑張りますので、ご期待ください!
  • posted by PNS
  • URL
  • 2011.09/19 01:54分
  • [Edit]

後日談と見た時にはえ!?流石にアレ以上は蛇足なんじゃ…
なんて思ってしまいましたが読んでみたら全くそんなことはありませんでした…
謝罪…!全力で謝罪…!
  • posted by 通りすがりのファン
  • URL
  • 2011.09/27 07:37分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>通りすがりのファンさん
ありがとうございます! 実は書いている本人も蛇足にならないかと心配でした!
でもほんの少しだけ、まだ語りたいことが残っていたので、もう一度ヤマメちゃんに登場してもらいました。
書いてる方としては楽しかったので、読者の方々にも受け入れてもらえて嬉しい限りでござんす。
次回作もよろしくお願いいたします!( ・∀・)ノ

  • posted by PNS
  • URL
  • 2011.09/27 23:54分
  • [Edit]

久しぶりに時間取れて名作は無いものかと
今日探してたら後日談含めて通しで見れるとは…
幸せだ。俺超幸せ

個人的には過去作品の中でも最高峰でした
読めた事に感謝です。有難う御座いました
  • posted by 微妙に忙しい人
  • URL
  • 2011.09/29 02:18分
  • [Edit]

>微妙に忙しい人様

 コメントもらった私も超幸せです。ありがとうございます!
 過去作というのは不思議なもので、自分の中で忘れかけていても、新しいコメントを読むとまた生き返ったような気がします。
 今回もそんな気分になりました。お忙しい中、読んでくださって感謝の極み。
 これからもPNSは名作と称していただけるような作品を書くつもりでする。
 ……とまぁ、調子に乗りやすい方なので、程々にしておきます、はいw
 
  • posted by PNS
  • URL
  • 2011.09/29 22:52分
  • [Edit]

めちゃくちゃおもしろかったです。
読んでたらとまらなくなっちゃいました。
ありがとうございました。
  • posted by 眠い人
  • URL
  • 2012.02/06 04:47分
  • [Edit]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by
  • 2012.02/11 09:47分
  • [Edit]

とある場所で知り、一気に読ませていただきました。

現実ではまずありえないですが、寿命の違いというものは絆が深ければ深いほど、残されたものを締め付けることになるのですね…。
ヤマメが前を向いて生きていくことができて本当によかったです。草太GJ。

ヤマメ大好き。

  • posted by uruc
  • URL
  • 2012.02/17 06:35分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>眠い人様

> めちゃくちゃおもしろかったです。
> 読んでたらとまらなくなっちゃいました。
> ありがとうございました。

 こちらこそお読みいただきありがとうございます!
 もう書いてから結構立ちますが、いまだに評価してくれる方がいるというのは幸せですね。
 今年はヤマメちゃん書けるかなぁ……。いずれにせよ、読んで止まらなくなるような作品を残したいです。
 また機会があればどうぞよろしくお願いします!


>S.Kawamura様

> 本編を読んだのは、半年前で話の筋や登場人物を
> 覚えていられるか心配だったけれど、何の問題もなかったです。やっぱりたまらなく良い!

 ありがとうございます! できれば後日談は時間を置いて読んでもらいたかったので嬉しいです。
 サイダー色の雰囲気をまた味わってもらえたのであれば幸いなり。

>  草太はかっこいいなあ…。憧れます。
 あまりかっこよすぎないように気をつけたような思い出もあるんですが、実際は作者の私も、どこか草太の生き方に憧れている部分がある気がします。ヤマメちゃんもある意味理想像なんですけどね、妖怪というかガールフレンドとしてというかw


>uruc様

> とある場所で知り、一気に読ませていただきました。

 ありがとうございます~。
 とある場所というのは、hatiさんのイラストですかね? 
 一年半も前の作品を読んでいただくというのは、作者にとって幸せなことです。少し恥ずかしくもありますがw

> 現実ではまずありえないですが、寿命の違いというものは絆が深ければ深いほど、残されたものを締め付けることになるのですね…。
> ヤマメが前を向いて生きていくことができて本当によかったです。草太GJ。
> ヤマメ大好き。

 さすがに後日談以上のものを書いても蛇足になりそうなので書けませんが、彼女が前を向いて生きているのは間違いありません!
 いつかまた明るくて世話好きで人気者なヤマメの作品を残せたらいいな、と思います。
 その時はまたぜひぜひ!
  • posted by ぺんさ/PNS
  • URL
  • 2012.02/17 23:58分
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続編出てたんでっすね!
本編と同じく俺の心に風を送り込んでくれるいいものでした!
  • posted by 幻想
  • URL
  • 2012.05/15 01:07分
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Re: タイトルなし

>幻想さん
御読了&コメントありがとうございます!
さすがにこのサイズの夏休みの物語はもう書ける自信がないですけど、同じくらいエネルギーのこもった物語をこれからも書いていきたいと思っています。もちろん元気なヤマメもw
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2012.05/20 23:48分
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蛇足と分かっていても、草太が木の精霊にでもなってヤマメといつか会えたらなと思わずにはいられない。会えたらいいな。
  • posted by 名無し
  • URL
  • 2013.07/05 22:15分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> 蛇足と分かっていても、草太が木の精霊にでもなってヤマメといつか会えたらなと思わずにはいられない。会えたらいいな。

 御読了ありがとうございましたー。実は展開的にそういう案もあったんです本当はw
 でもそれが作者の願いだとしても、私がそれを文章にするのは違うかな、と思ったのでやめちゃいました。
 これは結構多くの自作品に対して思うところなのですが、特にこの『サイダー~』は自分の中の世界というより、向こう側という意識が強いんですよね。だからあまりゴチャゴチャと手を加え続けたくない、っていう気持ちもあります。何だか無責任な話で恐縮です; けれども、お楽しみいただけたのであれば幸せです。まだいっぱい書きたいSSはありますし、ヤマメちゃんもまたどこかで登場するかもしれません。 
 
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.07/23 01:40分
  • [Edit]

本編&後日談読ませていただきました!
読んでいたらぽろぽろと涙が止まらず、こんなに泣いたのは久しぶりです。 特に後日談では最初っから涙腺が緩みっぱなしで・・・。 とてもいい作品でした!
こんなことを考えるのは蛇足と言うか、おのずとわかることではあるのですが、いろいろと辛い思いをしたであろうヤマメには幸せになってほしいです。

ヤマメの再登場に期待!!
  • posted by 杉下武雄
  • URL
  • 2013.07/25 22:10分
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Re: タイトルなし

> 本編&後日談読ませていただきました!
> 読んでいたらぽろぽろと涙が止まらず、こんなに泣いたのは久しぶりです。 特に後日談では最初っから涙腺が緩みっぱなしで・・・。 とてもいい作品でした!
> こんなことを考えるのは蛇足と言うか、おのずとわかることではあるのですが、いろいろと辛い思いをしたであろうヤマメには幸せになってほしいです。
> ヤマメの再登場に期待!!

 ありがとうございます! そんなに涙を流してくださったとは! どうかサイダーで水分補給を(ry
 真面目な話、作り手としては後日談も含めて相当難しい材料だったので、そういったコメントをいただくと本当に書けてよかったーと思います。
 さてさて実は黒谷ヤマメさん、将来投稿する予定のSS内にて再登場を果たしているのです。
 ただ、どういう形で活躍するかは、まだ秘密ということで……。
 引き続きご期待願います!
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.07/26 00:14分
  • [Edit]

創想話からここまで一気に読んでしまいました。
とても面白かったです!(もうすぐヨアケダー

最後の手紙の
>幻想郷年史 第95季 水無月 第二週 地上 夜
ですが、60年前と書いてあるので30年程ずれているのかも?
それともこの手紙を書き始めたのがこの時期なのか…ううむ。
  • posted by
  • URL
  • 2013.07/27 03:37分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> 創想話からここまで一気に読んでしまいました。
> とても面白かったです!(もうすぐヨアケダー

 ありがとうございました! 睡眠時間を削ってしまったようで、すみませんw
 が、創作者としては今後もガンガン削っていくスタイルを目指します(←地味に迷惑ですね)

> 最後の手紙の
> >幻想郷年史 第95季 水無月 第二週 地上 夜
> ですが、60年前と書いてあるので30年程ずれているのかも?
> それともこの手紙を書き始めたのがこの時期なのか…ううむ。

 真相ですが、お鶴の思い出のシーンの年とごっちゃにしてしまった……つまり完全に作者のミスでございます。惑わせてしまってすみませんorz しかしこの間違いが二年近く経って発見されたという事実に衝撃でございます。お恥ずかしい;
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.07/29 02:03分
  • [Edit]

とある場所で知り、本編・後日談を一気に読ませていただきました。いつの間にか日が暮れていた…
久しぶりに泣いてしまいました。
とても素晴らしい作品だと思います。
読ませていただきありがとうございました。
  • posted by lonsdaleite
  • URL
  • 2013.08/08 21:06分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> とある場所で知り、本編・後日談を一気に読ませていただきました。いつの間にか日が暮れていた…
> 久しぶりに泣いてしまいました。
> とても素晴らしい作品だと思います。
> 読ませていただきありがとうございました。

 こちらこそ、読んでくださってありがとうございました! 
 三年近く経ってもこうして新しく読んで感想をコメントしてくれるというのは、幸せだな、とつくづく思います。というか、完走お疲れ様です、と申し上げたい! 一章から後日談まで一気に読むと相当時間がかかりますよね。長い話で恐縮です(--;
 今後も笑って泣ける作品(そしてなるべく長さを自重した作品)を目標にどんどん書いていきますので、応援よろしくお願いいたします!
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.08/12 22:11分
  • [Edit]

あなた様の作品を見つけれて良かったと思います。時がたつのも忘れて文面に引き込まれました。そして草太とヤマメちゃんの絆に泣かされました。
ほんと...あなたの作品に出会えて良かった!そう思います。
  • posted by ロドルフ
  • URL
  • 2013.09/12 23:13分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

> あなた様の作品を見つけれて良かったと思います。時がたつのも忘れて文面に引き込まれました。そして草太とヤマメちゃんの絆に泣かされました。
> ほんと...あなたの作品に出会えて良かった!そう思います。

 お読みいただき、ありがとうございました! 
 人と妖怪の絆というのが一大テーマでしたし、そう言っていただけると、書いてよかったー、と思います。
 そして当時は完成させるだけで手一杯でしたので、何となく気恥ずかしくもありますね(=∀=;
 私としても、またヤマメちゃんのSSや人里のSSを書いてみたいですし、あるいは舞台は別でも、引き込まれるようなSSというのを目指していくつもりです。
 よろしくです!
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.09/15 00:22分
  • [Edit]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by
  • 2013.09/22 23:57分
  • [Edit]

あくまで友情なのがいい!かわいいおばあちゃんに萌えました。文の瑞々しさと切なさがたまらなくて、読み返したくなりますね。
  • posted by らっぱ飲み
  • URL
  • 2013.10/05 17:47分
  • [Edit]

返信

>名無し様
この発想はありませんでしたー! ありがとうございます。
実際は神田草太の六十年については、漠然としたイメージはあったものの、すでに作者の手を離れてしまっているので、深くは考えていなかったんですよw けどこういった年表形式で見せてもらうと、団長になるまで厚く高い壁がいくつもあったんじゃないかと思わざるを得ません。途中で里と妖怪の間で板挟みにあったり、文太にどちらが上に昇り詰めるのか競争を持ちかけられたりしたかもしれませんね。そうイメージするとまた書いてたワクワクがよみがえりました。

>らっぱ飲み様
>>あくまで友情なのがいい!かわいいおばあちゃんに萌えました。文の瑞々しさと切なさがたまらなくて、読み返したくなりますね。

 かわいいおばあちゃんは最強です! 他にもたとえば八雲y(ピチューン
 実は前段階では友情で終わらせないエンドもいくつか考えていたのですが、自分が思いつく中で一番サイダーの似合うラストを追い求めた結果、本編と後日談のイメージが固まりました。あと長編は投稿した後、ほとんど読み返したりしないんですが、つい最近ちょっと初めから斜め読みして、強烈なヤマメ禁断症状(?)に似たものにとらわれました(危ない)。近いうちに、彼女の登場する物語を投稿する予定です。お楽しみに!
  • posted by PNS 木葉梟(このはずく)
  • URL
  • 2013.10/20 23:37分
  • [Edit]

地底四人娘で初めてPNSさんの作品を知り勢いでこの作品を読んできました
舞台設定が夏の雰囲気の感じられてとても素晴らしかったです
ラストで涙がこみ上げてきて我慢できませんでした(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)
これほどまでに素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました!
  • posted by コンソメ
  • URL
  • 2015.07/09 00:18分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>コンソメ様
こちらこそ、お読みいただきありがとうございます! 
もう懐かしの作品になりかけてはいますが、今もこうしてコメントしてくれる方がいるのは幸せだなぁ、としみじみ。
 一応PNS名義で書いたものは共通世界観にしてるので、サイダー色~や青き笛~に出てくる地底メンバーも同じ過去を持っているということになっております。それぞれリンクさせたりするのも秘かな楽しみですw
  • posted by PNS/木葉梟
  • URL
  • 2015.07/09 23:03分
  • [Edit]

遅ればせながら作品を堪能させていただきました。ここまで自然に涙が込み上げてきた小説は初めてかもしれません。色々と言いたいことはあるのですが長くなってしまうので一言だけにします。こんなに素晴らしい作品を書いていただきありがとうございます。感動しました。
  • posted by ユルト
  • URL
  • 2015.07/21 18:17分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>ユルト様
こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!
どうぞ長くなっても構わないので色々と言ってくだ(ry
冗談はさておきw 投稿した時は、まさかこんなに多く、そして長く読まれる作品になるとは思いませんでした。
こうして感想を受け取るたびに、書いたものが新しく息を吹き込まれるようで、ありがたい限りです。
と言いつつ実はこの作品については(続編ではないけど)色々と関連する何かを書く予定はまだあるんですよね。
ご期待ください!
  • posted by PNS/木葉梟
  • URL
  • 2015.07/22 23:58分
  • [Edit]

今更ながらサイダー色した夏の雲、後日談込で一気読みしました。下らない揚げ足取り申し訳ないのですが、三章で侍が槍を持っていましたが、武士が槍を使い出すのは鎌倉以降だったかな、と(東方世界では平安時代から使われていた設定があったり、そもそも自身の認識が間違っていたらすみません)。
感想はもう、自分の貧相な語彙ではとても満足いく表現はできませんが、東方オリ主SSの金字塔に思えるほど、ただただ最高でした(キャラ贔屓込では、彗星背叛(勝手な省略)の方が好きですが)。
今後共、このはずくさんのSSをずっと楽しみにしています。数々の素敵なSS、本当にありがとうございます!m(_ _)m
  • posted by アオバズク
  • URL
  • 2015.09/15 00:52分
  • [Edit]

Re: タイトルなし

>アオバズクさん
 コメントありがとうございます!
 下らない揚げ足取りなんて、とんでもない! 大変勉強になりました! そうなると作中では、矛や薙刀とすべきだったかもしれませんなぁ。
 ともあれ内容についてすごく評価していただき、まことに光栄でございます。オリ主はハードルが高いので、投稿したときは緊張しまくってましたw
 今は地底四人娘の連載を続けてますが、そのうち別キャラの長編とかも出す予定ですので、どうかご期待ください!
  • posted by このはずく/木葉梟
  • URL
  • 2015.09/15 21:19分
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このはずくは共通世界観、木葉梟は一度限りの世界観という風に、HNを使い分けて東方創想話にSSを投稿しています。
ここでは他の方々のSSや、自作SSの裏話などを紹介しております。あとは、軽い後日談とか。よろしくです。

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